第43回エンタテイメントコンピューティング研究会参加報告(今城、白鳥、田島、土屋)

      2017/04/12

中村研究室B4の今城、白鳥、田島、土屋です!
2017年3月10日〜11日にかけて、神奈川県横浜市は慶應義塾大学日吉キャンパスにて開催された「第43回 情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会発表会」に参加してきましたので、その報告をさせていただきます。個々の発表報告は別の記事にて掲載しておりますので是非ご覧ください!

[研究紹介]

ここでは、今回の研究会で気になった研究をいくつか紹介させていただきます。

  1. 「投影マーカとジェスチャを用いた仮想オブジェクト操作方法の提案」赤星俊平,阪口紗季,松下光範(関西大学)
    この研究では、HMD上にユーザが仮想オブジェクトを自由に重畳し円滑に操作することを目的とし、複合現実感(MR)を用いたシステムにおいて、現実世界のユーザが仮想世界のオブジェクトを円滑に操作する方法を提案した研究になります。提案手法としては、プロジェクタを用いてポインタとマーカの役割を兼ねた画像を現実世界に直接投影することで仮想オブジェクトを重畳し、ジェスチャによって操作するというものになっています。この提案手法では、これまでの仮想オブジェクトの操作に用いていた仮想カーソルは、現実世界と仮想世界の性格な位置関係などがわかりずらいという問題点をうまく改善していて、実際に自分も体験してみたいと思いました。
  2. 「UPP(Unreal Prank Painter): 悪戯の楽しみに着目したAR落書きコンテンツの構築」安東俊之介,片寄晴弘(関西学院大学)
    タイトルがユニークなこの研究では,悪戯という行為には,他の行為にはない高揚感と創造性があるとして,AR落書きコンテンツを提案していました.現実の社会での落書き行為は他の人への迷惑になってしまいますが,このコンテンツであれば,社会的に問題なく落書きができるとのことでした.また,落書きの高揚感を保持するために,第3者への公開機能も,仕組みとしてうまく設定されていました.落書きのプラットフォームを作るというのは斬新で面白い研究だなと思いました.ただ,他の人に見てもらえないと面白くないと思うので,TwitterやFacebookなど,このコンテンツ以外でも落書きを共有できるといいかなと思いました.
  3. 「ChanJar: 自由に2つの液体の混合比を変更できる水筒の開発」松本華歩,村上真菜(津田塾大学),栗原一貴(津田塾大学/Diverse技術研究所)
    飲み物の味をスマホを用いて調整(Change)可能な容器(Jar)、その名も「ChanJar」という研究を紹介します。このChanJarは容器の中に別々の飲み物(例えば、牛乳とコーヒー)を用意しておき、スマホのアプリで自分の好みの濃度に制御を可能にしています。遠隔操作も可能のようで、この使い方の例として紹介されたのが、女性が妊娠したときに男性に牛乳の濃度をアプリで上げて受胎告知をするというとてもユニークな内容でした(笑)。
  4. 「日常生活に埋め込まれた無意識的音楽創作行為を利用した作曲支援の試み」柳卓知,西本一志(北陸先端科学技術大学院大学)
    みなさん,知っている曲を歌っている時,ソロの部分を新しく作って歌っちゃうみたいなことしたことありませんか?この研究はそのようなついやってしまうアドリブを実際の音楽制作や楽曲のアレンジに使ってみるという研究です.具体的には,アドリブなどの無意識的音楽創作行為(鼻歌など)を録音,解析を行い,その音がどの曲のどの部分におけば不自然でなくなるのかを提示,また他者とのアドリブの共有を行うことで作曲支援を行うものとなっていました.ついしてしまう無意識的音楽創作行為という着眼点が非常に面白いと思いました.
  5. 「発表時における視線誘導システムの検討」塚越さくら,村上莉沙(津田塾大学),栗原一貴(津田塾大学/Diverse技術研究所)
    この研究では、人前でプレゼンテーションや発表をうまく行う際に、聴衆への目配りが重要な技術の一つであるとして、その技術向上のためのシステムを提案しています。具体的には、Kinectセンサーによる顔の向きの取得と、室内に設置したディスプレイを用いて、発表中に発表者の視線を誘導するシステムと、発表者の目配りの苦手な箇所を提示することでそこへ視線を誘導するシステムの2種類を実装しています。発表を行う際の目配りを向上させるというアイデアがとても面白く、機会があれば実際に体験してみたいと思いました。

[特別講演]

今回の研究会ではなんとドラゴンボールのベジータ役や名探偵コナンの服部平次役で有名な声優、堀川りょうさんに特別講演としてお話しいただきました。はじめに、堀川さんのこれまでの経歴を話してくださった後、現在の声優業界の現状と課題について語ってくださり、とても貴重なお話しを聞くことできました。特に印象に残ったお話しは、海外では日本のアニメがとても人気であるため、日本で有名なアニメの声優になるということは、同時に海外でも有名になるということです。実際に、堀川さんも海外に行った際に、海外の有名な映画俳優に並ぶほどのファンが増えたことに本人も驚いたようです。堀川さんのような有名な方のお話を聞く機会というのは、これまであまりなかったのでとてもいい経験となりました。これからも様々なジャンルで活躍される人のお話を聞き、自身の知識を広げていけたらいいなと思います。

[感想]

今回,初めてエンタテイメント系の研究会に参加しましたが,見た目にも面白いような研究が多く,発表を聞いているだけでも楽しむことができました.こうした研究が発展していけば,生活がより楽しく豊かなものになるのではないかなと思います.また,1日目の夜の懇親会では,この分野で有名な方々と研究の話や世間話を楽しむことができ,充実した2日間を過ごすことができました.

 

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