第173回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会の聴講参加報告(松田滉平,牧良樹)

   

はじめに

今年もまた梅雨の季節がやってまいりました.寒暖の差が激しい季節ですがみなさまは元気にお過ごしでしょうか.

さて,2017年6月1〜2日に東京大学で開催された第173回HCI研究会に松田滉平と牧良樹が聴講参加してきましたので,その研究会の中で気になった・面白いと思った研究をいくつか報告をさせていただきます.

 

気になった・面白いと思った研究

Augmented Typing: 映像と音の演出付与による キーボードタイピング体験の拡張

湯村 翼 (北陸先端科学技術大学院大学), 中村 聡史 (明治大学)

この研究はキーボードに映像と音響の演出を加えることで,タイピングの体験拡張をするというものです.それにより,タイピングという単調な作業に高揚感や心地よさを加えることを目的とした研究となっています.映像はキーボードに対してプロジェクターで投影することで表現しているのですが,押すたびにインタラクティブに動くキーボードは爽快感がありそうでした.また,タイピング初心者への学習支援に使える可能性を言及していましたが,確かにタイピングが苦手な人は手元をずっと見がちなので,うまく提示して感覚で覚えられるようになればとても良い学習方法になるように思えました.


 

らふおん:順序尺度楽器による初心者向け作曲支援システム

秋元 和久 (筑波大学), 星野 准一 (筑波大学)

この研究は,知識がない初心者でも手軽に作曲ができる「らふおん!」という支援システムを提案しています.この支援システムは,これだけで作曲の全てを行うのではなく,あくまで作曲を行うための第一歩として役立つものとなっています.実際にどのようなシステムなのかは百聞は一見に如かずということで,以下の動画を見たり,スマートフォンのアプリとして公開されているので,気になった方は使っててみてはいかがでしょうか.

公式の紹介動画

実際に自分で作曲(プレイ)してみた.


 

e2-Mask:対面コミュニケーションを支援するための仮面型ディスプレイの設計と実装

梅澤 章乃 (公立はこだて未来大学), 竹川 佳成 (公立はこだて未来大学), 平田 圭二 (公立はこだて未来大学)

この研究では,対人コミュニケーションで視覚情報が重要とされていることから,自分自身の外見を柔軟に操作できるように顔をアバターで代用する仮面型ディスプレイを提案しています.ディスプレイに表示されている顔は,装着者本人の表情に合わせて変化するので自然なコミュニケーションができるようになっています.ディスプレイに画像処理で自分を笑顔にした映像を表示するのではなく,アバターに変えてしまうというところがなかなか挑戦的で面白いと感じました.

 

まとめ

今回の研究会はSIGHCI単体ではなく,SIGDeMO, ITE-HI, SIGEC, MVEなどの他の研究会と共同で開催されました,ということもあり,普段聞けないような他分野の研究が聴けてとても新鮮でした.また,会場の雰囲気が良かったこともあり,質疑に積極的に参加できたことは良い経験になったと思います!

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