はじめに
お疲れ様です!中村研究室B3の福井雅弘です.
2023年3月15日から17日の3日間にわたって那覇で開催されたMVE研究会に参加し,「ドライビングシミュレータにおける道路幅の変化が運転に及ぼす影響」というタイトルで発表させていただきました!今回はその詳細を報告します.
研究内容
車でお出かけすることが多いよ!という方の中には,カーナビに従って運転していると,かの悪名高い国道425号の様な非常に通りにくいルートを案内されてしまった,といった経験がある方は結構多いのではないでしょうか? こうした不遇な状況を避けるために,カーナビに道路条件ごとの運転の難易度を反映してユーザに適した経路推薦をすることが必要だと考えました.
そのためには,道路条件を使って運転難易度を数値化できるとよいのですが,そうしたモデルはまだ存在していません.我々はここで,ある経路の道路条件における運転の難易度推定に,GUI操作において経路の通過時間の予測に用いられるステアリングの法則が応用的るのではないかと考えました.
本研究の問いは,ステアリングの法則を用いることで運転の難易度のモデル化が可能であるか検証することです.これまでに直線・カーブでの運転について調査されており,ステアリングの法則を使って通過時間や運転難易度を予測できることが明らかになっています.
また,直線やカーブだけでなく幅が変化する経路においても,GUI操作を対象としたステアリングの法則の研究が行われています.Accotらは,幅が狭いほど難易度が高くなるモデルを提案し,幅が狭まる条件で法則の成立を確認しました.Yamanakaらは,幅が狭まる時の方が広がる時より難易度が高くなるモデルを提案し,幅が広がる条件を含めて法則が成立することを確認しました.
そこで,運転についても幅が変わる道路(幅員減少だけでなく工事や歩道のせり出し,障害物の存在,合流や分流などによる幅の変化)においてもこれらのステアリングの法則のモデルが使用できるのではないかと考え,検証しました.具体的には,ドライビングシミュレータを使って,全18種類 = 幅6種類(2.5m,5.0m,7.0mの組み合わせ) × 長さ3種類(20m,50m,100m) のコースにおける走行実験を行い,通過時間などの各データについて分析しました.
結果をまとめたグラフを以下に示します.なお,赤い点と青い点はそれぞれ広がる条件,狭まる条件におけるデータを表しています.また,直線は全ての点の線形近似のグラフです.
この結果より,Accottらのモデルに比べ,Yamanakaらのモデルの方が精度が高いということが明らかになりました.しかし,幅が広がるか狭まるかを考慮しないAccotらのモデルでも十分に精度が高いという結果でした.これは,今回設計したコースの難易度が不十分だったことが理由として考えられます.
難易度が高い条件においては幅の広狭が通過時間に強く影響していることから,今後は難易度の高いコースを中心に実験し,両モデルの性能の違いをさらに詳細に調べていきます!
詳細は下記のスライドや実際の論文の原稿を参考にしていただけます.
スライド
論文情報
感想
学会では,現地で初めて会った他研究室の人と話したり,同じVR分野でも全く違う切り口から研究を進めている方の発表を見たりして,色々な人から刺激を受けました!!とっっっても楽しかったです!漫画「ブルーロック」で絵心が言っていた,環境が成長にとって重要だという話を肌で実感しました.(ブルロしか勝たん)
この熱が冷めないうちに研究を進めて,来年度のHCI北海道で追加実験を発表したいと思います(宣言)!!でもその前に卒論か!!!
謝辞
最後になりますが,いっぱい協力してくれた研究室の皆さん,ありがとうございました.特に,いつも丁寧に指導していただき,様々な面で支えてくださった中村先生,毎日のように発表練習に付き合ってくださったり,研究の相談にたくさん乗っていただいた高久先輩には感謝してもしきれません!!
また,私が一番大変だったとき,いつも側にいて支えてくれた私の大切な友人にも,この場を借りて感謝します.元気と勇気をくれる味方が居てくれるからこそ,この研究をやり遂げられたと思っています.この恩は一生忘れません!!
本当にありがとうございました!!!
ピンバック: 沖縄県青年会館で開催されたMVE研究会に参加してきました!(髙久拓海) | 中村聡史研究室
ピンバック: 那覇で開催されたMVE研究会2023年度で「ドライビングシミュレータにおける路上駐車による道路幅の変化が運転に及ぼす影響」というタイトルで発表してきました | 中村聡史研究室