第204回HCI研究会で「PPUndo: 筆圧を軸としたUndo機能のためのストローク群に対する一括筆圧情報付与手法の提案とその評価」というタイトルで北海道で発表してきました(関口祐豊)

   

はじめに

中村研究室M1の関口祐豊です。

初めての北海道(札幌)でお金使いすぎて、札ぽろぽろと無くなってしまいました…札幌だけにね💫
これで地球温暖化も防いでしまいましたかね⛄️

2023年8月8, 9日の2日間にわたって北海道で開催された第204回HCI研究会に参加してきたので、報告します。自分は現地で「PPUndo: 筆圧を軸としたUndo機能のためのストローク群に対する一括筆圧情報付与手法の提案とその評価」というタイトルで発表させていただきました。

研究概要

背景

タブレットとスタイラスペンを用いた手書きには,Undo/Redo機能が存在しますが既存のUndo/Redo機能では,操作の順序に沿ってしか戻ることができず重要度や確信度の低い箇所などをまとめて削除することは難しいです.

まとめて削除するのに適しているデジタル手書きの機能としてレイヤーがありますが,普段ノートを作成する際に確信度や重要度の段階に応じてレイヤーを分けながら記述するのは難しいです.

ここで,筆圧はデジタル手書きにおいてユーザが明示的に変化させやすい筆記情報として知られています.

このことから,

我々は筆圧の強弱Undo/Redoの軸として導入すること

にしました.

我々の研究では,確信度や重要度の大小に応じて筆圧をコントロールして記述することで筆圧の弱いストロークから削除を行うUndo機能であるPP-Undoを提案&実装しました.

 

レンジスライダを動かすことによって筆圧の弱い箇所をまとめて削除することができるシステムです.

このPP-Undoを使用してHCI201にて発表した研究における実験の結果から,筆圧の制御に不快感を感じるユーザが一定数いることがわかりました.

一本一本のストローク全てに対して筆圧を制御するのは不快感があり,ユーザの制御ミスにも繋がってしまうと考えられます.実際に2ヶ月以上に渡ってPP-Undoを長期利用したデータを分析したところ,筆圧制御をユーザがしようと思っていても不安定になってしまっていることなどがわかりました.

そこで我々は,筆圧をストローク群のまとまりごとに設定したいと考えました.
具体的には,下の画像のように同じようなまとまりのストロークであるのに意図せずに消えてしまうという問題を解決したいと考えました.

提案手法

今回の研究では,手書き中の筆圧ジェスチャによる手書きストローク群に対する筆圧付与手法を提案しました.

今回の研究で行った3つのジェスチャ

1 ストローク群の最初のストロークのみ筆圧を調整するジェスチャ

・1ストロークの筆圧値設定方法の検討も行いました

2 ペンの長押しによって設定していた筆圧を再設定するジェスチャ

3 筆圧を波打つように変化させ,筆圧設定を取り消すジェスチャ

実験

PP-Undoに3つのジェスチャが筆圧アノテーションとして使えるかどうかを調査することが実験の目的です.

実験ではPP-Undoを用いて,登録ジェスチャ,再設定ジェスチャ,波打ちジェスチャの3つのジェスチャとアンケートを実験参加者に行ってもらいました.

登録ジェスチャ:各行の最初のストロークを指定された筆圧の強さで記述するタスク

再設定ジェスチャ:行の途中で長押しを行い,筆圧値を再設定するタスク

波打ちジェスチャ:1ストローク内の筆圧値が波打つように変化させながらストロークを記述するタスク

結果&考察

登録ジェスチャ

・1ストロークあたりの筆圧設定方法は1ストローク内のポイントの筆圧上位25%平均を取るのが最も精度が良いことがわかりました

・75%以上の参加者が筆圧制御の不快感を抱かなかったことも分かりました

・1ストローク群の最初の筆圧だけ制御する方法は有用性の高いジェスチャだと考えられます

再設定ジェスチャ

・ユーザによって精度や失敗回数が異なっていました

・タスクの前半と後半で比較すると14人中10人の精度が上昇

慣れの影響が大きいジェスチャであるが長期間使用することで有用性があることが示唆されました

波打ちジェスチャ

・筆圧を波打たせながら書くことは可能であることがわかった

・しかし,ストロークが曲がってしまっており,普段通りの文字が書けなくなってしまっていました

・アンケート結果からも難易度が高く,実際の手書きの場面では難しいということが示唆されました

今後の展望

今回の実験では,ストローク群のグループは指定したものとなっていましたが,今後はストロークのグルーピング・グループの自動推定を行っていきたいと考えています!

 

詳細は下記スライドや原稿をご参照ください.

スライド

論文情報

関口 祐豊, 中村 聡史. PPUndo: 筆圧を軸としたUndo機能のためのストローク群に対する一括筆圧情報付与手法の提案とその評価, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2023-HCI-204, No.14, pp.1-8, 2023.

感想

とても有意義な学会発表でした!

自分が今まで参加した学会の中では参加人数が少なかったのですが,その代わりに質疑がすごく盛り上がってた印象が強かったです!自分も他の人の発表の際に質疑に参加できたりして貴重な経験になりました💪

招待公演では筑波大学のドクターの方の話を聞くこともできて,とても良い機会でした💫

美味しいものもいっぱい食べれて良かったです!みんなで北海道に行けて幸せでした!!!

最後になりますが,お忙しい中,面倒を見てくれた研究室の仲間や先生に感謝感謝です!!

ありがとうございました!!

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