お久しぶりです、中村研究室M1の濱野花莉です。
2022年1月20~21日にオンラインで開催された第115回グループウェアとネットワークサービス研究発表会にて、「文章に着目した化粧品クチコミの信憑性評価軸の検討」というタイトルで研究発表を行ったので、その報告をさせていただきます。
今回発表した内容は、DEIM2021で発表した研究の続きとなります。よろしければそちらもご覧ください。
発表内容
化粧は日常的なものであり、女性の約8割が化粧をするという調査結果も報告されています。
そのため、ニーズに合わせた様々な商品が発売されていますが、自身に合う化粧品を選択するのは容易ではありません。
選択を失敗すると、肌荒れや、その化粧品を買ったお金が無駄になることにつながります。さらに、化粧品はあまり安くないため、捨てづらいといった問題もあります。そこで化粧品の購入に失敗しないために、情報収集が重要となります。
情報収集の手段は様々ですが、私はユーザが多く様々な意見を手軽に閲覧できるインターネット上のクチコミに着目しました。
しかし、専門知識のないユーザや誇張表現を含むクチコミが存在するため、情報の質が低いことや、ステルスマーケティング(企業がユーザに広告であることを明記せず、クチコミの投稿を依頼すること)が行われている可能性があるという問題点があります。
これまでクチコミの信憑性についての研究は行われていますが、ステルスマーケティングのみに焦点を当てたものが多く、さらに化粧品のクチコミに特化していません。
わたしは化粧品のクチコミについて、以下のような特性を持っていると考えています。
- 消費者の個人差(肌質、パーソナルカラー、化粧の好み等)が大きいことで、化粧品への評価・意見が人によって異なる
- クチコミから「その化粧品を本当に使っているのか」「どの程度使っているのか」が判断しづらい
- 化粧品は試供品を配布していることが多いですが、化粧水や美容液など一定期間以上の使用で効果が出るものに関して試供品の使用のみで書かれたクチコミは参考にならないと言えます
- 化粧下地の上にファンデーションを塗るなど、一つの箇所に複数の化粧品を併せて使うことが多い
- ファンデーションのクチコミに肌の画像が載っている際、その肌はファンデーションの効果で綺麗に見えているのか、化粧下地の効果も相まって綺麗に見えているのか判断できません
- さらに、併せて使う化粧品にも相性の良し悪しがあります
こうした特性を同時に持ち合わせているため、化粧品のクチコミに特化した多面的な信憑性評価が必要です。
ここで私たちは、そのクチコミが真実かどうかを完璧に判断することはほぼ不可能であると考えています。しかし、ユーザに対してその判断を支援するということは可能であると考え、信憑性の評価が苦手なユーザに対してシステムによる客観的な評価に加え、信憑性評価が比較的得意な他のユーザの評価基準を共有することで支援することを目指しています。
具体的には、こちらのイメージ図のように複数の評価軸から信憑性を評価し、ユーザに提示するシステムを実現しようと考えています。
この化粧品のクチコミに特化した信憑性評価システムの実現を最終目標として、昨年の研究では化粧品のクチコミの文章に着目したデータセット構築と、それをもとに信憑性評価軸の検討を行いました。
そこで今回は、検討した信憑性評価軸の有用性を確かめるために、以下のことに取り組みました。
- 使用状況別のクチコミ作成
- 有用性の検証に用いるためのクチコミを、使用状況別(実際に長期間使用・一度しか使用していない・全く使用していない)に計323件作成
- 軸評価データセット構築
- 検討した信憑性評価軸をもとに作成した評価項目を用いて、提示されたクチコミが項目に当てはまるかを評価
- 評価データを用いてどれほどの精度で使用状況を判別できるか機械学習によって検証
- 80.2%の精度で判別できました
- ファンデーションのクチコミのみに絞ると87.7%まで精度が上昇しました
詳細については後述するスライド及び原稿をご参照ください。
なお、今後は幅広い世代からクチコミを作成してもらい、同様の検証を行いたいと考えています。
さらに、今後は文章だけでなく画像や投稿者についての分析も行い、最終的にシステムを実現したいと考えています。
また、システムを実現する際には、今回の軸評価データセット構築で行なったクチコミに対する評価を、マイクロタスクを用いてユーザに回答してもらうことを考えています。
これにより、膨大なデータを収集し、高精度で信憑性評価を行うことを目指します。
スライド・原稿
こちらがスライドと論文情報になります。
本研究の詳細はこれらをご参照いただければ幸いです。
感想
当初は淡路島で開催予定でしたが、オンライン開催に変更になり大変ショックでした……😔
しかし発表当日は大学で、共著の伊藤さんに見守られつつ発表できて安心感がすごかったです!伊藤さんいつもありがとう~!
お昼には研究室に来ていたみんなでインドカレーとスタバを買いに行きました🍛
コロナ禍でなかなか大学に行けていなかったのですが、人とお昼ご飯を食べられるだけで幸せですね🤤
わたしはM1なのであと一年、研究をより有意義なものにできるよう頑張ります!
そして来年こそは現地開催の学会に参加したいです!!できれば京都に行きたいです!!
最後になりましたが、研究活動にあたって様々なご指導をしてくださった中村先生、議論や論文執筆でサポートをしてくださった研究室の皆さんに心よりお礼申し上げます。
最後まで読んでいただきありがとうございました🐶
ピンバック: 2022年度 修了生: 伊藤 理紗【修士(工学)】 #28 | 中村聡史研究室
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