こんにちは。B4の細谷です。年が明け、寒い日が続いておりますね。
今回は2020年1月15日・16日に開催された第186回ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会に参加してきましたので、その参加報告をさせていただきます。私は、諸事情により、付き添いとして参加させていただきました。
本記事では、研究会において気になった研究と、石垣島の感想について書かせていただきます。
気になった研究
PACS: 機械学習とワードクラウドを用いた論文および学会要旨スライド自動生成手法の提案とその実装
谷口航平,濱川礼(中京大学)
研究を進める上で,サーベイによって知識を身につけたり,自分の研究の位置付けを把握したりすることは重要です.ですが,このサーベイには時間を消費してしまう・内容把握に時間がかかるなどの問題点が多く存在しています.このような問題を解決し,サーベイ活動を効率化することがこの研究の目的となっています.そこで,谷口らはユーザが論文のタイトルと著者情報などを入力するだけで,機械学習とワードクラウドを用いて論文・学会要旨スライドを自動生成するシステム「PACS」を開発しました.
論文要旨スライドについては,人が作成した論文要旨スライドを学習データとし機械学習することによって,論文のまとめを1枚のスライドとして自動生成します.この論文要旨スライドには
「どんな研究か(What)」
「新規性はどこか(Contribution)」
「技術の核はどこか(Important Method)」
「有効性の検証をどう行ったか(Evaluation)」
「今後の展望はあるか(Future Work)」
について記載されています.
そして,その論文要旨スライドから同一学会と判断されたものにテキストマイニングを行い,学会に投稿された論文のキーワードを,ワードクラウドでまとめたもの(キーワードスライド),また画像のみをまとめたもの(画像スライド)が学会要旨スライドになります.
自動生成されたスライドによって論文が理解できるかについてを評価実験によって調査したところ,サーベイ時間は学会要旨スライドのうち,画像スライドはサーベイの支援に適さないが,キーワードスライドは学会のイメージを掴みやすく,研究初心者の論文サーベイの支援が可能であることを明らかにしました.
今後の展望としては,現状は画像スライドに載っている画像には論文などへのリンクが付加されていないため,リンクを実装し画像から興味のある論文を読むことを可能にする,またキーワードスライドから似たような学会と紐づけられるように実装することによって,別の同じ分野の学会を知ることが可能になるなどが挙げられていました.
私自身,サーベイについては苦手意識を感じており,重要な部分をかいつまんで読むことが器用にできず時間がかかってしまう,様々なサイトを行き来しなければならないことが億劫である,などが理由であると考えています.これらの問題にもアプローチしているこのシステムが普及したら,とても実用性のあるものだと思うので,今後が楽しみです.
英語非母語話者のアカデミック・ライティングにおけるリアルタイム剽窃疑い提示の効果
佐藤 安理紗 ジエンジエラ(東京大学大学院工学系研究科),柴田 健吾(ジュネーブ大学),矢谷 浩司(東京大学大学院工学系研究科)
英語での論文執筆において,英語を母国語としない人は他の文献から不適切な形で引用してしまう剽窃をしてしまうことがあります.この剽窃を防止する研究は様々行われていますが,既存のシステムは剽窃疑いを提示するのが執筆を終えた原稿に対してのみであり,執筆途中には対応できていません.
そこで,この研究では,リアルタイムで剽窃疑いを提示することが,英語非母語話者の剽窃行為を回避する上でより効果的であるという仮説を立て,実際に学術論文を要約してもらう実験によって,剽窃の疑い箇所をハイライトすることによってリアルタイムで提示することの利点と欠点を明らかにしました.
結果として,利点としては剽窃の確認において,執筆後に実 験参加者が文章を再確認する必要がない点や,すぐに修正できる点が挙げられ,欠点としては剽窃箇所のハイライトに目が奪われて文章の執筆や思考に影響が出てしまう点が挙げられました.
よって,今後は画面に通知で小さく提示するなど提示方法を検討するなどの改善を行う予定だそうです.
先ほど紹介した学会要旨スライドの研究と同じく,このシステムも,研究にまつわる作業を支援するものです.研究において効率化できるところを効率化することは私はとても大切なことだと考えており,このような支援が実用化されるようになれば,研究への敷居はいい意味で下がり,発展していくのではないかと思います.
姿勢追跡技術を活用したスポーツ反復練習動画の視聴システム
増田毅 (芝浦工業大学),永見智行(北里大学),井尻敬(芝浦工業大学)
スポーツの練習では,練習風景を撮影し視聴することによって,自身の動きを客観的に知るという作業が行われています.この中でも,野球のバットのスイングなどの反復練習を撮影した動画はプレイ以外のインターバルを多く含み,視聴作業に時間や手間がかかってしまうそうです.そこでこの研究では,スポーツ反復練習動画の効率的な視聴・解析を目的とし,深層学習による姿勢追跡法によって動画から反復練習部分のみを抽出し提示できるシステムの提案を行っています.
提案システムの精度確認のため,練習動画に対し反復動作検出を行う実験を,野球・サッカー・バドミントンの3 種類のスポーツによって行った結果,閾値を調整すれば高精度に正しい検出を行えることを確認した.
今後は,反復動作検出のために必要な閾値を自動で決定できる手法を検討しているそうです.
先ほど紹介した2つの研究は,研究を効率化する支援でしたが,この研究はスポーツにおける効率化の支援です.スポーツは体を使って行うため,無駄な練習をひたすら続けることは体を壊す原因になり,時間も無駄にしてしまうため,効率化することは選手にとってかなりのメリットであると考えます.なので,どんどん発展して行ってほしいと考えますが,スポーツの効率化に関しては”普及できるか”がネックだなとも思いました.先ほど紹介した研究における効率化の手法は,対象者が同じ分野である研究者であるため普及も早いと思われますが,スポーツに関しては,手法を提案し,システムを実装した後,それをどう普及させていくかを考えるのが重要なのかなと思いました.折角いい着眼点で研究が行われているので,このような研究がたくさん実用化されれば良いなと思います.
感想
石垣島は,高校の修学旅行,去年のHCI研究会でも行ったので,今回が3回目でした.何度訪れても,海が綺麗で食べ物は美味しく,人があったかい石垣島に魅了されてしまいます.来年の石垣島で発表したいので,この経験をバネに精進していきたいと思います!
そんな石垣島の綺麗な景色&美味しい食べ物&カワイイ島ねこを写真で紹介します
オススメなので,立ち寄った際にはぜひ行ってみてくださいね!
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