第121回CN研究会にて「優柔不断度合いを再現可能なタスクの設計と視線情報を用いた後押し手法の評価」というタイトルで発表してきました(小松原達哉)

投稿者: | 2024年7月25日

はじめに

こんにちは、中村研OBの小松原です。

2024年1月22、23日に伊豆大島にて第121回CN研究会が行われました。

そこで「優柔不断度合いを再現可能なタスクの設計と視線情報を用いた後押し手法の評価」というタイトルで研究発表してきましたので、本記事では遅ればせながらその報告をさせていただきます。

なお、今回の研究内容はこれまでに行ってきたものの内容の続きとなりますので、そちらの記事も合わせてご閲覧ください。

 

研究概要

ここまでの研究では、視線情報を活用した意思決定支援システムの提案とその実際の効果を検証してきました。具体的には、以下のような実在の画像が掲載されたメニューから一つを選択するタスクを通じて、システムの意思決定支援能力を評価してきました。

以前の実験で用いた選択肢

 

しかし、タスクに対しての決定理由を訪ねた際に「過去に行ったことがあるから」や「普段からその料理を食べるから」といったような回答が得られました。これらのような個人の経験や知識が決定理由になってしまうと、実験協力者の選択中の振る舞いを観察したいときに、実験協力者ごとにタスクへの悩みやすさが異なってしまい、実験協力者間の結果を比較することが適切でなくなってしまうと考えられます。

また実験に用いる選択タスクが抱える問題として、複数の選択タスク間で難易度を統一することや、違和感のないようにバリエーションを増やすことが難しいことも挙げられます。過去に行われている選択中の行動を分析する実験においても、1種類の選択タスクのみで実験しているものや、選択肢の数が2、3個のものも多くあります。

そこで本研究では、生成AIを用いて選択タスクに関する情報を設計することを提案しましたこの手法によって、選択肢に関する事前情報の影響を取り除きながら、同程度の情報量を複数の選択肢にわたって均一的に用意することを狙います。

実際に生成AIを用いて出力された観光地に関する選択タスクの選択肢情報は以下のようになります。

Spot(行きたい観光地)選択タスク

この選択肢情報は、生成AIによってそれぞれ選択肢の情報となる値段や所要時間といった要因を10個の選択肢に関してランダムに割り振り、またその選択肢に関してユニークな説明文と画像の情報が付与されています。

このようにして4つの選択タスクについて生成し、これまでの研究で開発してきたシステムを使いながら選択をしてもらう実験を行いました。その実験では以下の2点について検証しました。

  • AIによって生成された架空の選択タスクであっても実験で用いることができるか。
  • システムがどのように選択タスクへの取り組みに影響するか

実験の結果、選択タスク後に行ったアンケートで選択した理由を尋ねたところ、「駅近で値段も安く,評価も悪くなかったため」(Restaurant)「海に行くこととパーティーが好きなので移動時間は他の観光地と比較して長いですが魅力的なので選択しました.」(Spot)といったような回答が得られました。これらの回答から、選択タスクの設計においてAIによって生成された架空の固有名詞や設定を織り交ぜることが有効であると考えられました。また回答の傾向などから、選択肢の情報について「金額が安いが移動時間が長い」と言ったような一長一短の関係を取り入れることなどによって、選択肢ごとの選択率を調整できる可能性が示唆されました。

タスクの設問に対する選択率について、これまでの実験では0.25%ほどの確率でしか起こり得ないような偏りが発生していたのが、依然として選ばれやすい選択肢は存在したものの、その偏りは抑えられた結果となりました。

選択肢ごとの選択率を表したグラフ

また、実験協力者の半数にシステムを使用した状態で、もう半数にはシステムを使わない状態で選択タスクに取り組んでもらい、その影響の差について検証しました。結果として、システムを使用群の方が選択タスクについて悩まなかったと回答していました。このことから視線情報を用いた意思決定支援システムによって選択が後押しされたと考えられます。

 

原稿情報

優柔不断度合いを再現可能なタスクの設計と視線情報を用いた後押し手法の評価

発表スライド

感想

学生生活最後の研究発表会でした!学会発表も懇親会も刺激的で、とても大切にしようと思える経験でした。

会場となった伊豆大島はとても楽しみにしていたのですが、天候の問題で若干の不完全燃焼となってしまったので、いつかまた必ず訪れたいと思います!船旅や景色はゆったり楽しみました!

最後に、発表にあたってご指導してくださった中村先生と、様々な意見をくださった研究室メンバーの方々、ありがとうございました!

 

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