はじめに
こんにちは。M2の萩原です。今年3回目ですね。
12月10〜12日に北九州国際会議場にて開催されたHCGシンポジウム2025で発表してきたので、ご報告させていただきます。
これまで
私は昔部活でスポーツ記者をやっていたのですが、インタビューにおける質問作成を支援するための、試合振り返り手法を提案して検討を重ねてきました。
B4では、記者自身が付与したフラグを元に試合動画とプレーデータを振り返る手法を提案。そして、事前録画した試合において、プロトタイプシステムを用いた質問作成実験を行い、その結果プレーを深掘りする質問が増加することを確認しました。
M1では、作成された質問が選手と記者からどのように評価されるのかを調査し、プレーを深掘りする質問は両者から高評価であることを明らかにしました。その後、実際の取材業務(写真撮影など)を行いながらでもスマートウォッチによるフラグ付与実験を行い、実際にフラグ付与可能であることを明らかにしました。
詳細は過去の記事をご覧ください。
B4:第71回エンタテインメントコンピューティング研究発表会で「フェンシングにおける記者の振り返りシーンを考慮した時系列情報提示による取材支援」というタイトルで発表してきました(萩原亜依)
M1-1:HCS研究会で「スポーツ記者の振り返りを容易化する時系列情報提示システムを用いた取材内容の検証」というタイトルで発表してきました(萩原亜依)
M1-2:第124回CN研究会で「スポーツ記者の試合の振り返りを容易化するフラグ付与手法の取材現場における実践的検証」というタイトルで発表してきました(萩原亜依)
まとめ(英語):
今回やったこと
これまでに、私が4年間取材を行っていた「フェンシング」に着目して実験を行っており、ピストに対する選手の立ち位置を可視化するプロトタイプシステムを実装していました。しかし今までは、プレーデータの分析をリアルタイムで行うことが難しく、実験室環境での試合の振り返りしか行ってもらっていませんでした。
そこで本研究では、分析の処理を軽量化&自動化し、実際のインタビューで利用可能なアプリケーションを実装しました!頑張った!
具体的には「大学のフェンシングの試合では枠から選手がはみ出したら試合が中断する」というルールを活用して、人物追跡ではなく人物検出のみで分析を行いました。試合続行中は2人の選手の位置関係が変わることはないため、位置座標の値の大小で選手を識別するという方法をとりました。
そして、以下のような構成でiOS/WatchOS用のアプリケーションを実装しました。
実際の提示画面は以下のようになります。
これを実際に試合終了後に使ってもらって、考えた質問をインタビューで聞いてもらうというユーザテストを実施しました。また、後日記者自身に質問内容を評価してもらいました。論文内では少しだけ定量的な分析もしているのですが、ここでは記者と選手のコメントを紹介したいと思います。
記者からのコメント
普段は振り返りや意気込みのような質問しかできないのに、今回はプレーの詳しいことを聞けてうれしかったです
いつもインタビュー中暗い顔をしている選手に「今日こういうプレーしてましたよね」って言ったら、「そうなんです!」って言って顔が華やかになってたくさん話してくれたので、その質問ができてよかったなと思ったし、私もうれしかったです
選手からのコメント
自分でも流れを持ってこれたと思っていたところを聞いてくれたのでうれしかったです
自分で気付いていなかったプレーの傾向について話してくれて、気付きがあっていい質問だと思いました
記者からだけでなく選手からもいいフィードバックが得られて、双方にとっていいインタビューにする手助けができたのかなと思います。
他にも「ちゃんと試合を見ていないとフラグを付けられないので、いつもよりも試合をちゃんと見ようという意識ができた」「ボタンを押すことで(試合内容が)記憶に残りやすい気がした」というコメントもあり、フラグ付与に副次的効果がある可能性もあることがわかりしました。面白いですね。
初めましての記者と選手が多かったのですが、システムに感動してくれたり感謝してくれたりして、このテーマで研究してよかったなと思いました。HCGの原稿に書ききれていないことがたくさんあるので、整理して修論にまとめて、有終の美を飾りたいと思います。
発表スライドと論文情報
萩原 亜依, 中村 聡史. 大学生スポーツ記者の対面インタビューにおける質問作成を支援する試合振り返り手法の実地検証, HCGシンポジウム2025, 2025.
感想
まずは発表した感想を書こうかなと思います。
HCGシンポジウムは、さまざまな分野の研究をしている人が集まる場所で、発表形式が登壇発表に加えてポスター発表もあることが特徴であると解釈しています。そのため、ポスターを聞きにきてくれた方々のコメントの視点が本当にさまざまで、面白いと感じてくださるポイントが人によって全然違うことが面白かったです。今まで7回発表してきましたが、同じ学会に出したことが一度もなかったので、毎回違った角度から議論していただけることが興味深かったです。
あと、今回は初めての1人参加でした。
中村研から1人だったとしても、私にかまってくれる知り合い(松下先生とか松下研の人とか)いるかな〜と思っていたのですが、現実はそうはいかず。ポスターのときは特に本当どうしようかと思いましたね… 周りの学生は指導教員を介していろんな先生を呼び込んで話を聞いてもらったり、相談に乗ってもらったりしていたのですが、最初の10分くらい誰も来てくれなくて泣くかと思いました笑
その後は前日に私がポスターを聞きに行った子とか、過去に学会で出会った方々が相談に乗ってくださったりして、心からご縁に感謝しました。本当に。中條さんに再会できたのも、勇気を出して井原さんにお声掛けさせていただいたら長時間相談に乗ってくださった(CollabTechに引き続きお世話になりました)のも、いろんな大学の学生の方たちと飲みにいけたのも、全部貴重な経験でした。1人参加じゃなかったらあのメンツで飲みに行くことはなかったと思うので、案外1人もいいなと思いました。
次は北九州の感想です。
学会前に時間があったので、門司港と下関を3時間サイクリングする旅に出ました。この日はおいしい海鮮と焼きバナナカレー食べました。
あとはモツ鍋、ラーメン、焼きうどん、おでんのごぼう巻き、明太子や高菜などいろんなものを食べました。おいしい食べ物ばっかりでした。
最終日は飛行機まで少し時間があったので、小倉城と、ずっと行ってみたかった雑貨屋さんに行ってきました。雑貨屋さんから帰るタイミングがちょうど帰宅ラッシュで道が混んでいて、煽り散らかしてるバイクが目の前にいて怖かったです…
一人旅ずっと興味あったので、思わぬタイミングで初体験できてよかったです。1泊くらいなら全然ハマりそう。
旅行気分が抜けなくて、帰ってきてからダラダラしてしまいましたが、しっかりと切り替えて修論書き上げたいと思います。
最後になりますが、ご指導いただいた中村先生、発表練習を聞いてくれた皆様、ユーザテストに協力してくれた明スポの現役の皆様、明治大学フェンシング部の皆様に感謝申し上げます。
ちょっと気が早いですが、4年間ありがとうございました。またどこかで。
萩原亜依





