はじめに
お久しぶりです。中村研究室M2の中川です。
時間が空いてしまいましたが、2024年6月3日〜7日にイタリアのジェノヴァで開催されたAVI2024にてポスター発表をしてきましたので、その報告をさせていただきます。
今回発表した内容は,HCI204, HCI205で発表した研究内容を再整理して英語化したものになりますので、よろしければそちらもあわせてご覧ください。
研究概要
多くの動物園や水族館ではペンギン1羽1羽に名前をつけており、個体管理に役立てるほか、来園館者に個体ごとの紹介をして興味を惹きつけています。しかし、ペンギンにあまり詳しくない人々にとっては、ペンギンを見分けるのは簡単なことではありません。
そこで、本研究ではペンギンの識別と深い観察を促す手法として、ペンギンの腹部の斑点模様に着目しました。この模様はペンギンごとに全く異なるもので、同じ模様を持つ個体はいません。これまでの研究で、人が描いた腹部模様からペンギンをある程度識別できることが明らかになったため、本研究ではペンギンの描画から個体を検索するアルゴリズムを構築し、その検索精度を評価しました。分析の結果、ペンギンの腹部画像を見ながら描画した場合、検索結果の上位3位以内に正解の個体が含まれる確率は93.0%と、高い精度で識別できることが確認されました。

検索手法 (点の数から描画をベクトルに変換し類似度計算)

検索精度 (検索したペンギンの上位k位以内正解率)
さらに、スマートフォン上でペンギンの模様を描画&個体検索できるシステムを実装し、水族館での利用実験を通じてシステムがペンギンの記憶に与える影響を調査しました。実験の結果より、観察から6日経過した後でも、実験参加者1人あたり平均2.2羽のペンギンの名前を記憶しており、システムがペンギンの記憶に効果がある可能性が示唆されました。

システムのインタフェース
今回の実験は小規模かつペンギンの数が限られていたため、今後はペンギンのデータセットを拡充するとともに、複数の水族館に対応できるようシステムを改良し、検証を進めていく予定です。
詳細については下のポスターや論文情報をご参照ください。
発表ポスター
論文情報
おわりに
はじめてのイタリアでの発表でした。前回のポスター発表よりも多くの方に聞いていただき、議論することができました。国際会議の参加は4回目でしたが、カンファレンスディナーや街歩きのツアーなど、どれもが本当に豪華で楽しい経験でした。
ジェノヴァの街並みはとても美しく、歴史を感じました。学会の合間にはジェノバの水族館で大きな水槽を泳ぐイルカを観察したり、本場のジェノベーゼを味わったり、充実した時間を過ごしました。乗り換えで訪れたミラノの大聖堂も圧巻でした。
ただ、今回は渡航後にまさかの発熱をしてしまいました…。ヒヤヒヤしましたが、なんとか発表には間に合いました。次は万全の体調で、ぜひもう一度イタリアを訪れたいです!

本場のジェノベーゼ

ジェノヴァの街並み

ジェラート

カンファレンスディナー会場

ジェノヴァ水族館

ミラノ大聖堂
最後になりますが、お忙しい中たくさんのサポートをしていただいた中村先生、研究室のみなさんに感謝申し上げます。また、渡航中には体調を崩したくさん迷惑をおかけしましたが、隣で支えてくれた松田さんにも心から感謝しています。ありがとうございました。