はじめに
こんにちは。初めまして。B3の梶田美帆と杉本知佳です。5/16-17に沖縄産業支援センターにてHCS研究会が行われ、そちらで初めての登壇発表をして参りましたので報告させていただきます。
今回、学部2年生から研究を進めていた「スマートフォンのセンサ情報によるUI評価手法の検討」というタイトルで発表させていただきました。
研究概要
スマートフォンは現在様々な機能が搭載されています。そのため、アプリやサービスの使いやすさというものが非常に重要になってきます。そもそも使いにくいものも結構ありますが、リニューアルをした結果逆に使いづらくなってしまったアプリやサービスを見た経験が、皆さんも一度はあるのではないでしょうか。
なぜ新しくしたら逆に使いづらくなってしまうのか、その要因の一つとして、開発者が自身の作っているアプリやサービスの操作に熟練していて使いづらさに気づいていないことが考えられます。しかし、評価実験などを実施してその使いやすさを調べたりするのには手間がかかるものですし、そもそもちゃんと出来上がっていないもので実験をするのは困難です。また、運用を開始してから使いやすさがどうかを判断したいと思うことはありますが、SNSなどで投稿されるのはその一部の偏った意見であることも多く、なかなか本当にどうなのかということを判断することはできません。そこで我々はスマートフォン上のアプリやサービスのUIの操作しづらさを機械的に推定する手法を実現することを目的とし、研究に取り組んでいます。
ここでは、その操作しづらさを機械的に判定できるようにするため、そのスマートフォン上の網羅的な操作を収集するため、モグラ叩きタスクを設計しました。もぐらたたきタスクでは、ディスプレイを網羅するように穴が配置され、その穴から1つずつ異なる方向を向いたモグラが登場し、そのモグラを方向に合わせた操作(タップ、左スワイプ、右スワイプ)をすることで、次のステップに行けるというものになっています。
このタスクを19人に4×6のもので72回を10セット、28人に4×7のもので84回を10セット実施してもらい、操作とそのセンサの動きを収集しました。
また、もともと中央は使いやすい操作、端は使いづらく、上下が大きくなると操作しづらいという仮説を立てていたのですが、各部分の操作についてアンケートを取ったところ想定通りの結果が得られたため、その使いやすい操作、使いづらい操作を機械的に判定できるかをランダムフォレストを用いて検証しました。その結果、
- 画面の左端・右端と中央の使いづらい、使いやすいの判定では最高82.1%の精度
- 上下の同様の判定では最高82.4%の精度
- 使いやすい中央の操作は判定精度が最高で51.7%と低かった
以上のことから、センサ情報を利用することによってある程度操作のしづらさの判定ができる可能性が示唆されました。
ただ、現状では全員が端を操作しづらいと仮定していますが、ひとの手の大きさなどによってはこの結果は変わってくると考えます。また、場所によって違いが出てくる可能性もあります。そこで今後は操作位置以外での基準で使いづらさを定義し、判定可能かについて検討すること、また、個人差に対するアプロ―チも検討することを行っていきたいと考えています。
将来的には、ユーザの操作から、ユーザインタフェース自体の使いやすさを判定する手法の実現を目指していきたいと思っています。
参照
論文および発表スライドについては、以下から参照いただけます。
感想
色々と大変なことが多かったのですが、無事に発表まで終えられてほっとしています。学会では温かいご意見をいただき、また、他の方の研究に触れられ大変刺激を受けました。この体験を糧に今後も頑張ります。
もずくの天ぷらがとてももちもちしていておいしかったです。
最後になりますが、お忙しい中様々なサポートをしてくださった中村先生、先輩方にこの場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました(梶田)
初めての研究で、機械学習という難しいテーマがメインで、よくわからなくなってしまった時もありましたが、本番は練習してきたものよりも一番良い状態で発表することができたので安心しました。また、モグラ叩きを行うということで興味をたくさんの方に持っていただけたのでよかったです。沖縄は、海が綺麗で、楽しかったです!今後も忙しそうですがテーマが変わっても精一杯頑張ります。
中村先生、先輩方に沢山のご心配をおかけして参りましたが、助言や指針を沢山頂き、心から感謝しています。どうもありがとうございました。(杉本)
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