はじめに
中村研B4の村上楓夏です.
2026年1月14~15日に宮古島未来創造センターで開催された第216回HCI研究会にて研究発表を行なってきましたので、ご報告させていただきます。今回は「タスクに対する先延ばし抑制を目的としたフローチャート型支援手法の提案」というタイトルで発表させていただきました.
研究背景
ひとは多くのタスクをかかえています.本研究では,特に継続的な取り組みが必要なタスク(論文執筆や夏休みの宿題など)を先延ばししてしまうという問題に着目しました.みなさんはこのようなタスクを先延ばししてしまい,締切ギリギリにあわてて間に合わせたといった経験はないでしょうか?
継続的な取り組みが必要なタスクに対する先延ばしが発生する要因としては
- 短期で終わるタスクよりも工程が多く流れが複雑で,見通しが立ちづらい
- 締切までの時間が長いことから「今取り組まなくてもどうにかなるだろう」と油断してしまう
といったことが挙げられます.
これらの要因を踏まえ,先延ばし抑制を支援する手法を提案しました.
提案手法
我々が提案するのはフローチャートを用いたタスク管理手法です.フローチャートを用いて構造を可視化することで,先ほど述べた見通しが立ちづらいという問題を解決できると考えました.また,進捗に応じて想定される「未来」を提示することで,「今取り組むことで未来がこのように変化する!」ということをユーザにわかりやすく伝え,油断を抑制しようと考えました.
こちらが提案手法のイメージ図です.この例ではどちらも原稿投稿のためのフローチャートを示していますが,左側が先延ばしにより計画から遅れている場合のフローチャート,右側が計画通りに進められている場合のフローチャートとなっています.左側のフローチャートでは,締切30分以上前に原稿執筆が終わらなかった場合,「締切を過ぎる」という最悪の未来が示され,提出できたとしてもギリギリになっているため「誤字脱字が多い原稿となる」といった悪い未来が示されています.一方,右側のフローチャートでは何度も修正を繰り返すことから「良い原稿が書ける」という良い未来が示される,といったイメージです.
実験・結果
今回の実験では,従来の計画表型のタスク管理手法を模した,表形式のシステムと提案手法を比較して実験を行いました.10日間の実験期間内で,毎日タスクに取り組むように指示し,当日にこなすべきタスクのうち,実際にできた数である「当日遵守タスク数」などを評価指標として用いました.
結果として,当日遵守タスク数は平均値を見ると提案手法群の方が多かったものの,有意差は見られませんでした.また,事前にアンケートで取得していた,実験参加者の先延ばし傾向と当日遵守タスク数には相関がありませんでした.
このような結果となった理由としては,システムの利用が後回しになってしまっていたこと,提示していた「未来」が曖昧で動機付け効果が弱かったことなどが挙げられるため,今後の展望として改良しつつ調査していきたいです.
より詳細な実験設計や結果などは以下の発表スライドや論文情報リンク内の論文PDFをご覧下さい.
書籍情報
終わりに
今回はB3の頃とは違い,自分で考えたテーマでの発表ということでかなり緊張していましたが,発表を聞いてくださった方々に興味を持っていただいたようでとても嬉しかったです!
宮古島はとても温暖で過ごしやすい気候でした.海が綺麗でご飯が美味しくてまた訪れたいです!

最後になりますが,原稿作成や発表練習にあたり,ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます.
