KES2023で「Validation of Game Advantage Disadvantage Control Considering Color Vision Characteristics: A Basic Study on Among Us with Different Color Settings」というタイトルでギリシャで発表してきました(青木柊八)

   

はじめに

こんにちは。新しいゲームを購入する際に最も重視する要素は「アクション要素」な青木柊八です。

皆様方はお元気ですか?ついに本格的に冬が眠りから覚めたような寒さを感じる今日この頃ですが、真夏の体験をやんわりと振り返っていこうかなと思っております。

というところで、今回は2023年9月6日から9月8日にギリシャにて開催されたKES2023で、藤原先輩の研究の後を引き継いだ「Validation of Game Advantage Disadvantage Control Considering Color Vision Characteristics: A Basic Study on Among Us with Different Color Settings」を発表させていただきましたので、そちらについて報告させていただきます。

研究内容

研究背景

皆様方はゲームはお好きでしょうか?私は冒頭にも少しちらつかせましたが、ゲームを人並以上に嗜んでいます。

ゲームの利点の一つとして、多種多様な人と様々な形で交流ができることが挙げられます。例えば、共に協力したり、観戦したり、対戦したり。しかし、ゲームを楽しく、公平に遊ぶ際の問題として、ハンディキャップが存在します。これにより、「聴力が弱いから敵の位置がうまく把握できない」「視力が悪いから敵と味方の判断する時間がかかる」など、実力とは関係ない要素で不利になってしまいます。そこで、今回の研究ではまず色覚におけるハンディキャップに着目し、それによる有利不利に対して対策案を提示するため、調査を行いました。

参考として、下の画像は色覚多様性者の種類とそれぞれの見え方になっております。

色覚多様性者の種類とそれぞれの見え方

なので、今回の大目的としては、「様々な特性がある色覚多様性者がゲームをプレイする際の色によるハンディキャップをなくす」というものになっています。

 

研究概要

我々は過去に、色覚特性によるゲームの有利不利の制御に向けたD型模擬フィルタを用いた実験による色の基礎検討を行っており、一般色覚者が識別しにくく,色覚多様性者が識別しやすい色に関する検討を行いました。(詳細はこちらを確認してください)。

しかし、この研究には実際のゲーム画面に適応した際に有利不利制御が行えるのかについては調査できていない、というような問題点がありました。
そこで我々はAmong Usというゲームを用いて検証することにより、この問題の解決を図りました。

 

なぜAmong Usなのか

今回の実験でAmong Usを利用した理由としては、ひとえに選択できるカラーバリエーションの多さにより、過去の研究で得られた知見に沿って配色の設定が行えるからです。

Among Usで使えるキャラのカラーバリエーション

また、このゲームでは自分の周辺の状況を記憶したうえで議論を行うといった性質上、プレイヤーを判断するために利用しているキャラの色が重要であるので、今回の研究に適切であると考えました。

 

実験概要

実験協力者は男性10名であり、Among Usにて試合を合計4回行いました。
実験協力者のうち4名にリアルタイムで画面の色を変換する「リアルタイム色変換システム」を利用してもらい、D型色覚多様性者の視点でゲームを行ってもらいました。

 

プレイヤーが選択する色は毎回ランダムであり、プレイヤーの名前は長さによる影響を考慮し、すべてひらがな4文字に固定されました。

そして、以下は今回の実験における仮説です。

実験における仮説
1.認識しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して討論の場での会話量が多くなる
2.識別しやすい色のキャラクタがシキベツしにくい色のキャラクタよりも討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる
3.色に着目したタスクにおいて、識別しにくい色のタスクは識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる

今回の実験では、この仮説がそれぞれ支持されるかされないかを調べました。

 

ここで、色に着目したタスクの一例を紹介します。

色が重要となる配線タスク

この配線タスクは同じ色同士をつなげる必要があるので、色の視認しやすさがタスクの遂行速度に直接関わってくると我々は考えました。

 

実験結果

まず、以下の表は配線タスクをこなした平均時間とミス数を表すものです。

配線タスクをこなした平均時間とミス数

ここから、フィルタなし群のほうがタスクをこなす時間が短かったことが確認できます。

 

次に、以下の表は全会話数に対する色名をしゃべった数の割合を示します。

全会話数に対する色名をしゃべった数の割合

ここから、フィルタあり群のほうが発話数の割合が低いということが確認できます。

 

また、条件ごとでの識別しにくい色のペアは以下のようになっています。

条件ごとでの識別しにくい色のペア

これ以外にも、フィルタあり群の人のほうが識別しやすい有利な色の存在についても示唆されました。

 

考察

今回用意した仮説は3つであったが、それぞれの結果は以下のようになりました。

実験における仮説
1.認識しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して討論の場での会話量が多くなる
→一部示唆された
2.識別しやすい色のキャラクタがシキベツしにくい色のキャラクタよりも討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる
→一部示唆された
3.色に着目したタスクにおいて、識別しにくい色のタスクは識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる
→示唆された

また、紫と青のペアはどちらの条件でも識別しにくく、両者の視認性を下げることのできる色であることが明らかになりました。
それに加え、白色はどんな色と組み合わせても両者ともに識別できる色であるので、色覚サポートでは確実に使える色であることが確認できました。

このように、今回の研究の結果は、色覚サポートのデザインにおけるガイドラインとしても用いることが可能であると考えられます。

より詳細な内容についてはスライドの確認をお願いします。

 

発表スライド

 

論文情報

Tohya Aoki, Yuka Fujiwara, Satoshi Nakamura. Validation of Game Advantage Disadvantage Control Considering Color Vision Characteristics: A Basic Study on Among Us with Different Color Settings, 27th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems (KES2023), 2023.

 

あとがき

初めての海外発表でしたが、周りの方々の助力で難なく突破といった形になりました。ギリシャに関しては初めて行く場所であり、多くの古代遺物を自分の生の目で見て楽しむことができました。願わくばもっといろんな島々を散策できればよかったのですが、それはそれでまた有意義な時間だったので、また可能であれば海外発表ができればいいなと思いました。

日本も海外も動物はかわいいですね。

最後になりますが、たくさんのサポートをしていただいた中村先生、研究室のみなさんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
以上、青木でした。

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