HCII2023にて「Does the Type of Font Face Induce the Selection?」というタイトルで発表してきました!(植木里帆)

   

はじめに

お久しぶりです!M2の植木里帆です。日本は暑くて溶けちゃいそうですね。

そんな日本とは打って変わってたいへん過ごしやすい気候のデンマークのコペンハーゲンで7/25〜28に開催されたHCII2023にて発表を行いましたので、今日はその報告をさせていただきます。

こちらは2020年12月の第190回HCI研究会で発表したものを再整理して、英語化したものになります。詳細についてはこちらもご参照ください。

 

研究内容

人は日々いろんな選択をします。その選択はさまざまな要因が重なって決定されていることにお気づきでしょうか。例えば商品選択においてはパッケージデザインがその要因の一つであることが明らかになっています。また、パッケージデザインを構成するものとして文字のフォントがあります。我々はこのフォント自体が選択に影響を及ぼすのではないかと考えました。

突然ですがみなさんは、ゴルディロックス効果という心理効果をご存知ですか?この効果は三段階の選択肢があるときに、ひとは真ん中の選択肢を選びやすいというものです。ある印象軸上にのった三段階のフォントが作成できればこのゴルディロックス効果が働くかもしれないと考えました。

三段階のフォントの作成方法ですが、Fontenderというフォントを数式化し任意の種類のフォントを融合する手法を利用しました。なお、2つのフォントから生成された融合フォントの印象値は、融合前の2つのフォントの印象値の中間に位置する傾向が明らかになっています。

こうした点を踏まえ、我々は「融合前の2種類のフォントとその融合フォントを同時に提示したら、融合フォントが選ばれやすい」と仮説を立て、実験を行いました。

実験の結果、3つの選択肢における選択率の期待値は33%だが、実際の融合フォントの選択率は32.7%となり、仮説は支持されませんでした。本来、ゴルディロックス効果は量や価格のような数字的な段階に適用されることがほとんどです。しかし、フォントにおける印象は数字的ではなかったと予想しています。

また、3つの選択肢を同じフォントで提示する実験も行いました。その結果、「とんこつ」「みそ」「しょうゆ」の中から好きなラーメンの味を問う設問において、明朝体で提示すると「とんこつ」が、ゴシック体で提示すると「みそ」が選ばれやすくなりました。これはフォントによってイメージする味が異なると予想しています。

提示位置による選択率の分析を行ったところ、PCでは真ん中、PC以外のスマートフォン等では右側の選択肢が選ばれやすいという結果になりました。日本人は右手を聞き手とする人が多く、聞き手でさらに片手でスマートフォンを操作した場合、右手の親指に近い選択肢である右側が選ばれやすくなったのではないかと考えています。

今後は英字フォントも含めたさまざまなフォントでの実験や融合フォントが真ん中に提示されゴルディロックス効果が知覚しやすい状態の検証を行いたいと思っています。

 

スライド・論文情報

Riho Ueki, Kouta Yokoyama, Satoshi Nakamura. Does the Type of Font Face Induce the Selection?, International Conference on Human-Computer Interaction (HCII 2023), Vol.LNCS 14012, pp.497-510, 2023.

感想

初国際学会参加でした!!コペンハーゲンは7月後半でも薄手の長袖で過ごせる気候でちょうどよかったです。日がなかなか落ちなかったので1日が長く感じました。

街中のお店はかわいい、ご飯も美味しい、サイコー🙌🙌たくさんお買い物しました😊
また空き時間に、クロンボー城やロスキレ大聖堂などの世界遺産も巡ることができ、人生の勉強になりました。

もちろん学会中もポスターセッション等たくさんの研究を見ることができて大変刺激になりました。卒業まであと少しですが、私もがんばります💪

クロンボー城

ジェラート

たくさん買ったバッグ

最後になりますが、英語化にあたりとっても協力してくれた後輩、発表練習をともに乗り越えてくれた同期・後輩、最初から最後まで面倒を見てくださった中村聡史先生に御礼申し上げます。
ありがとうございました!

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