OzCHI2025にて「Seeing Isn’t Believing: How Visual Illusions Distort Color Selection」というタイトルで発表してきました(小林沙利)

投稿者: | 2026年1月28日

はじめに

こんにちは、中村研究室M2の小林沙利です!

2025年11月29日〜12月3日にオーストラリアのシドニーで開催されたOzCHI2025にて、「Seeing Isn’t Believing: How Visual Illusions Distort Color Selection」というタイトルで発表してきましたので。その報告させていただきます。

今回発表した内容は第206回HCI研究会HCS202408で発表した内容を再整理して英語化したものになりますので、よろしければそちらもご覧ください。

 

研究概要

色はデザインの印象を決める要素であり、その選択にこだわる人は多いです。ここで、デジタル上で色を選択できる色選択インタフェースには、選ぼとした色と実際に塗られる色の印象が異なってしまうという場合があります。

たとえば、黒いパレット上で選んだ色を白いキャンバス上に塗ると思ったより色が暗かった、ということがあります。

 

このように色を見間違えてしまうのは色選択インタフェースの起こす錯視が原因であると我々は考えました。このような錯視現象により選んだ色と実際に塗りたい色の印象が異なると、デザインが自身のイメージと変わってしまい、その修正に手間がかかってしまいます。

 

そこで我々は、錯視に考慮した色選択インタフェースを実現するための基礎調査として、明るさの対比に着目し、「色選択の際に周囲の色にどのような影響を受けるのか?」を調査しました。

 

まずはじめに、明るさの印象が異なってしまう現象について、明るさの対比という錯視が関わっていると我々は考えました。

明るさの対比とは、周囲の色によって色の明るさの印象が異なって見える現象を指します(参考)。

 

実験では、下のシステムを用いてターゲットと同じ色を選択するタスクを行いました。

実験システム

まず、画面上部にターゲット色が表示され、右下にあるカラーピッカー上で色を選んだら、その選択色が左下の枠の中に表示されるので、そちらを見ながら色を調整するというものです。

この枠の色、つまり周囲の色を変えると選ぶ色に変化はあるのかという調査を行いました。

 

以下の6つの条件を用意し、もし明るさの対比現象が確認されるなら、暗い枠に囲まれた色は枠より明るく見えるためより暗い色を、明るい枠に囲まれた色は枠より暗く見えるため明るい色を選ぼうとする現象が確認できると考えられます。

明るさの条件

 

実験の結果、以下に示すように、周辺の色が暗い条件ほど、ターゲットより暗い色を選び、周辺の色が明るい条件ほどターゲットより明るい色を選ぶ傾向にあることが明らかになり、明るさの対比現象が確認されました。

左側が暗い条件、右側が明るい条件を指しています。横軸がターゲットの明るさを、縦軸がターゲットと選んだ色の差を表しています。値が低いほどターゲットより暗い色を選び、高いほどターゲットより明るい色を選んだことを示しています。

 

2つ目の調査として、選択する色の周囲にカラフルな色がある状態で、選択する色の大きさも変わったらどのような色選択行動がみられるのかを、1つ目の調査と同じタスクで調査しました。

 

簡単に結果をお話ししますと、まず、枠の色に関して、PB条件という青と紫の間に該当する色の誤差が最も小さくなり、RP条件という赤と紫の間に該当する色の誤差が最も大きくなりましたが、色ごとの特徴は大きく表れませんでした。

横軸が色の種類を、縦軸がターゲットと選んだ色の誤差を示しています。

 

大きさに関しては、表示面積がターゲットより小さいほど誤差が大きくなる傾向がみられました。やはり、表示される色の面積が小さいとターゲット色と比較しづらく、その分誤差も大きくなったと考えられます。

 

横軸が表示面積を、縦軸がターゲットと選んだ色の誤差を示しています。

 

これらの結果を踏まえて、色選択インタフェースで色選択が阻害される要因を整理しました。

まず、色選択インタフェースの背景について、ソフトによってはダークモードという背景色を黒色にする機能があります。このモードを適用すると、選んだ色が意図したものより暗く見えてしまいます。


 

 また、画像に示す色選択インタフェースでは、「テーマの色」や「最近使用した色」のような色の候補を示す大きさは色選択インタフェースそのものの面積よりもかなり小さくなっています。この小ささが色選択を阻害しているのではないかという可能性が示されました。

 

これらを意識したインタフェースの設計がユーザの意図した色選択を助けるものになると考えています。

 

発表スライド

 

論文情報

Sari Kobayashi, Satoshi Nakamura. Seeing Isn’t Believing: How Visual Illusions Distort Color Selection, 37th Australian Conference on Human-Computer Interaction (OzCHI 2025), pp.150-162, 2025.

 

あとがき

2回目の英語発表でした。もともとOzCHIへの投稿はチャレンジ枠のつもりだったので、採録を頂き、会場で発表することができたのはとても嬉しく、やって良かったと思いました。

学会期間中に,会場周辺のカフェでパンやラテを味わえたのも現地らしさを感じてモチベーションが上がりました。


 

こちらは空き時間に観光として訪れた世界遺産のブルーマウンテンズ国立公園です。

一緒に出張した同期がここに行くことを提案してくれて、「景色が綺麗らしい」くらいのノリで来たのですが、とにかく大規模な自然で、視界の広さに圧倒されました。空の一部を小さな箱に詰めてお土産として持ち帰りたかったです。

 

海外での学会という緊張する状況ではありましたが楽しく過ごすことができました、一緒に行った皆さんに感謝です・・・!

 

最後になりますが、ご指導いただいた中村先生、発表練習を聞いてくださった研究室の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

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