はじめに
初めまして,今年の冬も寒いですね.
そんな寒さにも負けず年末年始は高尾山で初日の出を見る,中村研究室B3の野中滉介です.
今回は2018年12月21~22日に北海道のはこだて未来大で開催された第50回情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会 研究発表会で、「音楽印象と同期した歌詞フォント融合による印象強調手法」というタイトルで研究発表を行いました.
あらまし
みなさん,普段音楽は聴きますか?
音楽が好きでスマートフォンなどで聴く人はもちろんのこと,あまり自発的に聞かない人でもTVやインターネットを通じて聴く機会は多いのではないでしょうか?
音楽には歌詞がつけられることが多いですが,カラオケや音楽番組などの字幕はどの曲でも画一的なフォントで表示がされています.これは人によっては退屈な印象を与えてしまうことも考えられ,せっかくの作品の良さを伝えきれないなどの問題が考えられます.
そこで私たちはフォント融合によって音楽動画に適切なフォントを生成し,音楽動画の印象を強調する手法を提案しました.
ポスターや漫画などの印刷物においてフォントデザインがコンテンツに影響を与えることは明らかになっているので,音楽動画でも同じことができるはずです!!
研究内容
本研究では斉藤らの手法を応用し,フォントと音楽動画の印象(C1:堂々とした,C2:元気が出る,C3:切ない,C4:激しい,C5:滑稽な,C6:可愛い)を結びつけることによってフォントの融合を行なっています.
そのためフォントと音楽動画に印象値を設定するため,20人を対象にデータセット構築を行い,それらの評価値を元にフォント融合を行いました.
実験では音楽動画の下部に歌詞を提示してフォントと音楽動画のマッチ度とそれらの印象を5段階で評価してもらいました.
実験の結果,以下のことが明らかになりました.
- C3(切ない),C5(滑稽),C6(可愛い)は印象強調が可能
- C1(堂々とした),C2(元気が出る),C4(激しい)(感情を揺れ動く様を表すようなもの)は,他の印象を混ざってしまって印象強調が難しい
- 融合フォントはマッチ度が高いときはとても印象強調ができるが,マッチ度が低いときは逆に印象を抑制してしまう
今後は,
- 融合に使用するフォント数を増やす
- フォントデザイン以外に色やアニメーションなども利用
- 歌詞の内容を考慮して印象データセットを作成する
などを検証し,さらに研究を進めていく予定です.
発表スライド
発表で使用したスライドはこちらです.詳しくはこちらをご覧ください.
また,論文は以下からアクセスが可能なので,興味のある方はこちらからアクセスいただければと思います.
野中滉介, 斉藤絢基, 中村聡史. 音楽印象と同期した歌詞フォント融合による印象強調手法. 研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC), 2018, vol. 2018-EC-50, no. 35, p. 1-8.
感想
初めての発表でとても緊張していましたが,色々な意見をいただいたり他の方の研究に触れることで刺激を得られたりと,とてもいい機会でした.
また函館に行くこと自体も初めてだったのですが,食べ物がとても美味しく,2018年の中でもトップクラスのいい思い出となりました.
最後になりますが,お忙しい中サポートしてくださった中村先生や先輩方に,この場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました!!
ピンバック: 2021年度 修了生:野中 滉介 【修士(工学)】 #24 | 中村聡史研究室