第179回SIGHCI研究会で「WePatch 2: Webフォームにおける入力ミスを利用した半自動BADUI改善システム 」というタイトルで発表してきました(田島一樹)

投稿者: | 2018年8月23日

はじめに

夕涼みにほっと一息つく、晩夏のきょうこのごろです。

8/20~21に京都の聖護院御殿荘で第179回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会が行われましたので、そこでの登壇発表の報告をさせていただきます。

研究概要

みなさんはWebサービスの入力フォームでイライラした経験はないでしょうか? 例えば、半角や全角を使い分けが大変なものだったり、入力例が分かりづらいものだったりと、そういった使いづらいUI(BADUI)が多く存在します。

こういったBADUIは、ユーザ側が使用する部分(UI)から、ユーザが見えない部分(開発者が作成したプログラムやデータベース)において一貫していない場合、また全く考慮されていないときに出来てしまうことが多いです。さらに、開発者側の予算不足やメンテナンスへの意識の低さから放置されてしまうことが問題となっています。

こうしたWeb上のBADUIをエンドユーザが改善可能とするシステム「WePatch(詳細はこちら)」を提案し、評価実験を行いました。

その結果、機能の中でもテプラ型アノテーションはユーザの不安を増やしてしまう可能性が示唆されました(詳細はこちら)。そこで、我々はWePatchのユーザの入力文字を自動修正する機能に特化するといった方針にすることにしました。

ここで、現在のWePatchではWebフォームを修正しようと思った場合、一度そのサイトを訪れて登録して問題に気付いたときに、あらためてアクセスして修正しなければならないという制限があったため、十分に使ってもらえるものではありませんでした。本研究ではこの問題を解決することを目的とします。

この問題を解決するための手法として本研究では「半自動的なBADUI改善手法」を提案しました。これは、ユーザがWeb上のBADUIを操作している時の、多くの失敗の操作と正解の操作から、そのBADUIに適した改善機能を推定およびユーザに推薦し、手軽に適用可能とすることで問題を改善可能とするというものです。

提案手法を変換フィルタで実現したシステム「WePatch2」のデモ動画がこちらになります。

 

このシステムを使用実験により評価しました。その結果、システムを使用するユーザが増えるごとに、BADUIにおけるエラー率の減少とユーザビリティの向上の可能性が明らかになりました。

 

今後は、誤った変換フィルタを推薦してしまう問題を改善することや、BADUI判定精度を検証していこうと考えています。私としてはWePatchによってユーザがBADUIへの意識を持ち、それが開発者の意識を変えることに繋がるということを期待して研究を行っていこうと思います。

スライド

 

論文情報

田島 一樹, 中村 聡史, WePatch 2: Webフォームにおける入力ミスを利用した半自動BADUI改善システム , 情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), 2018-HCI-179(3), 1-8 (2018-08-13) , 2188-8760.

 

感想

私は去年も同じ開催場所と時期のHCI研究会に行きまして、とても充実した環境だった記憶があったため、京都でのHCI研究会をリピートしてしまいました(笑)

発表では、聴衆のみなさんにちゃんと内容が伝わっていたようなので良かったのですが、最近質疑応答が盛り上がるような発表が出来ていない気がするので、そうなるようチャレンジしていきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください