はじめに
2018年もあと数日しかないことに気がつき、年賀状をこれから40枚以上書かなければいけないと焦っている中村研究室B3の古市冴佳です。はじめまして。
今回、2018年12月21~22日に北海道のはこだて未来大で開催された第50回情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会 研究発表会にて、「ヒップホップダンスにおける骨格情報を用いた個性抽出の検討」というタイトルで研究発表を行なったので、その報告をさせていただきます。
あらまし
DA PUMPの「U.S.A.」のダンスが日本中で大流行するなど、ダンスに対する関心は年々増加しています。コピーダンスやオリジナル振り付けなど、「踊ってみた」と呼ばれる動画をはじめとする様々なダンス動画がアップされており、スタジオなどに通わなくても簡単に自分でダンスを学習することができる時代になってきました。
ダンスにおいて、とても重要な要素の一つに「個性」があります。個性があることで表現の幅を広げたり、自分のダンスに独自性を持たせたりと、より観客に見せるダンスをすることが可能になると考えています。しかし、自分のダンスを客観的に捉えることは難しく、自分の個性を理解することもまたとても難しいです。
そこで、ダンスの個性を抽出できたらいいな、というものがこの研究の動機となっています。
研究内容
本研究では、個性を抽出するための第一歩として「骨格情報から個性となりうる特徴を探す」ことを目的とし、下記のように取り組みました。
- データセット構築
- 主観的実験(人の目から判別)
- 機械的実験(機械から自動で判別)
- 考察
データセットでは、約15秒間のヒップホップダンスを1人5回ずつ踊ってもらい、Kinectから骨格情報を取得し、これを用いて2つの実験を行いました。
主観的実験というのは、下のような映像を表示し(実際の映像は15秒間のもの)、その中から自分の踊りがどれかわかるかを判別してもらうというものです。この実験から、どの実験協力者も特定のダンスを選ぶ傾向があったこと、ダンス経験が豊富な人ほど自身のダンスを正しく判別できていたことが明らかになりました。
次に、アンケートから判別に用いた要素として回答の多かった要素を用いて、機械的実験を行いました。機械学習に用いる特徴量として、「関節角度」と「骨格点の移動量」という2種類を用意し、その結果を比較します。
学習にはランダムフォレストを使用し、5回あるダンスデータのうち、3回をトレーニングデータ、2回をテストデータとして、12人のダンスから12値分類を行いました。(このとき、トレーニングデータとテストデータの組み合わせとして10通りあるので、その全てで学習しその平均を求めています。)この実験では、どちらの特徴量でも、それぞれの実験協力者において本人のダンスが最も分類確率が高くなりました。
本研究の内容を簡単にまとめると、この2つの実験より、
骨格情報のみでも特徴を見出すことが可能
機械的実験:高精度で本人を判別可能
ということが明らかになり、骨格情報に個性となりうる特徴が存在していること、それらを利用していくことで、自分では気がつかない個性を見つけられると期待できます。
今後は、今回の実験で得た個人を判別した特徴が、
・異なる踊りでも共通する個性的な特徴かどうか
などを明らかにしていく予定です。
発表スライド
発表で使用したスライドです。詳しい研究内容はこちらをご覧ください。
論文情報
感想
初めての研究・論文・発表と分からないことも多かったですが、先輩や先生の手厚いサポートのおかげで無事に終えることができました。発表はとても緊張してしまいましたが、終わってみるとあっという間の出来事のように感じます。質疑応答の時間や休憩の時間にいただいた質問やコメントはどれも為になるものばかりで、ぜひ今後の研究に活かしていきたいです。
また、冬の北海道は昼間でも気温が1度だったりして、とても寒かったですが、美味しいごはんをたくさん食べることができました。ホタテやホッケなど普段食べていたものはなんだったのかと思える豪華さで、とても美味しかったです!
朝市で食べた海鮮丼!
最後になりますが、お忙しい中、実験や原稿チェック、発表練習に付き合っていただいた中村先生や先輩方に、この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました!
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