はじめに
中村研究室B3の瀬崎夕陽です。
初めての学会発表で初めての愛媛に行きました。愛媛に着いて初めにやった事が蛇口からミカンジュース🍊。初日夜ご飯に食べた鯛めしに感動して滞在中4/8の食事で鯛めしを食べてました! めでタイ!食べタイ!おぼれタイ!
2023年9月11日,12日に愛媛県の人間環境大学松山道語キャンパスにて開催されたヒューマンコミュニケーション基礎研究会(HCS)にて「提示する文字形状の違いが読解問題の正答率に及ぼす影響」というタイトルで研究発表をしましたので、その報告をさせていただきます。
研究概要
デジタル化によりパソコンが普及した現在、皆さんは手書きをする機会はまだありますか?小中学生の頃は板書に感想文に計算にたくさんの文字を書き、読んできたと思います。一方今では、デジタル化が進んできて、パソコンやスマホで文章を作ったり、電卓で計算したりと、手書きする機会は勿論、手書を見る事すらなかなか減っていると思います。もしかしたら、もう何年も文章を手書きした記憶が無い人もいるかもしれません。
しかし、そんなデジタル化社会でも、手書きの需要は高く、特に教育環境でノートとペンは無くてはならないアイテムです。そんな世の中だからこそ、様々な文字形状が混在しています。例えば、パソコンにはゴシック体や明朝体などのフォント文字、紙ノートには特徴的な様々な手書き文字が書かれています。これは教育現場においても同様に言えるでしょう。そこで我々は、どういった文字形状が学習において最も有効であるのか、を知る事は重要であると考えました。
文字形状と学習の関係については、読みにくい文字形状が覚えやすいという「非流暢性効果」が過去に検証されています。学習においては、記憶だけでなく理解も重要な要素であることが分かっている。しかし「非流暢性効果」は文字形状と理解の関係については十分な検証がされていません。そのため文字形状と理解の関係を明らかにすることは重要となります。
そこで本研究では、文字形状が理解に及ぼす影響を読解問題を用いて比較実験しました。
比較する文字形状は、図1のような全部で4種類、「ゴシック体」「明朝体」「手書き1」「手書き2」を用意しました。このうちのランダムな1種類の文字形状で7個の読解問題に取り組んでもらい、その後、4種類の文字形状を読みやすさで順位付けしてもらい実験をしました(図2)。
図1
図2
実験には大学生44人に参加してもらいました。ゴシック体、明朝体、手書き1、手書き2の4種類の分析データが均等になるように割り振りました。
結果、文字形状の違いによる読解問題の正解率に有意差は見られませんでした(図3)。また、読みやすさの比較評価では手書き文字(手書き1・手書き2)よりもフォント(明朝体・ゴシック体)の方が高い評価を受けました。有意差はなかったものの、正解率と読みやすさを照らしてみると、読みやすい文字形状の方が比較的高い正解率を出している傾向が見られました(図4)。
図3
図4
また、それぞれの文字形状の平均問題解答時間と正解数を比較した際に、解答時間が長いと正解数が増えるという傾向が見られました。さらにそこに、読みやすさの比較を照らし合わせると、読みやすい文字形状の方が解答時間が長く正解数が多いことが分かりました(図5)。このことから、読みやすい文字形状で読解問題を提示すると、解答にかける時間が長くなり、成績が向上する可能性が示唆されました。
図5
今回の実験では読みやすさを実験者に文字形状ごとの比較評価を行ってもらいました。今後は、さらに数値的なデータとして読みやすさを扱い、文章理解(読解問題の正解数)との関係をより詳細に分析し、明らかにする必要があるため、視線を取得して実験調査を行う予定です。
発表スライド
論文情報
感想
今回初めての論文、学会発表で不慣れな点が多く、なかなか思うようにはいきませんでしたが、先生を始め多くの人のお力をお借りして、なんとか終えることが出来ました。学会発表でも学ぶことの方が多く、貴重な体験をさせて貰いました。次回は、この経験を活かし、より完成度の高い論文、学会発表を出来るようにしたいです!
学会発表前後では、会場が愛媛であったこともあり、みかん🍊、鯛、温泉、城、タオルミュージアムと、観光も食事もたっくさん楽しみました。
最後に、実験から論文作成、発表まで付き合ってくださった研究室の先輩方、同学年の仲間達、そして、何度も相談に乗って学会発表まで導いてくださった中村先生に心から感謝申し上げます。
今回の経験を活かして、今回以上の研究、発表を目指し頑張っていこうと思います!