こんにちは!
中村研B4宮崎勇輝です.「競馬観戦時における着目馬識別を可能にする忘却を考慮したパズル型勝負服記憶支援手法の提案」というタイトルで京都で開催されたEC75で発表しましたので,その報告をさせていただきます!
背景
競馬を観戦する時,皆さんはどうやって自分の応援する馬を探しますか?
多くの方は馬券を購入する際に使用する「馬番」を用いて自分が応援している馬を探しているかと思います.しかし,「馬番」は馬体の影に隠れることが多いため見失ってしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで本研究では騎手が着用する「勝負服」に着目しました.勝負服は種類も多く隠れることが少ないので,勝負服で自分の応援する馬を探すのが競馬を観戦する上で有効であると考えています.ただ,勝負服にも似た模様が存在するので,曖昧に勝負服を覚えていると結局どの馬を応援すれば良いのかわからなくなってしまうことがあります.
また毎回自分が応援したい馬の勝負服は異なり,前回覚えた勝負服が次のレースに応援しない馬として出てくることも多くあります.そのため,1つのレースが終わったら覚えた勝負服をすぐに忘れて,次の勝負服を覚える必要があります.
そのため,私は勝負服をパズルのように分割し元に戻す行為を行うことで,似ている勝負服の違いを把握し自分の応援する勝負服をすぐに見つけることができ,レース後はすぐに忘れることができるのではないか?と提案しました.

勝負服を分割し元に戻す
実験&結果
今回は競馬の実況アナウンサーが塗り絵を使用して勝負服を記憶しているという事例があったため,提案手法と塗り絵手法を比較して実験を行いました.また,実験では勝負服を各手法により記憶し,その記憶した勝負服を複数の勝負服から選択するテストを行うことで手法が勝負服識別に有効であるかの検証を行いました.
結果として,パズル手法は塗り絵手法と同程度の正答率と解答時間でありながら,前回の内容を適切に忘れることができていたことが明らかになりました!また,主観評価アンケートでもパズル手法の方が勝負服識別に有効であり,実験参加者全員が長期的にシステムを使うならパズル手法が良いと回答されました.
以上より勝負服識別では塗り絵手法よりパズル手法の方が優れていることが客観的指標と主観的評価から明らかになりました!今後は実際の競馬観戦でも同様に有効であるかの検証を行なって行きたいと考えています.
より詳細な実験設計や結果などは以下の発表スライドや論文情報リンク内の論文PDFをご覧下さい.
発表スライド
論文情報
おわりに
久しぶり2回目の学会発表で不慣れな点もありましたが,ECではデモ発表も盛んで多くの研究に触れることができ非常に刺激的な3日間でした.私の発表でも多くのご質問やご意見をいただき,次年度から始まる修士課程での研究もとても楽しみであります.
最後になりましたが,ご指導いただいた中村先生,様々な研究活動にご協力いただいた研究室の皆様に心より感謝申し上げます.