HCGシンポジウム2022で「ダンス動画への軌跡の重畳付与が動きの理解に及ぼす影響」というタイトルで発表してきました(中村瞭汰)

   

はじめに

こんにちは.中村研究室M1の中村瞭汰です.

2022年12月14日〜16日に開催されたHCGシンポジウム2022に参加してきましたので,その報告をさせていただきます.

現地の香川県高松市サンポート高松にて,「ダンス動画への軌跡の重畳付与が動きの理解に及ぼす影響」というタイトルで口頭発表とインタラクティブ発表に参加させていただきました.こちらの研究は第198回HCI研究会で発表した「見本のダンス動画に対する手の軌跡の付与が動きの習得に及ぼす影響の調査」の続きになっておりますので,ぜひあわせてお読みいただければ幸いです.

研究内容

近年,SNSへのダンス動画の投稿するユーザが増えたことにより,ダンス初心者の方がSNSに投稿されたダンス動画を見本として自主的に練習することが増えていると思います.しかし,ダンス動画から振り付けを理解し習得することは難しく,真似をしているつもりでも見本とは違った動きになってしまうことが多いです.また,それによってダンスへのモチベーションが低下することが懸念されます.

動きの中でも特に腕の動きは素早い動きや,関節が多いため複雑な動きが可能であるため動きを理解し,習得することが難しいです.例えば,見本の動きが下の図のような動きだった場合,「腕を腰から肩の横に伸ばす」動きだと理解してしまう場合があります.ですが,この理解だと動きを再現する際に右の図のように「腰からまっすぐ肩の横に腕を伸ばす」動きになってしまうことがあります.

 

以前の研究(HCI198)では見本のダンス動画に手の軌跡を付与することによって,動きの理解につながるのではないかと考え軌跡提示を行う手法を提案し,実験のため動画を作成しました,また,実験協力者を軌跡提示なし群と軌跡提示あり群に分け,動画を見て振り付けを習得し踊ってもらいました.踊っている際は撮影を行い,撮影した動画をダンス上級者に評価してもらいました.その結果,振り付けの種類によっては軌跡提示あり群の方が腕の動きの評価値が高い結果となりました.

しかし,この実験においては実際に軌跡提示が動きの理解に影響していたのかが明らかではないという問題がありました.そこで,今回の研究では腕の動きを説明する穴埋め問題を動きの理解度を測る指標とすることとしました.

実験では,短いダンス動画を6本用意し,それぞれに対応する穴埋め問題を作成しました.

また,動画の提示方法については3種類用意し,何も軌跡を提示しないものをno,手が動いた後に軌跡が残るものをback,手がこれから動く先に軌跡が提示されるものをfrontとしました.この3つの提示方法をそれぞれ2種類ずつ動画とランダムに組み合わせた動画を提示をし,穴埋め問題に回答してもらいました.

穴埋め問題は模範回答と同じ動きが再現できると判断したものを3点とし,模範回答から離れるにつれて減点を行うという条件で採点を行いました.

結果については,「どのように」の空欄においては軌跡提示があったback,frontの方が点数が高い結果となりました.これについては軌跡の提示によって動かし方の回答の精度が高くなったと考えられます.一方,「どこ」を支点としての空欄においては軌跡提示が行われていたback,frontの方が点数が低い結果となりました.その理由として,動きの支点となる箇所と軌跡が通る箇所が同じではなかったため,誤って軌跡が提示されていた位置が回答されることが多かったためだと考えられます.

今後の展望としては,

  • 今回軌跡提示の効果があった箇所にのみ軌跡を提示する動画を作成し,手法の有用性の調査
  • 現状,軌跡の付与箇所は著者が決めているが,付与すべき箇所を自動推定
  • 穴埋め問題以外の複数の評価方法の採用

などを検討しています.

スライド・論文情報

中村 瞭汰, 中村 聡史, 藤原 優花. ダンス動画への軌跡の重畳付与が動きの理解に及ぼす影響, HCGシンポジウム2022, No.B-4-6, pp.1-8, 2022.

感想

コロナ禍だったこともあり自分は対面での学会発表は初めてだったのですが,オンラインよりも研究に対する意見をもらいやすくとても刺激的でした.また,ポスター発表も準備が少し大変でしたが,実際に他の研究のデモ体験ができて新鮮でした.

あと,四国初上陸だったんですが,食べ物は美味しいし,観光場所も魅力的だしとても幸せでした!同期と後輩にわがまま言って寒い中イルミネーション観に行かせてもらいました!

 

イルミネーション!帰り道は街灯のない道を30分歩いた

やっぱり香川といったらうどん!ということで1食目の昼のうどん

最後に今回の発表にあたって,研究の議論に付き合ってくれた研究室のみなさまと中村先生に感謝申し上げます!また来年度のHCGもぜひ参加したいなと思える楽しい学会でした!

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