第199回HCI研究会で「ファンデーションの塗りムラの検出と不快感のない可視化手法の実現」というタイトルで発表してきました(梶田美帆)

投稿者: | 2022年9月5日

はじめに

こんにちは,中村研所属のM2梶田美帆です.

8/22,23に開催された第199回HCI研究研究会にて発表を行ないましたので,その報告をさせていただきます.

今回発表した内容は,一昨年の3月にDEIM2021で発表した研究内容,去年の11月にHCI196で発表した研究内容の続きとなります.よろしければ,そちらもご覧ください.

研究概要

顔は年齢や性別,感情などの個人の印象が捉えやすいため,自他ともに注目しやすい部位です.そこで,化粧は自身の印象を理想に近づけるための手段のひとつとして様々な人に用いられてきました.

中でもベースメイク,特にファンデーションには,肌色補正効果,毛穴や色ムラなど肌の欠点を隠すカバー効果などがあり,肌を即時的に整え,理想の質感を演出できるため,非常に重要です.

しかしながら,ファンデーションのこういった機能を損ねかねない問題があります.

それが塗りムラです.

ファンデーションの色は自身の肌の色と近いものを選ぶことが推奨されています.そのため,塗れている箇所と塗れていない箇所がそれぞれどこなのかわかりにくくなっています.しかし,きちんと塗れているかどうか不安だからと言って,何度も塗り重ねてしまうと,「厚塗り」の状態になり,そこから化粧が崩れやすくなってしまうことも考えられます.

そこで我々は「ファンデーションを塗りムラなく自分でうまく塗れるようにしたい!」と考えました.

しかし,既存のファンデーション量の定量化・分布計測システム等は,光学フィルタやマイクロスコープなど特殊な機器が必須であり,一般のユーザが化粧中に簡単に利用できるものではありません.

そこで本研究では,一般のユーザが手鏡のようにスマートフォンなどのデバイスを利用して塗りムラをチェックできるシステムの実現を目指しています.

我々はこれまで,システム開発の前段階として,一般のカメラで撮影した肌画像についてファンデーションの塗布状態を判別することに成功しました.しかしこちらは顔全体からの塗りムラ検出は検討していておらず,また,自身のファンデーションによる実験も行っていませんでした.

また,システムではムラというネガティブな印象のものを自身の顔にたくさん表示させる必要があることを考慮し,塗りムラを模した円を重畳した顔写真について印象評価実験を行い,華やかな印象を受ける色でムラの位置が相対的にわかりやすいように塗れていない位置を大まかに示すことが好ましい可視化法と考えられることを明らかにしました.しかしこちらは実際の塗りムラについての印象評価は行っていませんでした.

そこで,これらの結果を踏まえ,今回の研究では,これまでの提案手法を応用し,実験協力者自身のファンデーションを塗布した顔写真から塗りムラを検出・可視化し有用性の評価を行いました.

具体的には,まず,自身のファンデーションを使用し,あえてムラをつくって塗布してもらった全顔写真から機械学習によってムラを検出しました.その結果について4パターン(図参照)の方法で可視化し,その印象について評価してもらいました.

その結果,以下のことがわかりました.

  • ユーザは塗りムラ可視化システムでわかりやすさ・塗りムラの修正しやすさを重視
  • 「ムラの位置を大まかに囲んで示す」方法がユーザが塗りムラを自身で解消するために最も役立つ

今後は

  • 精度向上を目的とし,機械学習の特徴量などの再検討
  • リアルタイムで塗りムラを可視化したものに対して評価実験

などについて取り組んでいく予定です.

以下,文献情報と発表で使用したスライドになります.本研究の詳細はこれらをご参照いただければ幸いです.

文献情報

梶田 美帆, 中村 聡史, 伊藤 貴之. ファンデーションの塗りムラの検出と不快感のない可視化手法の実現利用, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2022-HCI-199, No.19, pp.1-8, 2022.  

 

スライド

感想

久しぶりの対面発表でしたが,無事発表を終えることができてほっとしています.

メインの学会はもちろん,夜景を見たり花火をしたり,それ例外でも充実した時間を過ごすことができました.

個人的には10年以上前に訪れて以来のケーキ屋さんへの再訪が叶いとてもうれしかったです.

最後になありますが,お忙しいところ様々な面でサポートしてくださった中村先生および研究室の皆さんに感謝いたします.ありがとうございました.  

第199回HCI研究会で「ファンデーションの塗りムラの検出と不快感のない可視化手法の実現」というタイトルで発表してきました(梶田美帆)」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2022年度 修了生: 梶田 美帆【修士(工学)】 #29 | 中村聡史研究室

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください