お久しぶりです,皆様いかがお過ごしでしょうか.B4の船﨑友稀奈です.
最近温かい日が増えてきてとても嬉しいです.(花粉さえなければ)春は好きなので,桜が咲くのが待ち遠しいですね.
この度は2021年3月1日〜3日に行われた第13回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2021)に参加して参りましたので,発表の報告を致します.
研究内容
皆さまはご自身の“推し”の人やもの,作品やコンテンツなどはありますでしょうか?私は作品・コンテンツからアニメやゲームのキャラクターまで沢山の推しがいます.推し事とても楽しいです.推しに生かしていただいているようなものですね.
こういった推しを友人や家族などに知ってもらいたくて(同じように話せる人が欲しくて),「このコンテンツおすすめ!」といったように推薦をすることが多いです.しかし,話を聞いているときには「面白そう!」や「今度見てみるね」などと言ってはもらえるものの,実際には興味をもってもらえておらず,その場限りで話が終わってしまうことが多々あります.また逆に,自分が話を聞いて「面白そうだね 」とは言ったものの,そのあと忘れてしまって結局見なかったという経験もあります.
本研究では,このような推し語りや推薦がうまくいかないということを問題として扱いました.
まず実験の前段階として,Yahoo!クラウドソーシングにて推し語り(推しに関する推薦)をしたことがある方を対象に大規模なアンケート調査を行いました.その結果,多くの方が推し語りがうまくいかなかった経験があるということがわかりました.マイナーすぎたから理解されなかったというようなものから,推薦したものが相手に合わずに口論になり関係が悪化したといった悲しい例もありました.またうまくいかなかった原因を尋ねたところ,相手の興味を引き立てられなかった,推しの良さを伝えきれなかったといった「自分の話術や技量が足りなかったためにうまくいかない」という意見が多く見られました.しかし,本来はコンテンツそのものの良し悪しを見て欲しいのに対して,話し手の話術で興味が変化してしまうのは問題です.
そこで本研究では,話者の話術や技量に関わらず推し語りを成功させることを目的と定めました.
そして目的実現のため,人の特性である「興味をもったものには能動的な行動を起こす」,これを逆に捉えた「能動的な行動を起こすことで興味を誘発できる」という研究を元に,推し語り時にも能動的な行動を起こすことで興味を誘発できるのではないか?と考えました.
今回は能動的な行動のうち,検索に着目をしました.また検索の中でも,一番最初のステップである「脳内で検索クエリを考える」という能動的な行動が聞き手の興味を増加させるという仮説を立て,推し語り時に脳内で検索クエリを考えさせることで聞き手に興味を持たせる手法を提案しました.
また提案手法が興味の増加に効果的かを確かめるために実験を行いました.その結果,提案手法を活用することで,元々あまり興味がなかった実験協力者のほとんどが推し語り(推薦)を受けた後は興味が大きく増加したことが明らかとなりました.
さらに分析の結果,
- クエリを3つ以上考えると,より興味の増加に効果的であること
- 提案手法を用いることで推し語り後にも興味や記憶が持続する可能性があること
が明らかになりました.
また実験の話し手は,話をするのはやや苦手であるとのことでしたが,提案手法を用いることによってほとんどの実験協力者の興味が大きく増加していたことから,提案手法は話者の話術や技量に関わらず興味を持たせる手法として効果的であることがわかりました.
今後の展望としましては,
- 実験人数を増やして,同様の結果が出るかの調査
- 検索ステップを上げての調査
- 推薦や話の中でより自然に検索を組み込み,興味を誘発できるような手法やシステムの模索
を目標に研究を進めていきたいと考えています.
スライド・文献
こちらが本研究のスライドと論文の情報となります.
最後に
大変有難いことに発表中の質疑の時間だけでなく,チャットや掲示板でも沢山のコメントや質問,アドバイスを頂きました.私の発表や論文に興味をもっていただけて嬉しい限りです.また,DEIM学生プレゼンテーション賞もいただき,私自身が一番驚いております.
DEIM2021は当初,現地とオンラインでのハイブリット開催を予定していたため,現地へ行けることを楽しみにしておりましたが,社会情勢のためオンラインになってしまって非常に残念に思っておりました.しかし,オンラインならではの議論の活発さや手軽さもあり,とても有意義な3日間を過ごすことができました.
また私の推し作品である,レ・ミゼラブルのミュージカルが2021年5月から東京,大阪,福岡,松本で上演されます.ストーリーも歌も演出もとても素晴らしい作品です.よろしくお願い致します!!!
最後になりますが,新型コロナウイルスにより制限が多かった中,今回の研究活動・論文執筆・発表練習にお力添えいただきました中村先生や同期,中村研究室の皆さまに心より感謝申し上げます.
ピンバック: 第115回GN研究会にて「能動性を引き出すことで推し語り効果を最大化する手法の再検証」という研究を発表してきました(船﨑友稀奈) | 中村聡史研究室