はじめに
こんにちは,中村研所属のM2の船﨑友稀奈です.
報告が遅くなりましたが,2022/9/7~9/9に開催されたKES2022にて発表を行なってまいりました.
KES2022で発表した内容は,2022年の1月にGNで発表した研究内容を整理して英語化した内容です.よろしければそちらもご覧ください.
研究概要
自身の熱中・没頭するものの中で情熱を捧げて応援する対象を「推し」と表現する文化が広がりつつあります.テレビ番組でもコーナータイトルに〇〇推し!などとついているものも多く見かけるようになりました.このような推しは自分のみで楽しむだけでなく,同じ気持ちを共有したい・良さを知って欲しいなどの理由から他者に自分の推し作品や人,ものなどを推薦する推し語りも増えています.テレビ番組のコーナーは芸能人の方のこれが好き!というのを発信しているものですから推し語りのひとつだなと個人的には感じています.
しかし,多くの人が自身の好きな推しを詳しく知らない他者に推薦しても,なかなか興味をもってもらえない問題があります.インフルエンサーなどの影響力の強い方ならファンがファンが興味をもってくれるのかも知れませんが,実際自分の友人や家族などにこれおすすめだから見てみてよ!などと推薦してもうまくいかないことが多いです.過去の研究でわたしと同じような経験をした人がどのくらいいるのかというアンケート調査を行ったところ,約800人のアンケート回答者のうち,80%近くの方が推し語りがうまくいかなかった経験があると回答しました.
このような問題を解決するために,我々はこれまでの研究で「推し語りの聞き手に検索クエリを考えさせる」ことで受け身になっている聞き手に興味を持たせる方法を提案し,有用性を調査する実験を行いました.
条件を統一するために「漫画」ジャンルを推薦コンテンツとしました.また,実験協力者には実験を行う前に「漫画にどのくらい親しみがあるか(よく読むか)」という質問を7段階のリッカーと尺度で回答してもらいました.
実験の結果,
- 提案手法群の方が,推薦を受けた後のコンテンツへの興味増加値が高い傾向があった
- 提案手法は推薦する題材に依存せず相手に興味を持たせるのに効果的な可能性が示唆された
- 実験後に調べてみたいと感じた実験協力者の数は提案手法群の方が多かったが,1週間後に実際に調べた実験協力者は多くなかった
ことが明らかとなりました.
この結果を踏まえて,今後は推薦を受けて興味が増加した後もその興味が持続する方法を模索していきたいと考えています.また,実験では実験協力者に「検索クエリを考えながら推薦を聞いてください」と伝えていましたが,通常の推し語りの場面で相手にこのように伝えるのは自然ではありません.そのため,今後は自然に検索クエリを想起できるような方法についても考えていく予定です.
文献情報
スライド
感想
今回現地で参加予定だったのですが出発の数日前に家族がコロナに罹ってしまい,泣く泣くオンライン参加となりました.
現地で参加している先生や後輩の写真をいいな・・・と羨ましく見ながら,発表時間が日本時間で夜23時とかだったので眠い目を擦りながら必死に起きていたのを覚えています.
先生たちのお写真を見ていると街並み含めて本当に素敵な場所ばかりだったので,社会人になってお金を貯めたらいつか絶対行くぞと意気込んでいます.
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