はじめに
中村研究室B3の田中佑芽です.
2024年3月17日~19日に京都学・歴彩館にて開催された第71回エンタテインメントコンピューティング研究会で「コミクエ: 他者が作成したクイズが漫画の既読巻の想起に及ぼす影響」というタイトルで発表しました.その報告をさせて頂きます.この研究はHCI204で発表した内容の続きとなりますので、よろしければそちらも合わせてご覧ください。
研究概要
背景
漫画の単行本は最新巻が発売されるまで数か月から数年かかるため、ストーリー展開を忘れてしまうことが多くあります.ストーリーの内容を思い出す方法として,読み直しやあらすじ,Web検索など様々な方法が考えられます.しかし,読み直しには時間がかかってしまうため,最新巻をいち早く読みたい時や時間がないといった時にはもっと手軽に確認する方法が適切であると考えられます.あらすじは手軽に確認することができますが,思い出すのには不十分である場合が多いです.また,Web上のコンテンツは整理されているものではないため,ネタバレ情報を閲覧してしまう可能性があります.
これらのことを踏まえ,我々の目的は
こととしています.
提案手法
こうした問題を解決するため,我々は,読了後にクイズを作成し,共有する手法を提案してきました.この手法をWebシステム「コミクエ」として実装し,運用を行ってきました.下図のようにコミクエでは,クイズを作成・共有することができ,最新巻が発売された時は,自身が作成したクイズや他者が作成したクイズを確認することによって,内容を思い出すことが可能となっています.漫画好きの方,もしご興味があればアクセスしてクイズに答えてみてください!
他者が作成したクイズが想起に及ぼす影響
今回の研究では,「他者が作成したクイズがその巻の想起を促す」という仮説をもとに,漫画を読んだ5か月後に想起実験を行いました.事前に定めたエピソードのうちいくつ想起することができていたかを得点率として求めた結果,クイズを確認する前は平均30.9%であったのに対し,クイズを確認することによって平均40.0%まであげることができていました.このことから,他者が作成したクイズも想起に有効であることが明らかとなりました.また,巻の後半から作成されたクイズが想起に有効である可能性が示されました.
詳細は下記スライドや原稿をご参照ください.
発表スライド
コミクエ: 他者が作成したクイズが漫画の既読巻の想起に及ぼす影響 by @nkmr-lab
論文概要
感想
今回の発表でも色々な意見を貰うことができ,とても有意義な時間を過ごすことができました.また,他の研究も聞いたり,体験したりすることができ,良い刺激になりました.
学会の合間には金閣寺を訪れたり,和菓子作りや抹茶たて体験をすることができ,充実した時間を過ごすことができました.また,念願の湯葉料理を堪能しました.
最後になりますが、ご指導してくださった中村先生、論文添削や発表チェックをしてくださった先輩の方々,他にもたくさんの人のサポートのおかげで発表することができました。この場をお借りして感謝申し上げます。
ピンバック: 中村研究室 2023年度の成果 | 中村聡史研究室