第59回EC研究会で「集合知を利用した音楽キュレーションサービスの実装とその分析」というタイトルで発表してきました(小松原達哉)

      2021/03/31

はじめに

こんにちは、中村研究室B3の小松原達哉です。

この度、3/16~3/17にオンラインで開催された第59回EC研究会で発表をさせていただきましたので、その報告をさせていただきます。

 

研究概要

近年、各種音楽サブスクリプションサービス等を利用して音楽聴取を楽しむ人は増えています。これらのようなサービスでは気軽に様々な音楽にアクセスできることが利点ですが、それらサービスの登録楽曲数は数千万とあり、新しい音楽を発見するために検索をすることは難しくなっていると考えました。

また音楽を検索するときに用いられる検索クエリとして「アーティスト名」や「ジャンル名」が一般的ですが、これらのような検索クエリをもとに音楽を検索する場合は検索結果がある程度限定的になってしまうと考えられます。ですが、そういった検索クエリとは異なるような「眠い朝でも走りたくなる音楽」や「ミスしたときに前を向いて頑張ろうと思える曲」などの個人化されたニーズに基づく検索では、ユーザが置かれた状況やユーザの楽曲要求を十分に結果に反映することできないという点があります。

そのような個人化された問題に対して、Yahoo!知恵袋や人力検索はてななどのサイトでは、多くの人から意見を集めて解決策を導き出すという集合知を利用した手法が取られています。実際、この手のサービスにおいて音楽の質問が投稿され、回答されてもいるのですが、それを音楽体験につなげるという点では不十分でした。

そこで我々は、楽曲検索に集合知を応用することで「ユニークな音楽ニーズ」に対して他者がこれぞという楽曲を提示できると考え、音楽のニーズを質問の形式で投稿することでその回答となる楽曲を不特定多数の人から集め、またその楽曲群をプレイリストとして構成し、公開および共有することを目的とした音楽キュレーションサービスを提案しました。

 

この提案手法を中村研究室では、こちらのmureQとして開発しました。このサービスは2018年8月9日からウェブサービスとして公開しており、本研究では2021年2月18日までのデータを対象に分析しました。

サイトにアクセスすると、他のユーザによって投稿された質問の閲覧、プレイリストの再生をすることができます。また右上のボタンからログインすることで質問の投稿、楽曲の回答が可能になります。

本研究では、mureQが運用によってどのように利用されていたのかについて調査しました。

寄せられた質問について、以下の表のように主観で5つのカテゴリに分類しました。「ジャンル」「アーティスト」「タイアップ曲」「年代」と言った情報は楽曲に直接付与されるような情報であり、これらの語句が含まれない質問が多い結果となりました。このことから、感性や印象をもとに音楽を検索しようとしたユーザが多いと考えています。また、質問文の文字数や含まれていた形容詞などから、寄せられていた質問にユーザのユニークな音楽探索要求が表されていると考えられました。

生成されたプレイリストについても分析を行ったところ、その内容が多数のユーザが楽曲を回答したことによって特徴的な内容となったプレイリストがいくつか見られました。

また、フィードバックを得るためにユーザへ実施したアンケートについて、再生したプレイリストの中で気に入ったものがあると答えたのは49人中43人で、気に入ったと答えた質問の中にユニークな質問と分類した質問が含まれていたのは49人中28人でした。さらにmureQを用いての音楽探索について肯定的な意見も多く寄せられました。

これらの結果から、mureQの運用において実際にユニークな質問が寄せられ、それをきっかけとして様々な楽曲がユーザから集められました。また、そうして構成されたプレイリストについて、それが音楽聴取者にとって興味を引くような内容であることが示唆されました。

今後は、質問者が回答に反応できるような機能を実装することで、回答者に適切な回答行動を行うためのモチベーション向上や、質問者にとって不適切であった回答の除外などが可能になると考えています。

詳細に関しては論文やスライドをご覧ください。

 

スライドと文献

小松原 達哉, 松山 直人, 野中 滉介, 二宮 洸太, 斉藤 絢基, 中村 聡史. 集合知を利用した音楽キュレーションサービスの実装とその分析, 情報処理学会 研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC), Vol.2021-EC-59, No.28, pp.1-8, 2021.

 

感想

今回が自分にとって初めての学会発表で右も左も分からないような状態でしたが、なんとか発表を終えることができました。
先生、先輩方との原稿チェックや発表練習、研究会でいただいたコメントなどを通してとても多くのことを学ばせていただいた機会でした。この経験を次年度以降にも活かせるように頑張ります!

最後に、システムの実装や発表練習など様々なサポートをしてくださった中村先生や中村研究室の先輩方、同期のメンバー、mureQを利用していただいたユーザの皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました!

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