はじめに
こんにちは,B4になりました渡邉健斗です.
2023年5月15〜16日に,沖縄産業支援センターで開催されたHCS研究会にて,「操舵角度に応じた音提示の音高変化がカーブ走行時の操舵に及ぼす影響」というタイトルで発表してきましたので,ご報告させていただきます.今回発表した内容は,今年の1月に第201回HCI研究会で発表した「ドレミハンドルにおける一音階に対する角度幅がカーブ走行の上達に与える影響の調査」の続きとなりますので,合わせてお読みいただければ幸いです.
研究概要
みなさん,運転は得意でしょうか?私は運転が苦手で,この前もレンタカーを借りて運転しましたが,高速道路での急なカーブでうまく曲がれずひーひーいいながら運転していました.私のようにあまり自信がない人や,ペーパードライバーだという人も少なくないのではないでしょうか.
実際にクラウドソーシングを用いて運転免許を保有する男女2000名にアンケート調査を行ったところ,全体の23%が運転が苦手と回答していました.そのうち52%の人が,特にカーブ走行で重要なハンドル操作に対して苦手意識を持っているということがわかりました.
そこで,初心者のカーブ走行を支援するために,ハンドルを回した角度に応じてドレミ音が鳴る,ドレミハンドルというシステムを提案し,ドレミハンドルを用いて実験を行ったところ,ドレミハンドルを使用して運転すると修正舵が有意に減少する,ハンドル操作がゆっくりになるということがわかりました.(HCI200)
また,従来のものは「ハンドルを90度回すと音階が1オクターブ上がる」という設計でしたが,音がより細かく変化する方がさらにハンドルの操舵の解像度が上がって運転技能が向上するのではないかと考え,一音階に割り当てる角度幅(以後音階幅)を変えて実験を行いました.
実際にそれぞれのドレミハンドルを用いて走行した動画がこちらになります.
走行動画(Wide)
走行動画(Normal)
走行動画(Narrow)
実験の結果,急なカーブではWideが,緩いカーブではNormalが効果的であり,Narrowはあまり効果がないということが明らかになりました.
しかし,これまでの研究ではドレミハンドルが修正舵回数やハンドル角速度といった運転技能へ与える影響ついて明らかにしてきましたが,ハンドルの切り方といった運転行動へ与える影響については明らかにできていませんでした.そこで,これまでのデータを音の変化に着目して分析することにより,ドライバがドレミ音をどのように意識して運転していたかを明らかにたいと思いました.
実際に分析を行った結果,以下のようなことがわかりました.
- ドレミハンドルを使用すると,1つの音階の中でハンドルを維持しようとする意識が高まる
- ハンドルを回しすぎた際,音が変わってすぐにハンドルを切り戻すのではなく,音が変わってから少し維持した後ハンドルを切る
これらのことから,音の変化が細かすぎるNarrowではドライバがうまく調整できないため,音階幅はNarrowより広くすることが望ましいということが示唆されました.
詳細については,スライドや論文をご参照ください.
発表スライド
論文情報
感想
2回目の学会発表で最初はあまり緊張していなかったのですが,発表が近づくにつれ緊張していき,発表中に音声トラブルがあったことで緊張がMAXになりました.やはり自分は緊張しいなんだなと実感した発表でした…
直前まで緊張してるように見せかけて発表中はそんなことを微塵も感じさせないど安定の発表をする先輩や,楽しそうに発表して質疑も大盛り上がりした先輩(自分も開発に携わっていたので,嬉しいコメントが多く密かに感激してました),中村研最後の発表を堂々と締め括った同期と,みんな素晴らしい発表で謎に嬉しかったです.笑
今回も美味しいご飯を食べたり綺麗な海を見たり,楽しい学会発表でした!
ご指導いただいた中村先生,共同研究のSUBARUのお三方,議論や原稿チェックなどサポートしてくれた研究室のメンバーに感謝申し上げます.
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