中村聡史研究室

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科: Human-Information Interaction / Lifelog / BADUI

SIGHCI175で「周辺視野における妨害刺激の減衰が集中度に及ぼす影響」というタイトルで発表してきました(高橋拓)

   

はじめに

あっという間に年末ですね。皆さんはじめまして。中村研究室B3の高橋です。

11月の1日から2日に淡路島夢舞台にて開催された、「ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(SIGHCI175)」に、神山先輩、松井先輩、福地先輩、山浦先輩と自分の5人でぞろぞろと参加してきました。全員の参加報告記事はこちらです。合わせてどうぞ。

当日は天気に恵まれ、海もとても綺麗で、解放感と非日常感の中でずっとテンション上がってました。いいですね、淡路島。

橋

舞子駅から見た淡路島です。伸びているのはあの有名な明石海峡大橋です

今回、「周辺視野における妨害刺激の減衰が集中度に及ぼす影響」というタイトルで研究発表をしてきましたので、その報告をさせていただきます。

研究概要

本研究は、集中してない人を集中させたい!集中するまでの時間を短縮したい!といった目的の研究です。

皆さんは集中をする事は得意ですか?課題や仕事など、日常生活において集中を求められる機会は多いものの、世の中には集中を阻害する誘惑も多く、マルチタスク化の風潮もあり、一つの物事に対して集中をする事はなかなか難しいと思います。ちなみに私はあまり得意ではないです。

ならば、人が集中しているような状況を人工的に作り出す事で、集中していると勘違いさせ、結果的に集中させることが出来ればいいのではないか、と考えました。では、集中時には何がどう変わるのでしょうか。集中すると脳波が変化する、瞬きが少なくなる、といったことは聞いたことがあるかもしれません。実は、視野にも変化が起こっているんです。

人間の視野は、中心視野と呼ばれる範囲と周辺視野と呼ばれる範囲の2つに分けることができます。(図1)

図1

また、この周辺視野の中には有効視野と呼ばれる、心理的要因によって範囲が変化する視野が存在します。(図2)

図2

普段、人は中心視野と有効視野で鮮明に外界を認識しているのですが、実はこの有効視野、集中した時に狭くなってしまうことが先行研究で明らかになっています。つまり、人は集中すると周りのものが見えにくくなるのです。実際に皆さんも、「集中すると周りの状況が気にならなくなる」といった経験があるのではないでしょうか?

今回、この「気にならなくなる」状況を再現する為に、タスクを取り組んでいる人の周辺視野範囲に、あえて妨害となる刺激を提示し、その妨害を段々と消していく、といったシステムを実装しました。具体的には、ディスプレイ上のタスク周辺に、一定の速さで広がっていく縞模様刺激を提示し、この縞模様を段々と暗くしていきました。(図3)

図3

このシステムによって、本当に集中の状態を作り出せるのかを調査する為、実験を行いました。実験協力者には、本システムの視覚刺激を含む3種類の刺激について、用意したタスクを行ってもらい、それぞれの5分間における集中度の変化を計測しました。集中力の測定には、スマートフォンと連動するメガネ型のデバイスであるJINS MEMEを使用しました。

実験の結果、提案した減衰型妨害刺激を提示した際に、他の刺激に比べて集中をしている感覚が増加し、実際に測定した集中の数値も上昇している事が分かりました。

一方で、タスクの達成度については変化が見られませんでした。これについては、今回用意したタスクが間違い探しであった為、全体を認識しなければならない間違い探しと視野狭窄の感覚を提示する本刺激の相性が悪かったのではないかと考えます。今後、このタスクを変更し再実験を行う予定です。

より詳しい研究内容につきましては、下記のスライドと論文からご確認いただけます。

発表スライド・論文情報

今回発表で用いたスライドがこちらです。本来動画だった部分が静止画になっているので、視覚刺激が動いていません。ご了承下さい。

 

原稿はこちらです。

高橋 拓 , 福地 翼 , 山浦 祐明 , 松井 啓司 , 中村 聡史,周辺視野における妨害刺激の減衰が集中度に及ぼす影響,研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI),2017-HCI-175(7),1-8 (2017-10-25) , 2188-8760

感想

初めての学会参加、研究発表という事で多少の緊張はあったものの、会場の雰囲気も良く、楽しく発表できたと思います。質疑タイムや懇親会にて研究へのコメント、アドバイスをくださった皆様、ありがとうございました!今後の参考にさせていただきます。

また、今回学会の会場とそのまま繋がっている「ウェスティンホテル淡路」に宿泊させていただいたのですが、本当に綺麗なところで、設備も充実していて驚きました。朝のバイキングも、淡路島特産のタマネギを使った美味しい料理が沢山用意されていて大満足でした。残念ながら観光する時間は無かったのですが、存分に淡路島を満喫できたと思います。行ってよかった!

最後になりますが、論文や発表練習を見てくださった中村先生や先輩方、実験に参加してくれた同期の皆さん、お忙しい中本当にありがとうございました。おかげ様で貴重な体験が出来ました。

撮影:神山さん。後ろに見える建物がホテル(中央)と会場(左)です。この直後、蜂に襲われました

それでは少し早いですが、メリークリスマス&よいお年を!来年もよろしくお願いいたします。

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