ARG WI2研究会で「自他との平均化により手書きをきれいにするシステムの提案」というタイトルで発表してきました(又吉康綱)

      2023/01/05

毎日が暑すぎて,朝早く登校することで回避しようとしている中村研究室B3年の又吉康綱です.

2017年7月7日,8日に京都大学で行われた第10回ARG  Webインテリジェンスとインタラクション研究会(ARG WI2研究会)にて研究発表をさせて頂きました.

発表内容

今回発表したのは,ペン可能な情報端末上で,自身が書いた過去の文字他者が書いた過去の文字とリアルタイムで融合することで手書き文字をきれいにするシステムの提案です.まずは下の動画を見てください!

背景

小学校にiPadを導入という話もありますし,パソコンやタブレット,スマートフォンなどで手書きする機会が増えてきています.そして,学習の際にもペン入力可能な情報端末機器でノートやメモをとるユーザも増えてきました.しかし,タブレットなどで書くのは多少難しいことや,そもそも自身が満足する手書き文字が書けないために手書き文字に抵抗感を抱いているユーザも多く存在します.我々は,こうしたノートやメモをとる際に,自身の文字がきれいな手書き文字になるのであれば満足感が高くなり,ノートをとるのが楽しくなるのではないかと考えました.

提案手法

提案手法は,ユーザの手書き文字を取得し,その手書き文字に対してこれまで研究室で行ってきた研究である,手書き文字を平均化する手法と,他者との手書き文字融合化手法を応用することで,自身の手書き文字に自身の過去の手書き文字を融合したり,自身の手書き文字に他者の手書き文字を融合文字できるようにするものです.

システムの流れは下記のような感じです.

  1. ユーザがシステムに手書き文字を書くと文字認識と数式化を行う
  2. 文字認識と数式化した結果を手書き文字データベースに追加を行う
  3. 手書き文字データベースから自身や他者が過去に書いた文字の取得を行う
  4. システムに書いた手書き文字と手書き文字データベースから取得したものとを融合処理を行う
  5. 生成した融合文字の提示を行う

実装

この提案手法を用いたプロトタイプシステム:Mojirage - 平均文字ノートを実装しました.

http://mojirage.com/ にて実際に体験することが可能です.ぜひ使用してみてください.自身の平均文字を用いるモードと他者の手書き文字との融合文字を用いるモードの2つがあります.

自身の手書き文字融合

自身が過去に書いた文字との平均文字をリアルタイムで作成し提示している例です.

他者との手書き文字融合

他者が過去に書いた文字との融合文字をリアルタイムで作成し提示している例です.

利用テスト

自身との融合と他者との融合に対してそれぞれ利用テストを学生5人で行ないました.その結果

  • 平均化された漢字が特にバランスがよく,好きだった
  • やたら大きく書いた文字でも,平均化することでいい大きさになった
  • 自身の字がすごい勢いで変換されて,自身の字の汚さを実感し,融合後の字が好きであると感じた
  • 他者と融合することで,いつも上手くかけなかった文字も納得いく文字になった

などの肯定的な意見が多く,もっと使いたいという意見が得られました.一方で

  • 字のバランスなどの違いを感じなかった(字が安定している人の場合)
  • 形が崩れた(書き順の違いなどをカバーできなかったことが理由)
  • 融合相手が気に入らなかった(融合相手の数が実験のため少なかったことが理由)

などの否定的な意見も得られましたが,これらは,今後解決することができると考えてます.

今後の応用

利用テストの意見の中で「好きな文字と融合すると満足感が高い」という意見がありました.そのことから,「好みの手書き文字を書く人」が好きならもっと満足感が得られるのではないかと考えられます.この,「好みの手書き文字を書く人」を応援しているアイドルにすることもできるのではないでしょうか?

例えば,アイドルにとって手書き文字というものは,手書きメッセージという形でファンを喜ばせるパフォーマンスの一つになっています.つまり,ファンにとってアイドルの手書き文字はうれしいもののひとつです.

このアイドルの手書き文字と,自分の手書き文字を融合することで,アイドルと一緒にノートを書いている感覚手を添えられながら書いてるような体験をすることができるのではないかと考えています.

発表スライド

論文情報

又吉 康綱,久保田 夏美,斉藤 絢基,大島 遼,鈴木 正明,中村 聡史: 自他との平均化により手書きをきれいにするシステムの提案, ARG 第10回Webインテリジェンスとインタラクション研究会 (2017/07/08).

感想

2日目の朝イチでの発表でした.初めての研究会や,人前での発表だったのでドキドキしてしまい,プレゼンで超早口になったりセリフを飛ばしてしまったりしてしまいました.質疑では,意見がまとまらずに返答してしまい,自分でも混乱してしまいました.練習を積み重ねて行きます.

2日目の午後に行われたデモでは行列ができるほどたくさんの人に体験してもらいました.今後に活かせそうな意見を頂けました.

1日目の懇親会では京都のおばんざい(昔より京都の一般家庭で作られてきた惣菜の意味で使われる言葉)を頂きました.薄味でどれも美味しかったです.

最後になりましたが,ご指導いただいた中村先生,平均文字ライブラリを作成していただいた大島さん,共著の先輩方,論文校閲や発表練習,スライドデザインを見ていただいた研究室の先輩方,手書き文字データセット構築に協力してくれた後輩たち,ありがとうございました.今後ともよろしくお願いします.

優秀研究賞

また,この発表でWI2の優秀研究賞をいただきました.頂けたことに驚いています.ありがとうございます!!

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