第202回HCI研究会で「PCとスマートフォンにおけるプログレスバーと周辺視野への視覚刺激の提示による体感時間短縮効果の調査」というタイトルで国士舘大学で発表してきました(小川剣二郎)

   

 はじめに

こんにちは、中村研究室B4の小川剣二郎です。

2023年3月13日〜15日国士舘大学梅ヶ丘キャンパスで開催されたHCI(ヒューマンコンピュータインタランクション)研究会にて、「PCとスマートフォンにおけるプログレスバーと周辺視野への視覚刺激の提示による体感時間短縮効果の調査」というタイトルで発表してきましたので、報告させていただきます。

研究概要

みなさん、普段からPCやスマートフォンを利用すると思います。その際に生じる待機時間は、ユーザの離脱やモチベーションの低下、ストレスを引き起こします。これらを防ぐためには、待機時間をより短く感じさせることが重要となります。以前の研究では、中心視野にプログレスバーが提示されている際に、周辺視野へ視覚刺激を提示することで体感時間が増減することが明らかになっています。

しかし、これらはPCのみを対象にしており、スマートフォンにおいて効果はあるのか、またPCとスマートフォンで短縮効果に違いがあるのかは検証できていませんでした。スマートフォンは複数のウインドウを同時に開けないため、ロード時間に時間がかかると他のこともできずにただ待つだけとなってしまいます。そのためスマートフォンでの待ち時間はPCでの待ち時間よりもよりストレスを与えることが考えられます。そのため、デバイスごとに適切な視覚刺激を提示することは重要となります。

そこで本研究では、プログレスバーの周辺へ視覚刺激を提示することによる体感時間への影響をPCとスマートフォン間で比較実験しました。

視覚刺激は図1のような7種類を用意し、各参加者には刺激無しに加えて横向きの刺激(横向き刺激条件)、縦向きの刺激(縦向き刺激条件)、回転する刺激(楕円運動刺激条件)の3つのうち1つの条件で実験してもらいました。またそれぞれにおいて、刺激無し、正の向き、負の向きの3つの条件と、5〜12秒の8つの秒数条件を掛け合わせた24試行(図2)を、PCとスマートフォンの両方で実験してもらいました。

図1

図2

実験には大学生30人(男性22人、女性8人)に参加してもらい、その内横向き刺激条件、縦向き刺激条件、楕円運動刺激条件をそれぞれ10人ずつに割り振りました。

結果、刺激無しではPCとスマートフォンでは体感時間に差は見られませんでした(図3)。プログレスバーの周辺に視覚刺激を提示した場合は、どの視覚刺激、どのデバイスにおいても短い時間(5〜8秒)では延長、長い時間(9〜12秒)では短縮傾向が見られました(図4)。

図3

図4

また、それぞれの条件において刺激無しと比較した割合から、PCでは横向き刺激条件、スマートフォンでは縦向き刺激条件が特に短縮効果があることが明らかになりました(図5)。このことから、PCでは横向き、スマートフォンでは縦向きといった、デバイスの形状に沿った視覚刺激を提示することでより体感時間を短縮できることがわかります。

図5

今回の実験では秒数条件によって体感時間が短縮される区間、延長される区間が見られたため、今後はそのような区間に分けることによる部分的な体感時間の調査を行う予定です

発表スライド

論文情報

小川 剣二郎, 青木 柊八, 中村 瞭汰, 山中 祥太. PCとスマートフォンにおけるプログレスバーと周辺視野への視覚刺激の提示による体感時間短縮効果の調査, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2023-HCI-202, No.55, pp.1-7, 2023.

感想

今回初めての研究、初めての学会発表で、躓くことも多かったのですが、多くの人に助けてもらうことで無事終えることができました!発表ではなかなかうまく話すことができなかったのですが、この経験を活かして次の学会発表はより良いものにしたいです!

学会発表の後には、一緒に発表した先輩方と回らないお寿司を食べに行き、幸せになりながら、学会発表の振り返りや今後についてお話しさせていただきました。

最後にはなりますが、度々発表練習や実験に付き合ってくださった研究室の皆様、何度も相談や助言をくださった中村先生に心より感謝申し上げます。

今回の経験を活かして、次の研究も精進してまいります!!

 - news, research , , ,