SIGHCI182で「ビジュアルトリガを用いたタスク管理におけるモチベーション向上手法の有用性の検討」というタイトルで発表しました(松田滉平)

投稿者: | 2019年4月1日

はじめに

冬もすっかり明けて春の陽気になり,動物や花々たちが賑やかになってゆくと共に,花粉症によって私の鼻も一層賑わってまいりました.中村研究室修士2年の松田滉平です.

さて,3月18〜19日に明治大学中野キャンパスで開催された「第182回HCI研究会」にて「ビジュアルトリガを用いたタスク管理におけるモチベーション向上手法の有用性の検」という内容の研究を発表したしましたので,その報告をしたいと思います.

 

研究内容

皆様はタスク管理をした経験はありますか?

タスクは普通,リマインダーやタスク管理アプリ,手帳などを使い文字によって管理することがほとんどです.

私たちはこれまで文字ではなく画像によるタスク管理によって,画像によるタスク管理における特性を明らかにし,タスク管理のハードルを下げるという研究をしてきました.(以前の研究発表記事

今回の研究ではそこからさらに一歩踏み込み,画像が人の行動を変容させる特性を利用して画像によるタスク管理がタスク実行のモチベーションに繋がるかどうかを3つの実験によって明らかにしました.

 

実験1:画像によってタスク内容を思い出せるか

タスク管理の本質は記憶の外在化です.なので,タスクを画像として外在化した場合にも文字同様にタスク内容を思い出せるのかを検証しました.

実験協力者12名を半分に分け,一方は10つのタスクを画像で,もう一方はタスクを文字で表現してもらい,1週間後に思い出せるかのテストをしました.

タスク内容の想起度比較

結果は 文字グループの想起率 98% ≒ 画像グループの想起率 100%

つまり,画像でも文字同様に十分タスク内容を思い出せるということがわかりました.

 

実験2:画像は文字よりもモチベーション向上に繋がるか

次に,タスクを提示するときに文字よりも画像の方がモチベーションが向上するかどうかを検証しました.

実験協力者12名を半分に分け,一方は5つのタスクを画像で,もう一方はタスクを文字で表現してもらい,2週間毎日指定の5つのタスクを実行してもらいました.

結果は 画像グループの平均達成率85% > 文字グループの平均達成率 79%

画像の方が達成率が高いものの,文字と6%しか差が見られませんでした.

しかし,画像グループで表現形式の違いによって大きく達成割合に差がある傾向が見られました.例えば,下図(左)のようにタスクをイラストで表現した人は,タスクの達成割合が6割だったのに対して,下図(右)のように実験協力者本人が使用している単語帳や,自宅にある筋トレ器具などタスク実行に直接関連しているものを画像として表現した人はタスクの達成割合が9割と大きな差がありました.

つまり,タスクを画像としてどう表現するかどうかでモチベーションへの影響力が変化するのではないかという仮説を立てました.

画像の表現方式の違いとその達成割合

 

実験3:画像の表現形式によってモチベーションに差が生まれるか

実験2で傾向が見られた,画像の表現方法の違いによるモチベーションの影響力を検証しました.

実験協力者12名に対して4つのタスクを下図にある4パターンの表現形式で提示し,2週間指定の4つのタスクを毎日実行してもらいました.

タスクの4パターンの表現形式

 

なお,今回はタスクの通知を受け取ってから,そのタスクが達成されるまでの時間を測ることでモチベーションにどの程度影響しているのかを詳細に見られるようにしました.

タスク通知から達成までの平均時間

 

結果は 抽象表現画像 ≒ 具体表現画像 > 文字 > イラスト画像

つまり,タスクを画像として表現するときには,文字やイラスト画像よりも抽象表現画像や具体表現画像の方がモチベーションに繋がることが分かりました.

 

考察とまとめ

実験3のような結果になった理由として「Goal-setting Theory」という目標を具体的に設定した方がタスクのパフォーマンスが向上する,という研究に深い関係にあると考えられます.

つまり,タスク行動を想起しやすいものを画像として写した方がモチベーションが向上するということが分かりました.

そして3つの実験の結果から,画像はタスクを想起するトリガとして十分機能し,タスク内容に合わせて具体的に画像を表現することでモチベーションに影響があることが明らかになりました.

参照

論文情報と発表スライドです

松田滉平, 中村聡史. ビジュアルトリガを用いたタスク管理におけるモチベーション向上手法の有用性の検討. 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), 2019, vol. 2019-HCI-182, no. 14, p. 1-8.

 

 

iPhoneアプリ公開中

画像によってタスクを管理するアプリケーションをAppStoreにて公開していますので,気になる方はぜひ使ってみてください!

感想

私が修士としての最後の学会発表となりましが,思えばこの研究に従事してから4年も経ったことを考えると感慨深いものがります.

最初の学会発表ではガチガチに緊張して,研究内容をスムーズに話すだけでも一苦労だったけれども,冷静に聴衆者に目を向けて落ち着いて話し,ちょっとした小芝居を入れる余裕も生まれたのではないかと考えています.

私が関わる研究はこれで最後ですが,私は中村研究室で得た経験を糧に精進して参りたいと思います.今まで本当にありがとうございました!

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