Introduction
ニュージーランドといえば〜〜〜? コーヒー!!!
ということで、コーヒーなしでは生きられない体になってしまった福井雅弘です。今回は、ウェリントンで12/2-6に開催されたOzCHI 2023で、「Evaluating the Applicability of GUI-based Steering Laws to Virtual Reality Car Driving – A Case of Width-Changing Paths」というタイトルの研究を発表してきました!
Background
これはホテルの近くにあった道の写真なのですが、途中から狭まってて、クルマが通りづらそうでした…。
このような、道幅が変わる道路を通過する難易度が道路形状から計算できたら、通りやすい道を提案するカーナビの開発などに役立ちそうです。
狭窄(Road Narrowing Construction)とよばれる構造物により狭まる道に関する研究がいくつか行われています。sołowczukらは、狭窄の設置前と設置後のクルマの通過速度を比較し、平均15km/h遅くなることを明らかにしました。またDistefanoらは、狭窄に近い区間とそうでない区間でクルマの平均通過速度を比較し、およそ36%遅くなることを明らかにしました。
しかし、こうした実車での実験はコストが高く、いずれの研究でもせいぜい5,6パターンぐらいしか網羅できていません。どうすれば、より一般的な難易度を求められるのでしょうか・・・?
Method & Research Question
私達は、ステアリングの法則(Steering Law)を応用できるのではないか?と考えました。これはメニューバーなどのGUI操作に関するモデルで、カーソルに特定の領域を通過させる難易度を領域の形状から推定できます。先行研究では、直線やカーブでの運転においてステアリングの法則が適合することが明らかになっています。
他方、今回注目している幅が変わる経路に関しては、GUIベースのモデルが提案されているものの、運転に応用できるかは調べられていませんでした。
そこで本研究では、幅が変化する道路において、ステアリングの法則で運転難易度を推定できるかを検証しました。具体的には、幅6種類、長さ3種類の計18種類のコースを用いたVR運転実験により計測されたタイムをモデルにより推定し、その精度を分析しました。
Results
今回使用するモデルは2種類あります。1つ目はAccotらが提案したモデルで、経路の面積が等しければ難易度も等しいとしています。2つ目はYamanakaらが提案したモデルで、面積が等しい場合でも、狭まるときの方が広がるときよりも難しいとしています。
下のグラフは、横軸に各モデルで算出した運転難易度の指標、縦軸に実験で得られたクルマの通過時間の平均をとったものです。結果として、両モデルとも決定係数が0.95以上となり、高い精度で推定できることがわかりました。
ただ、今回の実験ではあまり問題にならなかったものの、Accotのモデルの精度は横軸が20以上の条件だと落ちてしまうと考えられます。広がる条件(赤プロット)での通過時間を過小評価し、狭まる条件(青プロット)での通過時間を過大評価しているからです。そのため、今後はより難易度の高い条件での実験を行い、2つのモデルの性能差をより明確にしたいと考えています。
Comment
人生初の国際学会&南半球で、緊張もしましたが、とにかく最初から最後まで楽しかったです。空飛ぶマイクを使った質問が飛んできたり、カンファレンスディナーでいろんな方とお話できて、自分の知見と人の輪が広がりました。特に、学会で出会ったみんなと飲みに行ったり景色見に行ったりできて、新しい友達ができてよかったです!!!
最後になりますが、たくさん協力してくださった中村先生、研究室の皆さん、そして学会を運営してくださった方々にこの場を借りて感謝を申し上げます。Thank you for running this conference, chairs and staffs!