HCS研究会で「スポーツ記者の振り返りを容易化する時系列情報提示システムを用いた取材内容の検証」というタイトルで発表してきました(萩原亜依)

投稿者: | 2024年8月29日

はじめに

おひさしぶりです!

もうMになってしまい、時の流れのはやさに震えている中村研M1の萩原亜依です。

今回は、2024年8月24日・25日に兵庫県立大学商科キャンパスで開催されたHCS研究会にて「スポーツ記者の振り返りを容易化する時系列情報提示システムを用いた取材内容の検証」というタイトルで発表させていただきました。

今回発表した内容は、前回の研究の続きとなっておりますので、こちらも合わせてご覧いただけると幸いです。

研究概要

背景

スポーツ記者かじってました。萩原です。

突然ですが、みなさんは下のような取材を聞いてどう感じますか?

「試合を振り返っていかがでしたか?」

 

「今日の調子はどうでしたか?」

 

「勝因は何ですか?」

 

「今後に向けて意気込みを教えてください」

(私でも聞けるよこんなの…)って思いましたかね笑

そこまでではないにしても、こんな浅〜〜〜〜〜いことしか聞けない取材はいい取材とはいえないと思います。

 

そこで私は以下のような質問を考えられることを本研究の目的としています。

「ラストのところで相手陣地に入って積極的にポイントを狙っているように見えたのですが、意識していましたか?」

 

「1点目は相手選手の動きを見たうえで、相手選手の〇〇を狙った得点でしたか?」

このように試合全体の中から特定のシーンを取り上げる質問や、選手のプレーに対する記者の解釈が含まれる質問を理想としています!

試合やプレーを深掘りする質問をすることで、選手からいい回答を得ることができて良さそうだと思いませんか?思いますよね!!!

 


 

これまでの研究

そこで、私たちはこれまでに試合を深掘りする質問を考えるため、試合の振り返りを容易化するシステムを提案してきました!(詳細はこちらでお話ししてるので割愛させていただきます)

簡単に言うとプレーに関する時系列情報を提示し、フラグを活用して試合を振り返るというものです。

質問作成実験はフェンシングの試合動画で行い、時系列情報としては選手の立ち位置を使用しました。
(赤の折れ線:取材対象の立ち位置、青の折れ線:対戦相手の立ち位置)

前回はこのシステムを用いて質問作成実験を行ったのですが、今回はその質問に対して選手と記者の評価をもとに質問の妥当性について検証することが目的となっています。

 


 

選手・記者による評価

評価してもらう項目は以下のようになっています。

選手

  • 質問内容は理解できるか
  • 回答しやすいと感じるか
  • 自分のプレーやチームについて、わかってくれていると感じるか
  • 質問されてうれしいと感じるか

記者

  • 質問に対する自信度
  • 実際に選手に聞きそうな質問かどうか
  • 記事を書くために考えた質問かどうか

 

これらの評価をもとに、個人的におもしろいなと思ったことについて簡単にご紹介したいと思います!

 

  1. 本研究における理想的な質問は、選手からも記者からも評価が高い
    やはりプレーを深掘りする質問は、選手にとっては試合をよく見てくれていると感じて高評価がつけられ、記者にとっては選手からいい回答を引き出せそうな質問として高評価がつけられるようです。特に選手からの評価においては、わかってくれていると感じるかの項目において高評価がつけられていました。
  2. 選手の立ち位置や攻撃方法について言及した質問は、選手から高評価がつけられることが多い
    これについても、試合をよく見ていないと考えられない質問であるため高評価がつけられる可能性が高いです。一方、相手との点差やセットごとの勝敗といったような、試合を見ていなくても数字のみからわかる質問は、低評価が多くつけられていました。
  3. 具体的すぎる質問は選手にとって回答しづらい
    選手が意図していないプレーに関する具体的な質問や、詳細すぎる場面や時刻指定をしている質問は、選手から回答しづらいという評価がつけられていました。こういった質問をされた場合、選手は回答しなかったり、当たり障りのない回答をしたりしているという意見がありました。ここは改善したいポイントですね〜

 


 

展望

今回の結果を受けて、提案手法は試合を深掘りする質問作成の支援として、選手と記者の双方にとってよいものであると考えています!

一方、詳細すぎる場面や時刻指定をすることで、選手が該当シーンを思いだせず回答できないという課題もありました。そこで今後は、システムの表示画面を工夫したり、選手にもシステムを提示することを検討しています。

学会では、選手と記者の評価のみではなく、記事を読む読者の評価についても気になるといったお声をたくさんいただきました。今までは検討していなかったことだったため、今後の実験設計や研究の方針において参考にさせていただきます。

 


 

発表スライドと書誌情報

萩原 亜依, 中村 聡史. スポーツ記者の振り返りを容易化する時系列情報提示システムを用いた取材内容の検証, 信学技報, Vol.124, No.161, HCS2024-34, pp.1-6, 2024.

 

 

おわりに

今回がはじめてのHCS研究会への参加でした!

トップバッターでとても緊張したのですが、自分の研究に対して質問やコメント、アドバイスをいただけて本当に貴重な体験でした。個人的な話になりますが、自分の研究をなかなか好きになれずにいたので、みなさんにいただいたお言葉からパワーをもらえてこれからも頑張れそうです!他大学の学生ともたくさんお話しして、研究モチベ上がりました☺︎こういうご縁は大事にしたいですね〜〜

また、学会の懇親会にもはじめて参加させていただき、ひよっこの私にもやさしく接してくださってとても楽しい会でした!今後も積極的に参加したいな〜と思いました!

運営してくださった方々や学会に参加していた方々、本当にありがとうございました!

 

一緒に学会に行った同期や後輩もありがとう!一緒に準備した日々とか、もちろん空き時間での兵庫での観光とか、めっちゃ楽しかったです^^

ちゃんと観光もしたよね〜〜!

 

最後になりますが、急遽参加を決めたのにもかかわらず快く送り出してくださり、論文やスライドのアドバイスをくださった中村先生、原稿や発表練習を見てくれたり相談に乗ってくれた先輩・同期・後輩の皆さん、評価に協力してくださった選手・記者の皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました!!!

 

[萩原亜依]

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