第200回HCI研究会にて「待機画面におけるプログレスバーの表示位置が待機後の選択に及ぼす影響の調査」というタイトルで発表してきました(横山幸大)

   

はじめに

こんにちは!中村研究室M2の横山幸大です。

2022年11月8日~9日に淡路島で開催された第200回HCI研究会にて研究発表を行いましたので、ご報告させていただきます。

今回発表した研究のテーマは「待機画面におけるプログレスバーの表示位置が待機後の選択に及ぼす影響の調査」というものでHCI191HCI196HCI199で発表した研究の続きになります。

 

研究概要

みなさん、ネットサーフィンをしているときに読み込みなどで待たされる時ってありますよね?

その待ち時間を短く感じさせたり、不快感を減らしたりするために、最近では多くのウェブサイトでプログレスバーというものが用いられています。

プログレスバーは、今何が行われているかや、あとどのくらいで完了するかなどをユーザに視覚的にフィードバックするものであり、そのデザインが待機中のユーザに時間短縮などさまざまな影響を及ぼすことが知られています。しかし、フィードバックするときにアニメーションが使われるためユーザの視線を誘導することが考えられます。

ここで我々は、プログレスバーがユーザの視線を誘導するのであれば、その後のユーザの選択行動にも誘導が起きてしまうのではないかと考えました。また誘導が起きるのであれば、それを意図せず使ってしまったり、悪意を持って使われてしまう可能性もあると考えています。

そして、これまでの研究で我々は、プログレスバーの表示位置、長さ、アニメーションの向き、アニメーションの最終位置が待機後の選択行動に及ぼす影響について調査してきました。

その結果、プログレスバーを下側に配置したり右向きにアニメーションさせた場合で選択が偏る傾向や、アニメーションの後半から視線が中央に向き始める傾向、待機時間が長いときはプログレスバーを長くすることで選択が偏る傾向が明らかになりました。しかし、各要素がどの位置の選択率を上昇(下降)させるのかについてはまだ明らかになっていませんでした。

そのため本研究ではまず、これまでに様々な条件で行ってきた実験の結果から横断的に分析を行いました。

その結果、以下のようなことがわかりました。

  • プログレスバーを提示する時間(待機時間)が短い方が選択誘導が起きやすい傾向

    各プログレスバーの提示時間における選択にかかった時間

  • プログレスバーの終端と左上との距離が長くなると選択率が右側に寄る傾向
  • 表示位置が上から下になると右から2列目の選択率が上昇し、左下の選択率が下降する傾向

この結果から表示位置に関する「表示位置が上から下になると右から2列目の選択率が上昇し、左下の選択率が下降する傾向」について仮説をたて、実験により調査を行いました。

その結果、「表示位置が上から下になると右から2列目の選択率が上昇し、左下の選択率が下降する」という仮説を支持するような結果となりました.

 

各表示位置における仮説に該当する位置の選択率

 

今後は

  • 使用するデバイス(今回はPCに限定)による影響の違い
  • 選択の種類(今回は購入する商品の選択)による影響の違い

に関する調査を検討していく予定です。

 

発表スライドと論文情報

発表スライド

論文情報

横山 幸大, 中村 聡史. 待機画面におけるプログレスバーの表示位置が待機後の選択に及ぼす影響の調査, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2022-HCI-200, pp.1-8, 2022.

 

感想

前回の小樽からハードなスケジュールでしたが、無事に終えることができて良かったなと思います。

論文添削や発表のチェックなど、サポートをしてくださった中村先生、中村聡研究室の皆様に心から感謝申し上げます。

今回の淡路島出張は関西大学との合同研究会と連日で行われたため1週間ほどの関西長旅でしたが、観光に一人混じったM2を温かく受け入れてくれた後輩のおかげでいろいろと乗り越えることができました。

学生生活も残り数か月(予定)ですが、最高の後輩たちともっと思い出つくりたいと思います!

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