伊藤 理紗さん(左)
学部2年生のプレ配属と、学部3年生~修士2年生の本配属とで合計5年間研究室に在籍し、表彰1件、国際会議発表2件(主著が1件)、国内会議発表14件(主著が7件)と、コロナ禍で大変ななか、わずか4年間ですごい成果を残しました。
まず学部2~3年生の頃には、ワコム株式会社との共同研究で文字形状によって記憶にどのような影響が出るのかを検証する研究に取り組みました。この研究では、多くの人が記憶に残ると考えがちなゴシック体に比べ、続け字のような手書きの方が記憶に残りやすいことを明らかにし、その研究が後輩の文字の太さと記憶の関係、手書き文字の類似と記憶の関係、顔と名前の記憶における文字形状の効果などの研究に繋がりました。
また、学部4生の頃には、伊藤さん自身漫画が大好きなのだけれど、集合体と蜘蛛が苦手で、漫画の中で出てくるそのシーンで続きが読めなくなって困ったという問題意識をもとにした研究に取り組みました。ここでは、表現の規制は絶対にするべきではないが、その漫画の中で極々一部に登場するマニアックで読者依存性が高い地雷をユーザ間で共有し、誰か一人が犠牲になってくれれば、他の人は救われるという、読者依存性の高い地雷表現の付与・共有に関する研究に取り組みました。
修士では、この研究を発展させ、実際に電子書籍サービスであるジャンププラス上でシステムを動作可能とし、どのような読者依存性の高い地雷があるか、また、システムを用いた1ヶ月にわたるシステムの利用実験を通して、どのような形でシステムが機能するかなどを明らかにしました。この成果は学会でも表彰されました。また修士における一連の研究を整理し、修士論文「コミックにおける読者依存性の高い地雷の不安軽減に関する研究」を書き上げました。
伊藤さんは、その着実に研究を進め、面倒で手間のかかる開発も行い、さらに学会発表して成果を積み重ねるなど、研究室の模範となっておりとても助けられました。また、後輩の原稿チェックやプレゼン指導などを積極的にやってくれ、研究室の論文やプレゼンの底上げに貢献してくれました。さらに、研究だけでなく雑務に関することも積極的に引き受けてくれ、とても助けられました。
卒業後はエンジニアとして働いてます。どこかで見かけましたら、是非ともお声がけいただきますとともに、ご支援をよろしくお願いいたします。
業績
- 表彰
- 海外発表
- Risa Ito, Karin Hamano, Kosuke Nonaka, Ippei Sugano, Satoshi Nakamura, Akiyuki Kake, Kizuku Ishimaru. Comparison of the Remembering Ability by the Difference Between Handwriting and Typeface, International Conference on Human-Computer Interaction (HCII 2020), Vol.CCIS, volume 1224, pp.526-534, 2020.
- Tsubasa Sakurai, Risa Ito, Kazuki Abe, Satoshi Nakamura. A Method to Annotate Who Speaks a Text Line in Manga and Speaker-Line Dataset for Manga109, The 5th International Workshop on coMics ANalysis, Processing and Understanding (Manpu2022), Montreal, Canada (2022/08/21).
- 国内発表
- 伊藤 理紗, 濱野 花莉, 野中 滉介, 菅野 一平, 中村 聡史, 掛 晃幸, 石丸 築: 手書きとフォントの文字形状の違いによる記憶効果の比較, 電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーション基礎研究会(HCS), HCS-24, 沖縄 (2019/05/17).
- 伊藤 理紗, 斉藤 絢基, 中村 聡史, 掛 晃幸, 石丸 築. 手書きとフォントの文字形状の違いが顔と名前の記憶に及ぼす影響, 情報処理学会 研究会報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2019-HCI-185, Issue.22, pp.1-8, 2019 (2019/12/11).
- 山﨑 郁未, 澤 佳達, 伊藤 理紗, 濱野 花莉, 中村 聡史, 掛 晃幸, 石丸 築. 文字の見た目が記憶に及ぼす影響, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-189, No.16, pp.1-7, 2020.
- 山﨑 郁未, 伊藤 理紗, 濱野 花莉, 中村 聡史, 掛 晃幸, 石丸 築. 記憶対象の文字の太さの違いが記憶容易性に及ぼす影響, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-190, No.22, pp.1-8, 2020.
- 伊藤 理紗, 中村 聡史. コミックにおける読者依存の地雷表現に関する基礎検討と軽減手法の検討, 第13回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2021), D13-1, pp.1-8, 2021.
- 清水 亜美, 伊藤 理紗, 中村 聡史, 掛 晃幸, 石丸 築. 文字形状の違いが男女の顔と名前の記憶に及ぼす影響, 情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-191, No.16, pp.1-8, 2021.
- 伊藤 理紗, 中村 聡史. コミックにおける読者依存性の高い地雷表現の基礎調査とその軽減手法, 第5回コミック工学研究会 (2021/03/16).
- 櫻井 翼, 伊藤 理紗, 阿部 和樹, 中村 聡史. 漫画のセリフと発話者対応付けデータセットの構築とその分析, 第6回 コミック工学研究会, pp.11-17 (2021/11/21).
- 伊藤 理紗, 中村 聡史. コミックにおける読者依存性の高い地雷表現共有システムの実装とその分析, 第6回 コミック工学研究会, pp.55-62 (2021/11/21).
- 山﨑 郁未, 伊藤 理紗, 中村 聡史, 小松 孝徳. Webアンケートにおける不真面目回答予防システム実現に向けた自由記述配置の基礎検討, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-195, No.34, pp.1-8 (2021/12/01).
- 髙野 沙也香, 山﨑 郁未, 伊藤 理紗, 濱野 花莉, 菅野 一平, 中村 聡史, 掛 晃幸, 石丸 築. 筆跡の自筆との類似性が記憶容易性に及ぼす影響の検証, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2022-HCI-196, No.2, pp.1-8 (2022/01/11).
- 濱野 花莉, 伊藤 理紗, 中村 聡史. 文章に着目した化粧品クチコミの信憑性評価軸の検討, 情報処理学会 研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN), Vol.2022-GN-115, No.32, pp.1-8 (2022/01/21).
- 伊藤 理紗, 中村 聡史. コミックにおける読者依存性の高い地雷表現回避手法の実現, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2022-HCI-199, No.39, pp.1-7 (2022/08/23). 学生奨励賞
- 伊藤 理紗, 中村 聡史. コミックにおける読者依存性の高い地雷表現共有システムの長期利用による実用性の検証, 第9回コミック工学研究会, pp.39-46, 2023.
- 学位論文
- 修士論文「コミックにおける読者依存性の高い地雷の不安軽減に関する研究」
- 卒業論文「コミックにおける地雷表現に関する基礎調査と軽減手法の検討」