EC2024にて「水族館でのペンギン個体識別法の調査と腹部模様に着目した観察手法の比較検証」というタイトルで発表してきました(中川由貴)

投稿者: | 2025年6月3日

はじめに

こんにちは。中村研究室D1の中川です。

かなり時間が空いてしまいましたが、2024年9月2日~9月4日に北海道情報大学で開催されたEntertainment Computing (EC) 2024にて発表してきましたので、その報告をさせていただきます。

この研究はHCI201で発表した研究HCS2023年5月研究会で発表した研究HCI204で発表した研究HCI205で発表した研究HCS2024年5月研究会で発表した研究の続きとなりますので、よろしければそちらもあわせてご覧ください。

研究概要

本研究では、全体を眺めるだけの俯瞰したものとなりがちな水族館でのペンギン観察をより良いものとするため、来館者がペンギンの個体の違いに着目し描画を通じて個体識別するシステムの開発・検証に取り組んでいます。

まず、今回の研究では現在ペンギンを飼育する水族館や動物園がどのような展示を行っているかを把握するため、国内外18施設を訪問し、展示の実態を調査しました。その結果、17施設がペンギンを羽につけたフリッパーバンドで個体識別しており、また10施設がペンギンの個体一覧など、個体に着目させるような掲示をしていることがわかりました。

水族館独自の様々なフリッパーバンド

ペンギン図鑑の掲示(掛川花鳥園)

このようにほとんどの水族館において識別に用いられてるフリッパーバンドですが、これらは非常に小さく視認性が悪いため、来館者がバンドの色から個体を識別することは容易ではありません。またバンドをつけることがペンギンにとってストレスとなる可能性も指摘されています。

そこで本研究では、ペンギンの腹部にある斑点模様に着目しました。この模様は個体によって全く異なるため識別の手がかりとなります。この腹部模様をスマートフォン上で描画し、さらにその描画から個体を検索するシステムを開発しました。

提案システムのインタフェース

今回の研究では、提案システムを使った個体識別と既存システムのバンドによる個体識別(ぺんたごん)を比較し、提案システムを使った観察がペンギンの記憶にどのように影響するか調査しました。実験の結果、バンドによる個体識別は「ピンクのさくら」のようにバンドの色から連想できる名前など一部のペンギンのみが記憶されていたのに対し、提案システムによる個体識別では様々なペンギンが記憶されていることがわかりました。さらに、実験参加者からにフィードバックから提案システムでは、個体の特徴の認識や個体への関心を高める可能性が示唆されました。

今後の研究では水族館と協力した実証実験を通じてより詳細な検証をしていく予定です。

詳細については下のスライドや論文情報をご参照ください。

発表スライド

論文情報

中川 由貴, 中村 聡史. 水族館でのペンギン個体識別法の調査と腹部模様に着目した観察手法の比較検証, エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2024論文集, Vol.2024, pp.348-357, 2024.

おわりに

今回はじめてEC研究会に参加させていただきました。他の学会とはまた違った雰囲気で、興味深い研究が数多く発表されていて、とても刺激的でした。国内学会でデモやポスターの発表を聞くことができたのもとても楽しかったです。また、学会に一人で参加するのははじめてで当初は心細くもありましたが、発表や懇親会の場では多くの人と議論することができて貴重な経験になりました。発表では一般セッション優秀賞をいただくこともでき、大変光栄に思っています。

北海道では、ジンギスカンやスープカレー、味噌ラーメン、お寿司と美味しいごはんをたくさんいただきました!学会の合間の時間には旭山動物園にも足を運び、展示調査をしてきました。また機会があればぜひ訪れたいです。

スープカレー

時計台

旭山動物園(ホッキョクグマ)

旭山動物園(キングペンギン)

最後になりますが、お忙しい中たくさんのサポートをしていただいた中村先生、研究室のみなさんに心から感謝いたします。

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