はじめに
こんにちは。中村研究室D1の中川です。すっかり冬らしい寒さになってきましたね。
さて、2025年12月3-5日に北海道の定山渓ビューホテルで開催されたWISS2025(第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ)にて登壇・デモ発表してきましたので、その報告をさせていただきます。この研究はHCI214で発表した研究と同様の内容です。
研究概要
動物園や水族館でペンギンを見ていて、「さっき見ていたあの子、どの子だろう…」と思ったことはありませんか?多くのペンギンが一緒に展示されていると、個体ごとの違いに気づくのは意外と難しいものです。
そんな課題に着目して開発したのが、ペンギンのお腹の模様を描いて個体を探すシステム「ペンさく」です。
ペンギンには、おなかに個体ごとに全く異なる斑点模様があり、この模様を使って簡単に個体を見分けることができます。本研究ではこの腹部模様に着目し、ペンギンを観察しながら腹部模様を描画することで、その個体情報を検索できるシステムを開発・検証してきました。
過去の研究では、大学生を対象としたシステム利用実験を行い、ペンさくを使った観察がペンギン個体の記憶や関心を高める可能性が示唆されました。一方で、実験参加者や期間が限られていたため、今回、東京のサンシャイン水族館にて一般来訪者を対象とした実証実験を実施しました。ペンさくの説明とアクセス用QRコードを載せた掲示を2024年10月15日(火)~21日(月)(19 日(土)を除く)の6日間、ペンギン展示前に設置し利用者の様子を観察しました。
(これまでの研究については以下の記事内にリンクがありますので、気になる方はぜひご覧ください。)
EC2024にて「水族館でのペンギン個体識別法の調査と腹部模様に着目した観察手法の比較検証」というタイトルで発表してきました(中川由貴)
実験の結果、期間中確認できただけでも167組270名の方がシステムを利用しました。特に、子連れの家族や常連の方による利用が多くみられました。利用の様子としては、1つのスマートフォンを囲んで同行者同士が画面を見せ合いながら使ったり、「のんちゃん〜!」と検索によって分かった個体名を呼びながら話したりする場面が多く観察され、個体をきっかけとしたコミュニケーションの促進につながっていました。また、個体ごとの模様の違いに気づく発話や、夢中になって何羽も描画を繰り返す利用者も確認され、展示前での滞在時間が増加する傾向もみられました。これらの結果から、ペンさくの利用がより主体的な観察を促す可能性が示唆されました。
今後は、ログデータを活用した詳細な分析や、長期実験、他の水族館での展開を通じて、観察体験への影響を検証していく予定です。
詳細については下のスライドや論文情報をご参照ください。
発表スライド
論文情報
おわりに
今回が初めてのWISS参加でした。噂には聞いていましたが、これまでに参加した国内会議とは形式も規模もまったく異なり、すべてが新鮮でした。あれだけ多くの人の前で発表する機会はなかなかないため、当日はものすごく緊張しました。今回は登壇発表に加えてデモ発表も行い、多くの方と直接議論したり、さまざまなアイデアやコメントをいただいたりと、とても貴重な経験でした。また発表では最優秀発表賞をいただくこともでき、大変光栄に思っています。来年も参加できたらいいなと思います。
合宿形式の学会のため、ホテルの外に出ることはほとんどありませんでしたが、北海道は雪がたくさん降っていて、普段雪を全く見ない身としてはとても感動しました。ふわふわでした。振り返ってみると、私が発表した国内学会は直近3回連続札幌開催で、なんだか縁があるなと思いました。
本研究の実施にあたり、多くのサポートをしていただいた中村先生、研究室のみなさんに心より感謝いたします。また、実証実験の機会を提供してくださり、研究に多大なご協力をいただいたサンシャイン水族館の皆様にも、深く御礼申し上げます。




