第196回HCI研究会で「不快感を与えない顔への塗りムラ提示方法の検討」というタイトルで発表してきました(梶田美帆)

   

はじめに

こんにちは,中村研所属のM1梶田美帆です.

11/2~11/5に開催された第196回HCI研究研究会にて発表を行ないましたので,その報告をさせていただきます.

今回発表した内容は,去年の3月にDEIM2021で発表した研究内容の続きとなります.よろしければ,そちらもご覧ください.

研究概要

顔は年齢や性別,感情などの個人の印象が捉えやすいため,自他ともに注目しやすい部位です.そこで,化粧は自身の印象を理想に近づけるための手段のひとつとして様々な人に用いられてきました.

中でもベースメイク,特にファンデーションには,肌色補正効果,毛穴や色ムラなど肌の欠点を隠すカバー効果などがあり,肌を即時的に整え,理想の質感を演出できるため,非常に重要です.

しかしながら,ファンデーションのこういった機能を損ねかねない問題があります.

それが塗りムラです.

ファンデーションの色は自身の肌の色と近いものを選ぶことが推奨されています.そのため,塗れている箇所と塗れていない箇所がそれぞれどこなのかわかりにくくなっています.しかし,きちんと塗れているかどうか不安だからと言って,何度も塗り重ねてしまうと,「厚塗り」の状態になり,そこから化粧が崩れやすくなってしまうことも考えられます.

実際に,ヤフークラウドソーシングを通じて化粧をする人1000名を対象のアンケート調査を行ったところ,38%が塗りムラにまつわる悩みを抱えていることがわかりました.

そこで我々は「ファンデーションを塗りムラなく自分でうまく塗れるようにしたい!」と考えました.

しかし,既存のファンデーション量の定量化・分布計測システム等は,光学フィルタやマイクロスコープなど特殊な機器が必須であり,一般のユーザが化粧中に簡単に利用できるものではありません.

そこで本研究では,一般のユーザが手鏡のようにスマートフォンなどのデバイスを利用して塗りムラをチェックできるシステムの実現を目指しています.

我々はこれまで,システム開発の前段階として,一般のカメラで撮影した肌画像についてファンデーションの塗布状態を判別することに成功しました.

しかし,ムラの可視化の際にユーザが嫌悪感を覚える可能性が示唆されました.というのも,ムラというネガティブな印象のものを自身の顔にたくさん表示させる必要があるからです.

これまで可視化の研究はわかりやすさなどに焦点が当たっており,また,その評価も研究者側の視点でなされたものでした.しかしファンデーションの塗りムラの可視化においては,上記の理由から可視化される側からの印象や評価が重要です.

つまり,ファンデーションの塗りムラの可視化においては,以下の2つの可能性が考えられます.

  • 自分の顔と他者の顔の評価には差がある
  • 可視化方法によって好ましさやわかりやすさに差がある

そこで,以上の仮説を検証するために,塗りムラを可視化した実験協力者とAIで生成した女性の顔写真について以下の二種類の印象評価実験を行いました.

  • 実験1:自身の顔写真に対して好ましさ,わかりやすさの評価
  • 実験2:ムラを指摘する意図の加工を施した自身と他人の顔写真における印象の差の調査

その結果,他人より自身の顔に可視化されたムラの方がネガティブな印象を抱くことが明らかになりました.このことより,ファンデーションの塗りムラの可視化においては可視化される人自身の印象を考慮することは重要であると考えられます.

また,華やかな印象を受ける色でムラの位置が相対的にわかりやすいように塗れていない位置を大まかに示すことが好ましい可視化法と考えられます.今回の実験で提案した12手法以外にも写真加工アプリのユニークなスタンプなどを参考にした可視化方法も検討していきたいと考えています.

 

以下,文献情報と発表で使用したスライドになります.本研究の詳細はこれらをご参照いただければ幸いです.

 

文献情報

梶田 美帆, 中村 聡史, 伊藤 貴之. 不快感を与えない顔への塗りムラ提示手法の検討, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2022-HCI-196, No.7, pp.1-8, 2022.

 

スライド

 

感想

無事発表を終えることができてほっとしています.

お忙しいところ様々な面でサポートしてくださった中村先生および研究室の皆さんに感謝いたします.ありがとうございました.

 

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