第71回エンタテインメントコンピューティング研究発表会で「フェンシングにおける記者の振り返りシーンを考慮した時系列情報提示による取材支援」というタイトルで発表してきました(萩原亜依)

投稿者: | 2024年4月2日

はじめに

中村研究室B4の萩原亜依です。

2024年3月17日~19日に京都学・歴彩館にて開催された第71回エンタテインメントコンピューティング研究発表会にて「フェンシングにおける記者の振り返りシーンを考慮した時系列情報提示による取材支援」というタイトルで発表させていただきましたので、その報告をさせていただきます。

 

みなさんは大学スポーツ新聞をご存じでしょうか?

各大学の所属選手の活躍を,新聞やWeb上で発信する媒体です!私自身明大スポーツ新聞部に所属して、選手に取材したり紙面の作成に関わったりしてきました。明治大学はスポーツが本当に強いので、興味のある方はぜひ明スポや実際の試合を観ていただきたいですね!後悔はさせません・・・!

 

研究概要

大学スポーツ新聞の現状

今回は研究の内容についてお話しする前に、まずは実際に取材でどんなことをしているのかについて軽くお話ししようと思います!

下の画像は、とある4人の取材スケジュールの一例になっています。記者としての仕事のメインである取材以外にも、試合中の写真撮影・試合の告知・結果の速報など大学スポーツを盛り上げるべく活動していることがわかると思います。しかし、プロとは違って大学生の団体なので人員不足が深刻な団体も多く、この業務量を1人でこなさなければならないこともあります・・・

こんなにやることがあるのにも関わらず、現状私たちは紙やスマートフォンのメモアプリなどでメモをとって、それを参考にして質問を考えています。が!写真を撮りながら満足にメモを取ることなんてできません!取捨選択してなんとか工夫してメモをとっているのが現状です。

さらには試合終了直後に取材を行う競技が多く、試合が終わって15分後には取材が始まってしまうというようなこともよくあります。それまでに誰に取材をするか考えて、質問内容を練って、カメラを片付けて、移動して、SNSへの投稿もして・・・15分なんて短すぎます。

メモも十分でなく、質問を練る時間も短くなるとどうなるか。浅い質問ばかりの取材になってしまいます。これが本当に大問題。

「他の情報もパッと参考にできればもっといい質問が思いつきそうなのに・・・!」

そんな気持ちからこの研究が始まりました。

 

いい質問ってなんだろう

研究をするにあたって、どんな質問を目指せばいいのかについても非常に悩みました・・・そこで実際に取材経験のある方々に聞き取りを行ない、いい取材ができたと感じた時にどんな質問をしていたかについて聞き取りを行いました。その結果、以下のような質問が挙げられました。

  • 長期にわたって取材をした経験を生かした、過去に起こった出来事を踏まえた質問
  • 事前準備や下調べを踏まえた質問
  • 特定のプレーを取り上げた質問や、プレーの狙いについて自分なりの分析を行ったうえでの質問

他にもいろいろあるのかもしれないですが、本研究では3つ目の「特定のプレーを取り上げた質問や、プレーの狙いについて自分なりの分析を行ったうえでの質問」を増やすことを支援することにしました。

 

提案手法

先ほど述べたような質問を考えられるようにするため、プレーに関する時系列情報を提示し、それを参考にしながら質問を考えてもらう手法を提案しました。(ここでいう時系列情報とは、選手の立ち位置や走行速度といったような、人間の目と手では追い続けることの難しい情報を指します)

しかし!ただ提示するだけではどこを見ればいいのかわからず、振り返るのが難しい可能性があります。そこでフラグとして用いたのが記者の振り返りシーンです。試合観戦中に、あとで振り返りたいと思ったシーンで入力を行ってもらうことで取得しました。

下の図は実験用プロトタイプシステムの提示画面になります。グラフ上の任意の箇所をクリックすることで、動画の再生位置を自由に変えることができます。

今回の実験はフェンシングの試合動画で行い、時系列情報としては選手の立ち位置を使用しました。
(赤の折れ線:取材対象、青の折れ線:対戦相手)

 

 

実験と結果

提案手法の可能性を検証するため、システムを使って好きに試合を振り返りながら質問を考えてもらう実験を行いました。

その結果、本研究で目指していたような質問が増加し、特にプレーを深掘りするような質問が多くみられました。実験協力者からは「試合全体を把握して質問を考えられるので考えやすい」「数字を意識した質問を考えるようになる」といったような意見が得られました。

今まで時系列情報は、特定の瞬間におけるものしか把握できないものでしたが、グラフで提示することで流れを把握できるようになったというのはうれしかったです!

 

発表スライドと書誌情報

詳しい結果はスライドや論文をご覧ください!

萩原 亜依, 中村 聡史. フェンシングにおける記者の振り返りシーンを考慮した時系列情報提示による取材支援, 情報処理学会 研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC), Vol.2024-EC-71, No.40, pp.1-8, 2024.

 

感想

自分で考えたテーマで発表するのは初めてなうえに、先生がいなくて不安だったこともあり、ほんっっっとうに緊張しました(発表前の心拍数140とかでした)。他の方の発表を聞いたり、ご意見をいただけたりして非常に刺激を受けた3日間でした!

合間でちょこっと京都らしさも味わえてよきでしたね〜〜。仲良しメンバーしかいなかったからただの旅行でした(笑)

小6ぶりの金閣寺。鳳凰がちかっけーでした

 

みんなであんこねりねりしてる図。このあとお抹茶も立てました🍵

 

最後になりますが、全然頭が整理できない私を見捨てずに議論を続けてくださった中村先生、悩んだときに相談に乗ってくれた同期(特にまーくん)、実装で色々助けてくれた古賀くん、論文・発表練習・その他諸々で助けていただいた研究室の方々に感謝申し上げます。ありがとうございました!

[萩原亜依]

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  1. ピンバック: HCS研究会で「スポーツ記者の振り返りを容易化する時系列情報提示システムを用いた取材内容の検証」というタイトルで発表してきました(萩原亜依) – 中村聡史研究室

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