第191回HCI研究会で「プログレスバーと周辺の視覚刺激の進行方向が体感時間に与える影響」というタイトルで発表してきました(中村瞭汰)

   

はじめに

中村研B3の中村瞭汰です.
まだ寒くてこたつから出られない日々が続いています.

さて,2021年1月28〜29日にオンラインで行われた情報処理学会ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(SIGHCI191)での発表についてご報告させていただきます.

 

研究概要

私たちがPCを利用して,ファイルのアップロードなどを行う際に待ち時間が発生し,どうしても待機時間によってユーザのストレスが発生すると考えられます.この待機時間を短く感じさせるためにプログレスバーが提示されていますが,プログレスバーだけでは短く感じさせるには十分ではないと考えています.そこでプログレスバーの進行速度をより速く知覚させることによって,待機時間を短く体感できる方法を模索してきました.

ここで私は進行速度の知覚を変化させるために,速度対比という現象に着目しました.
速度対比とは,異なる速度や方向に運動する刺激を隣接して同時に提示することによって,運動速度が増加したり,減少したりして知覚される現象です.プログレスバーと同一または逆に運動する視覚刺激を同時に提示することで速度対比が発生し,体感時間の短縮が可能だと考えました.

また,視覚刺激も断続的に提示される視覚刺激と,継続的に提示される視覚刺激に分類できると考えました.断続的な視覚刺激として灰色の円が左から右に運動し,画面外へ出た後に再度左から出てくる視覚刺激,継続的な視覚刺激として正弦波が常に運動する視覚刺激を検討しました.

本実験においては,まず以下の提示パターンを考えました.

  • no_stimulate: 視覚刺激提示なし
  • rotate_balls: 楕円軌道状を灰色の円が時計回りする視覚刺激(過去に松井らが用いていたもの)
  • slide_balls: 左から右へ灰色の円が運動する視覚刺激
  • wave: 正弦波が左から右へ運動する視覚刺激
  • wave_reverse: 正弦波が右から左へ運動する視覚刺激

また今年度は新型コロナウィルスの影響で対面での実験を行うことが困難だったため,クラウドソーシング上での時間知覚に関する実験設計を行い,体感時間の調査を行いました.

横軸を実際の待機時間,縦軸を体感時間の回答としたグラフが下の図です.また,灰色でプロットされているbasisは基準となる直線になっています.

この結果から視覚刺激を提示しなかった場合と比較して,

  • 灰色の円が左から右へ運動する視覚刺激が特に体感時間の短縮に効果的だった
  • 正弦波の方向がプログレスバーと同一方向だと体感時間の短縮,逆方向だと体感時間の延長がみられた

ということがわかりました.

今後は次のことについて調べていき,より短く感じさせることを模索する予定です.

  • 実験中のユーザの視線がどこに向いていたか
  • 視覚刺激の速度や加速度を変化させた場合について

 

スライドと文献

発表で使用したスライドと原稿です.

中村 瞭汰, 松山 直人, 中村 聡史, 山中 祥太. プログレスバーと周辺の視覚刺激の進行方向が体感時間に与える影響, 情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-191, No.2, pp.1-8, 2021.

 

最後に

今回が初めての論文発表で心配なことも多々ありましたが,先生や先輩たちに支えていただきました.発表練習の場もたくさん設けていただいたことで,本番では落ち着いて発表できたと思います.ご指導して下さった中村先生,議論や発表練習,論文添削に協力していただいた研究室の皆様に感謝申し上げます.ありがとうございました!

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