髙橋 拓さん(先輩たちを従えて)
学部3年生~修士2年生の4年間研究室に在籍し、表彰2件、国内会議発表8件(主著が5件)と、わずか4年間でかなりの成果を残しました。
まず学部3年生の頃にはひとの集中を促す研究に取り組んでいました。ここでは、あえて集中を妨害する刺激を提示し、その後その妨害刺激を減らすことで、ひとが集中したと錯覚させることができるのではと考え、様々なタスクを設計し、実験を行いました。この研究成果は、研究室の様々な研究テーマに派生しているばかりか、共同研究費の獲得につながっています。
また、学部4年生からは、本人が趣味としているイラスト制作において、なかなか客観視することが難しく、SNSなどに投稿した翌朝になんじゃこれと思って削除したくなる問題に着目し、その客観視をできるだけ早く可能にするための研究に取り組みました。卒論では、美大生がどのように客観視を行っているのかの基礎調査とインタビューなどを行うことで、客観視のための方略を模索しました。ここで、Twitterなどに投稿して変にトリミングされて提示された時に問題に気づいたという点に着目し、その方法を「部分遮蔽手法」として提案しました。
また修士では、その手法の有用性を様々な方法で検証するとともに、どのように遮蔽を行うと効果的なのかについて様々な検討を行った上で、遮蔽を自動化する手法を提案し、その有用性を検証しました。また、イラスト制作における大規模な基礎調査も実施し、そうした調査の分析も加えて、修士論文「イラストの部分遮蔽による作画ミス見落とし防止の研究」を書き上げました。
髙橋君は、プレゼンがとにかく上手で、研究室におけるお兄さん的立場として後輩を指導してくれていました。また事務的な仕事などを取りまとめてくれ、随分助けられました。さらに、イラスト制作の技術を活かして色々なプロジェクトにおけるコンテンツ制作にも貢献してくれ、中村研で作ったサービスなどの質を一段階向上させることに寄与してくれました。
4月からエンジニアとして働いてます。どこかで見かけましたら、是非ともお声がけいただきますとともに、ご支援をよろしくお願いいたします。
業績
- 表彰
- 国内発表
- 高橋 拓, 福地 翼, 山浦 祐明, 松井 啓司, 中村 聡史: 周辺視野における妨害刺激の減衰が集中度に及ぼす影響, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI),2017-HCI-175(7),1-8 (2017-10-25) , 2188-8760.
- 桑原樹蘭, 高橋 拓, 中村聡史: 一点注視型タスクにおける周辺視野への視覚刺激提示が集中度に及ぼす影響, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), 2018-HCI-180(13), 1-7 (2018-11-27), 2188-8760 (2018/12/05), 淡路島.
- 高橋拓, 福地翼, 山浦祐明, 松井啓司, 中村聡史: タスク作業中の周辺視野への視覚刺激提示が集中に及ぼす影響の調査, 信学技報, vol. 118, no. 49, HCS2018-1, pp. 1-6 (2018/05/21).
- 髙橋 拓, 中村 聡史: イラスト客観視のための部分遮蔽手法の検討, 情報処理学会 研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC), 2019-DCC-21 (54), 1-8 (2019-01-17), 2188-8868 (2019/01/25).
- 菅野 一平, 髙橋 拓, 中村 聡史. 個人のイラスト制作における観察に対する支援手法の検討, 情報処理学会 研究会報告デジタルコンテンツとクリエーション研究会(DCC), Vol.2020-DCC-24, No.8, pp.1-8, 2020/01/23.
- 髙橋 拓, 中村 聡史. 作画ミス発見のためのイラストの部分遮蔽手法の検証, 情報処理学会 研究会報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-186, No.11, pp.1-8, 2020/01/14.
- 髙橋 拓, 中村 聡史. 作画ミス見落としに関する基礎調査とその防止のためのイラストの自動遮蔽システムの実現, 情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-191, No.9, pp.1-8, 2021.
- 菅野 一平, 髙橋 拓, 中村 聡史. 言語化と画像の分割表示による模写時の観察支援手法の検討, 情報処理学会 研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC), Vol.2021-EC-59, No.44, pp.1-8 (2021/03/17).
- 学位論文
- 修士論文「イラストの部分遮蔽による作画ミス見落とし防止の研究」
- 卒業論文「イラスト客観視のための部分遮蔽手法の検討」
ピンバック: アイ・オー・データ機器さんから、これまで研究室で取り組んでいた周辺視野への視覚刺激を利用した集中機能を搭載したディスプレイが発表されました – 中村聡史研究室