はじめに
お久しぶりです!中村研究室修士1年の飯田空です。
人生3回目の学会参加として、11月4日から7日にインドネシアで開催されたCollabTech 2025 (The 31st International Conference on Collaboration Technologies and Social Computing)にて発表してきました。
今回は、発表させていただいた論文・学会についての報告をさせていただきます!
今回の発表は、以下のCN121で発表した内容について、修正・改善した上で英語化したものになっています。
もし興味があればぜひご覧ください。
第124回CN研究会にて「星空観察における視力の差が会話に与える影響に関する調査:仮想環境での実験」というタイトルの研究を発表しました(飯田空)
研究概要
背景と目的
皆さんは星空を見ることが好きですか?私は好きです!冬の澄んだ夜空をふと見上げて星がたくさん見えるとなんだか心が浄化されますよね。
複数人での星空観察は、見えている星や星座についての知識の共有やそれらの会話を楽しめる有意義なものです。こういった会話の中で、自分が説明したい星や星座の位置や形をうまく相手に伝えられないことがあります。
そこで私は、うまく伝えることができない原因として、話している人同士で視力の差による星空自体の見え方の違いや、星座の形や星の位置を知っているかの知識の差による説明の難しさが影響していると考えています。この研究ではまず基礎調査として、視力の差に着目した調査を行いました。
視力の差がある場合の星空観察において、星のぼやけ具合が異なることから、お互いに見ている星のズレが起こることがあります。これは相手の注視している星を確認できないため、本人達が見ている星のズレに気づきにくいことに起因していると考えられます。そこで、より円滑な会話をするため、会話から見ている星のズレを認識し、補完するシステムが必要です。
今回は、システム実現のための基礎的な調査として、視力の差が星空観察の会話にどのような影響を与えるのか調査し、会話から見ている星のズレが推定可能かどうかを考察することが目的です。
実験
実験では、実際の野外環境で星空観察の会話実験をすることが難しいため,2人同じ星空について見え方が異なる環境を仮想環境で再現し、その中で会話タスクを実施しました。
タスクについて、実験協力者2人で、会話しながら星座に関する認識を一致させるものです。
1人は伝達役で、星座の位置と形を知っていて相手に説明する役割です。もう片方は理解役で、伝達役の星座に関する説明を聞いて星座を特定する役割です。
目的を検証するにあたり以下の仮説を立て、検証をしました。
視力差がある環境での会話の方が視力差がない環境に比べて
・H1 会話の中の「え?」の数が増加する
・H2 2人の参加者間での発話間隔が長くなる
・H3 疲労度の主観アンケート結果が高くなる
結果と今後
実験の結果、H1およびH2は一定の傾向が示されたものの、統計的有意差は確認されませんでした。一方で、H3は一部の項目において支持されました。
本研究では視力差に着目して会話実験を行いましたが、今後は知識差が星座の捉え方や説明方略に与える影響についても検討したいと考えています。さらに、本研究で用いた会話指標を手がかりに、見ている星のズレを会話から推定・検出する手法をより具体化し、その有効性の検証を進めたいです。
発表スライドと論文情報
おわりに
人生初の国際学会ということで、いやー、緊張しましたね。国内学会とは違う発表形式・質疑応答、会場の大きさ、全てが初めてで自分の実力を出しきれませんでした、反省ですね。次の国際学会登壇までには、英語スピーキング、リスニング力を伸ばして、質疑応答で完璧に答えれるように精進します!
また、今回初めてインドネシアに上陸したのですが、食べ物の味がとても濃く常時顔がパンパンに浮腫んでました!日本に帰国してからも3日ほど顔がまんまるだったと思います。。ただ、ナシゴレンをはじめインドネシア料理はどれも美味しいものばかりでした!
就活・研究が少し落ち着いたら、都内のインドネシア料理店に巡って料理がどれほど再現できてるのか、ちゃんと味は濃いのか、などを調査していきたいです。
写真は、現地の高級料理店で食べた2,000円くらいのナシゴレンです。美味しかったです。
最後になりますが、ご指導いただいた中村先生、様々な研究活動にご協力いただいた研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
