第192回HCI研究会で「負荷の高いタスクの並列提示によるタスク遂行への負荷軽減に関する手法の提案」というタイトルで発表してきました(松山直人)

投稿者: | 2021年3月19日

はじめに

今年も既に3ヶ月が過ぎようとしており、花の便りが聞かれる季節となりました。

こんにちは、中村研究室M1の松山直人です。みなさんは今年の春はどう過ごしますか?僕は新型コロナウイルスが流行っていたり、就活が本格化してきたこともあったりと、なかなか外出することも憚られるので、家でいきものがかりの「SAKURA」を聴きながら過ごしたいと思います。

それでは、2021年3月15日〜16日にオンラインで開催された第192回HCI研究会にて、「負荷の高いタスクの並列提示によるタスク遂行への負荷軽減に関する手法の提案」というタイトルで発表しましたので、そちらの発表報告をさせていただきます。

オンライン発表時の様子。オンライン発表って目のやり場に困りません?

 

研究概要

みなさんはタスクを後回しにしてしまうことはありますか? 僕はよくタスクを後回しにしてしまい、溜まったタスクを慌ててやったり、消化するのを諦めてしまうことが多いです。そのため、人々はタスク管理ツールを使ってタスクの遂行を行っていますが、リマインドするだけではタスクへのモチベーションを向上させられるとは言い難いです。

私はこうした問題を解決するため、人々が認知的負荷の低いタスクから取り組むことに着目し、遂行すべきタスクよりも負荷の大きいタスクを並列提示することで、遂行すべきタスクの負荷を小さく感じさせる手法を提案しました。

提案手法のイメージ図

 

なお、我々はタスクを以下の3種類に大きく分けました。このうち本研究では「毎日繰り返す単純タスク」を対象にしています。

  • 単純タスク:1回の作業で終わるもの(例:書類を提出する、ゴミ出しをする)
  • 毎日繰り返す単純タスク:単純作業を繰り返し行うもの(例:英単語を覚える、風呂掃除をする)
  • 複合タスク:すぐに終わるものではなく、作業工程が複雑なもの(例:論文を執筆する、発表会のための練習をする)

実験

実験では、「負荷の大きいタスクの提示によって遂行すべきタスクの達成度にどのような影響が出るか」を目的に、提案手法と比較手法におけるタスクの達成度合いを比較する実験を行いました。

本実験では遂行すべきタスク(遂行タスク)として以下の4つを選定しました。

  • mikanで英単語を15分間テストする
  • 部屋の掃除を15分間する
  • GIGAZINEで記事を15分間閲覧する
  • スクワットを15分間する

また、並列提示用のタスク(比較タスク)として以下の7つのタスクを選定しました。

  • 基本情報技術者試験の過去問を15分間解く
  • 食器洗いを15分間行う
  • トイレ掃除を15分間行う
  • ジャックナイフ(V字腹筋)を15分間する
  • ジョギングを15分間行う
  • 日本経済新聞の記事を15分間閲覧する
  • 英語の関連研究を15分間探す

比較手法では遂行タスクのみを、提案手法ではこれらのタスクを総当たり的に組み合わせたものを提示します。

実験に用いた手法のイメージ

実験の流れは以下の通りです。

  1. タスクの通知を確認する(このとき、比較手法と提案手法のどちらかがランダムに提示されている)
  2. タスクに取り組む
  3. 30分後に通知されるタスク達成に関するアンケートに回答する
  4. 1~3を1日4タスク、計14日間繰り返す

タスク達成に関するアンケート

なお、タスクへの主観的積極度や負荷の調査のため、実験開始前と7日目終了後、実験終了後に、それぞれのタスクの積極度や負荷を-2~+2で評価してもらいました。

 

結果・考察

以下の図は、主観的負荷の差(遂行タスクの負荷から比較タスクの負荷を引いたもの)ごとの達成率についてのグラフです。50%のグレーのラインは比較手法の平均達成率です。これより、-4~-2の時、つまり、比較タスクの負荷が遂行タスクの負荷より大きくなるにつれて、比較手法より達成率が高くなっている様子が確認できます。

遂行タスクの負荷と比較タスクの負荷の差と達成率に関するグラフ

また、以下の表は遂行タスクと比較タスクの組み合わせごとに、比較手法の達成率よりどれだけ増減したかを表したものです。こちらでは+5.0%より大きいものを赤色で塗りつぶしています。ここで、+5.0%より大きかった組み合わせのうち、遂行タスクと同じような系統の比較タスクの組み合わせが比較的多く見られました。

比較手法と比較した時の達成率の増減

これらより、主観的負荷のより大きいタスク提示同じ系統のタスクの提示によってタスク遂行を促すことができる可能性が示唆されました。

なお、本実験では実験監督者がタスクを用意したため、実験協力者によってはタスク内容が適切でなかった例が見られました。また、本実験での提案手法は文章のみの提示であったため、分量が多く読む気が薄れてしまったという意見も得られました。そのため、今後は実験協力者がより馴染みやすく、参加度合いを高められるようなタスクの選定や、可読性や視認性の高い提示方法を考える必要があります。その後、システムを使用した長期実験を行い、提案手法が有効にはたらくかを調査していく予定です。

 

スライド

こちらが発表で使用したスライドです。詳しい研究内容はこちらをご覧ください。

論文情報

松山 直人, 中村 聡史. 負荷の高いタスクの並列提示によるタスク遂行への負荷軽減に関する手法の提案, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-192, No.33, pp.1-8, 2021.

 

おわりに

昨年の3月にオンラインでGN研究会に参加したのですが、その時はまさか1年後も数々のイベントをオンラインで実施せざるを得ない状況になるとは思っていませんでした。このような状況にもかかわらず、オンラインによる発表の場を設けていただいた運営の方々に感謝申し上げます。

今年度は何をするにも自宅からリモートでタスクをこなさなければならず、「今すぐ自分のこの提案手法が欲しい!」と思うくらいには研究へのモチベーションを保つのが大変でした。

しかし、その中でもオンラインでの研究環境の整備や研究活動の議論に尽力してくださった中村先生や、一緒にコロナ禍を戦い抜いた友だちや先輩後輩、家で気晴らしにたくさんの雑談をしてくれた家族には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました!

月が明けるといよいよ学生生活最後の年となりますが、この1年間の経験を活かし、研究活動に尽力し、学生生活を謳歌していきたいと思います。コロナ治まりますように!!

第192回HCI研究会で「負荷の高いタスクの並列提示によるタスク遂行への負荷軽減に関する手法の提案」というタイトルで発表してきました(松山直人)」への2件のフィードバック

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  2. ピンバック: 第196回HCI研究会で「実環境を想定したタスク並列提示による負荷軽減手法の検証」というタイトルで発表してきました(松山直人) | 中村聡史研究室

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