第101回グループウェアとネットワークサービス研究発表会参加報告(佐藤、田村、新納)

投稿者: | 2017年3月30日

こんにちは!中村研究室4年の佐藤、田村、新納です!

今回は第101回グループウェアとネットワークサービス研究発表会に参加してきたので、ご報告させていただきます。それぞれの発表報告については以下のリンクからご覧ください。

 

気になった研究

興味深い研究ばかりでしたが、今回はその中でも特に気になったものをいくつかご紹介させていただきます。


佐藤が気になった研究

東北環境再生モニタリングマップにおける震災時ツイート提示機能の実装
加藤勝何(東海大学)、内田理(東海大学)、寺田一美(東海大学)、福江潔也(東海大学)、長幸平(東海大学)、佐藤俊明((株)パスコ)

この研究では、「衛星観測と現地調査による被災地の環境再生モ ニタリングと地球環境教育の実践プロジェクト」というプロジェクトに取り組むなかで、東日本大震災からの復興に向けたTERM MAP(東北環境再生モニタリングマップ)を構築を行なっています。

加藤さんたちの提案する手法では震災前後の4億ツイートを収集し、不要なツイートを除外した上でGeoNLPを用いて大字名を含むものに対してツイートに位置情報を付与しています。この手法をもとに、震災当時の状況を表すツイートを現在の地理情報と組み合わせて閲覧可能なシステムを実装したという段階まで進んでいます。

このシステムを利用することによって、以下のような詳細な状況を容易に振り返ることが可能になっているようです。

  • ある小学校では地震発生から4日後には毛布などの物資が不足していたものの、炊き出しなどの活動が行われていた
  • 震災から10日後の東松島は、津波の影響で依然として砂埃がひどかった

自分の場合も、地震が発生した時や、近くで火事が発生した時などにはTwitterを参照することが多いため、もし災害が発生した時でも誰もが手軽にこのシステムを利用できるようになってほしいと感じました。

情報のマッピングを目的としたツイート語義曖昧性解消
遠藤岳(東海大学)、六瀬聡宏(データセクション株式会社)、内田理(東海大学)

近年はソーシャルメディアのデータを利用することで実世界イベントの予測や抽出を行うことが多く行われており,災害時などにおいてはリアルタイムな状況把握のためにTwitterが活用されています。しかし、位置情報が付与されているツイートはごく少数であり、また地名と人名が同じ字である場合に誤解を生むといった問題もあります。そこで、この研究では、対象となる固有名詞の前後の文章に対して形態素解析を行うことで、語義の曖昧性を解消することを目的としています。評価実験の結果、ツイートの数が少ない語義についても高い精度で人名と地名を分類することが可能ということがわかりました。

自分の研究では、言葉そのものを入力としてデータベースから関連する語を集めるというアルゴリズムを提案していますが、遠藤さんらの研究と共通する部分も多く、大変興味を惹かれました。


田村が気になった研究

気弱なパーティー参加者のためのコミュニケーション機会形成支援メディア
吉村祐紀、西本一志(北陸先端大)

パーティーは多種多様な人たちとコミュニケーションして新たな人間関係を構築するための場であり、世界各国で様々な形式のパーティが開催されています。しかし、パーティーにおいていくつかの問題が存在します。例えば、「同じ人同士が長時間話し続ける」ことや「一回の会話が長くなり、他の人々と会話ができない」ことや「一回の会話が長くなり、他の人々と会話ができない」ことなどの問題が挙げられます。こうした問題はパーティーの目的である新たな人間関係の構築を阻害してしまいます。特に若年層や性格的に気弱な人々の意見には「自発的に話しかけることができない」「会話を終える方法が分からない」などの意見が多くみられるため、パーティーの目的を果たす上で解決すべき深刻な問題です。

そこで、この研究ではそういった問題を解決するため、若年層を含む気弱な人々を主たる支援対象とした、パーティにおけるコミュニケーション機会形成支援ツールShyQueueを提案しています。ShyQueueとは、会話したい特定の相手に対し、匿名で話したい相手に「あなたと話したい」という内容のメールを送ることで、その相手に誰かが自分と話したい人がいることを通知するシステムです。そして実際のパーティでそのツールを運用する実験によってその有用性の実証を行っています。

自分も自発的に話しかけることがそこまで得意ではないため、このシステムを他大学との懇親会などの時に使いたいなと感じました。

遠隔2地点の相互サロゲートによる空間的な協調作業の支援
片山直樹、高津良介(慶応大)、井上智雄(筑波大)、重野寛(慶応大)

今日、人々が行っている協調作業は会話から会議、スポーツ、演劇、ダンス、演奏活動など種類は多岐に渡ります。これらの協調作業の中で、移動の必要がない会話や会議については、様々な手法を用いて、遠方にいながら対面時に近い環境で協調作業を行うことが可能となってきています。これに対して演劇活動やダンスなど、ステージのような一定の広さを持つ空間内を移動しながら行う協調作業の遠隔化を既存の研究を用いて行うことは困難です。その理由としては、他の作業者の身体動作などのノンバーバル情報と位置や向きなどの空間的な情報をお互いに把握する必要があるためです。

そこで、この研究では双方向のサロゲートによる空間的な遠隔協調作業の支援を提案しています。具体的には、遠隔地に自身の動きに合わせて移動するロボットを用意し、それに取り付けたカメラで取得した遠隔地の一人称視点実映像を見ながら作業できる手法の提案を行っています。そして、評価実験を行い実映像によるノンバーバル情報の共有と位置関係把握の双方を両立した遠隔作業支援の実現を確認しています。

遠隔地に居る人と出来る協調作業が会話や会議以外にも増加することで、遠隔地に居る人との交流の幅がさらに広がっていきそうだなという期待感から、この研究に対してとても魅力を感じました。


新納が気になった研究

migaco:歯ブラシ動作計測機能による幼児対象歯みがき支援
小田川保奈美、 篠塚咲良、 市村哲(大妻女子大)

「歯磨き」は私たちが健康的に生活を送っていく中で、必要不可欠な行為だと思います。しかし、歯磨きという生活習慣を定着させるのに重要な幼児期において、はみがきを嫌ってしまうといったケースも多いと言われます。本研究はそのようなはみがきを嫌がるこどもに対して、楽しくはみがきを習慣づけさせることを目的とした研究です。

そこでAndroid端末のスマートフォンに搭載されている地磁気センサと、はみがきに取り付けた磁石を使うことによって、どれだけ幼児が積極的に歯磨きをしたかを提示し、子供に歯磨きを楽しいと思わせるようなシステム migaco を実装しています。migaco は磨いた回数に応じてカウントをすることや、こどもを惹きつけるようなかわいいイラストが描かれた動画を再生するといったものになってます。

私事ですが現在虫歯の治療で苦しい思いをしている途中なので、大人としてもぜひ使いたいシステムだと感じました!笑

また、磨けていない箇所なども可視化できるようになればもっと面白い研究になると思いました。

「歯磨き イラストや」の画像検索結果

健常歩行者センサデータを用いたバリア検出に向けた機械学習手法の検討
宮田章裕、 荒木伊織、 王統順、 鈴木天詩(日本大)

バリアフリーという言葉をよく耳にすると思いますが、このバリアとは障害物を意味するものです。現在バリアはあらゆる場所に多数存在し、またこのバリアが存在する箇所を把握できていないことから障害者の円滑な移動を妨げています。

本研究ではそのようなバリアが存在する箇所を発見するために、スマートフォンの加速度センサを用いて人の歩行時におけるセンサ値を取得することによって、どれだけのバリアの分類ができるかを行った研究です。ここでは実際にDeepLearningを使うことによって、81.4%の精度で分類できるということを明らかにしていました。

加速度だけでここまでの分類ができることを知り、非常に驚きを感じた研究の1つでした。

またスマートフォンでデータを収集できる点で、ポケモンGOのような位置ゲーと言われるようなアプリと併用することで、たくさんの人が歩いたデータを収集できるのではないかと思いました。

「バリアフリー イラストや」の画像検索結果

感想

研究発表会の日程が東日本大震災の日と被ったと言うこともあってか、震災時のデータ分析に関する研究が多く発表されていました。また、自分たちの研究に類似していたり、参考になりそうな研究が思ったよりも多く見られ、今後の方針を考えるのに役立ったのではないかと思います。

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