はじめに
こんにちは!
M1の中川です。春も終わり、暖かい日が多くなってきましたね。
さて、5/15, 16に沖縄産業支援センターで開催されたHCS5月研究会にて発表してきましたのでその報告をさせていただきます。
研究概要
この研究は、1月にHCI201で発表した研究の続きとなりますので、よろしければそちらも併せてご覧ください。
動物園や水族館にて生き物を観察しようとしても、ついついなんとなくになってしまい、記憶に残らないことが多いものです。この研究は、個体それぞれの特徴に着目しながらの観察を促すことでその生き物への興味や愛着、記憶を高めることを目指しています。
本研究では人気が高く、個体の差がわかりやすい生き物としてペンギンに着目しました。ペンギンは腹部に個体ごとに異なる斑点模様があり、全く同じ模様のペンギンはいません。この腹部模様に注目して、模様をぬりえしながら観察し、さらにぬりえからペンギンの名前を検索することでペンギンへの興味や印象が高まるのではないかと考えました。
実験・分析
これまでの研究では、スマートフォン上でぬりえをしてそのデータを収集するシステムを実装し、ぬりえ同士の類似度評価を行ってきました。本研究ではその追加分析として、人のぬりえの傾向を調査しました。
まず、システムで得られたぬりえデータについて、最初の3, 4画目までを使った類似度の分析をしました。その結果が下の図になります。
この結果から、最初の4画目までを用いた分析でも十分に類似度評価が可能であり、さらにこのことからぬりえの最初の3, 4画程度にそれぞれのペンギンの特徴が表れていると考えられます。
続いて、観察したペンギンごとに模様の描画順の可視化とtri-gram分析を行ったところ、多くの参加者が上から下・左から右に向かって点を描く傾向があることがわかりました。また、腹部の外側や円形に散らばっているような模様のペンギンは左上の点を起点として時計回りに点を描いている傾向がありました。
実地実験
さらに本研究では実際に展示されているペンギンでも検証するために、京都水族館に行って実地実験も行いました。
実地実験の結果は、上記の実験と同様に上から下に点を描画する傾向がありましたが、左右方向についてはペンギンを観察する方向が影響しバラつきがありました。
今後は、実験参加者や分析するペンギンの数を増やして再度実験する予定です。また、ぬりえの特徴からそのペンギンのチャームポイントを推定することや、ぬりえからペンギンを検索するシステムの実装を考えています!
発表スライド
論文情報
中川 由貴, 中村 聡史. 腹部斑点のぬりえ順序に基づくペンギンの個体推定, 信学技報 ヒューマンコミュニケーション基礎研究会(HCS), 2023.
おわりに
対面では2回目の学会発表でしたが、まだまだとても緊張しました。HCS研究会に参加するのは初めてだったので新鮮なことも多く、他の大学の学生や先生方と交流できたり色々な分野の研究を聞いたりと充実していて楽しかったです!
空き時間には美ら海水族館やパイナップルパーク、首里城、シュノーケルなど沖縄らしいものをたくさん体験できました〜!ご飯も美味しくて毎日お腹いっぱいまで食べていました。
最後になりますが、多くのサポートをしていただいた中村先生、研究室のみなさんに心から感謝いたします。ありがとうございました。
ピンバック: 第204回HCI研究会で「ペンギンの腹部模様に注目したぬりえ型検索手法」というタイトルで発表してきました(中川由貴) | 中村聡史研究室
ピンバック: 第205回HCI研究会で「ペンギンの腹部模様に注目したぬりえ型検索・観察手法の水族館での検証」というタイトルで発表してきました(中川由貴) | 中村聡史研究室
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