第205回HCI研究会で「ペンギンの腹部模様に注目したぬりえ型検索・観察手法の水族館での検証」というタイトルで発表してきました(中川由貴)

投稿者: | 2024年1月9日

はじめに

こんにちは。中村研究室M1の中川です。

今年は例年に比べて暖冬とはいえ、日増しに寒くなってきましたね。

さて、2023年11月21, 22日に淡路島夢舞台国際会議場で開催された第205回HCI研究会にて発表してきましたので、その報告をさせていただきます。この研究は1月にHCI201で発表した研究5月にHCS研究会で発表した研究8月にHCI204で発表した研究の続きとなりますので、よろしければそちらもあわせてご覧ください。

研究概要

水族館ではたくさんのペンギンが展示されていますが、展示全体を俯瞰して観察する人が多く、なかなかそれぞれの個体にまで着目して観察する人はいないのではないでしょうか?

そこで我々は今までに、ペンギンの個体の名前や特徴に着目しペンギンへの興味やその後の記憶につなげる手法として、「ぬりえ」と「名前検索」を組み合わせた観察支援システムを提案してきました。具体的にはスマートフォンでペンギンの腹部の斑点模様をぬりえしながら観察し、さらにそのぬりえからペンギンの名前を検索できるようなシステムです。

これまでの研究では、プロトタイプシステムを実装してぬりえの類似度から名前検索が可能かを評価し、ペンギンのぬりえデータセットを構築してきました。一方で、水族館で自由に動きまわるペンギンをみながらぬりえすることを考慮できていなかったことや、システムを使った観察がペンギンの記憶に与える影響を調査できていないという課題がありました。

本研究ではまず水族館でのぬりえに向けて、ぬりえシステムの改良をしました。ペンギンの動きや岩などの障害物によって腹部を完全にぬりえできなかった場合は、見えない箇所を指定することで検索条件から除外できるようにしました。また、描いたぬりえから名前を検索すると、類似度が高い順に推定されるペンギンの検索結果が提示されるような手法を提案し、Webシステムとして実装しました。このシステムを参加者に実際に水族館に行って使用してもらい、ペンギンの記憶にどのように影響したかを調査しました。

見えない腹部の指定

 

検索結果インタフェース

 

実験の結果、ペンギンの名前を覚えるように指示をしていなかったにもかかわらず、水族館を訪れて6日後でも1人あたり平均2.2羽のペンギンの名前を記憶しており、参加者9名中4名が1羽以上のペンギンの画像と名前を一致させることができていました。このことから、システムを用いた観察がペンギンの記憶につながる可能性があることがわかりました。

今後は、さらにシステムを改良し、水族館での実証実験を実施していく予定です。

詳細については下のスライドや論文情報をご参照ください。

 

発表スライド

論文情報

中川 由貴, 中村 聡史. ペンギンの腹部模様に注目したぬりえ型検索・観察手法の水族館での検証, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2023-HCI-205, No.35, pp.1-8, 2023.

おわりに

2023年3回目のHCI研究会での発表でした。今だに登壇発表は緊張しますが、毎回様々なご意見をいただき、研究の改善につながっています。

淡路島での研究会は2度目の参加でしたが、前回はコロナ禍だったこともあり、今回は空いた時間に観光やご飯など、やさしい後輩たちと一緒に淡路島を存分に楽しめました。

うずしお

 

日の出

 

しらすピザ

 

最後になりますが、たくさんのサポートをしていただいた中村先生、研究室のみなさんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

第205回HCI研究会で「ペンギンの腹部模様に注目したぬりえ型検索・観察手法の水族館での検証」というタイトルで発表してきました(中川由貴)」への4件のフィードバック

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