お久しぶりです。中村研究室M2の濱野花莉です。
2022年8月22〜23日に小樽経済センターで開催された第199回ヒューマンコンピュータインタラクション研究発表会にて、「化粧品クチコミに特化した信憑性評価システムの実現とその評価」というタイトルで研究発表を行ったので、その報告をさせていただきます。
今回発表した内容は、DEIM2021・GN115で発表した研究の続きとなります。よろしければそちらもご覧ください。
発表内容
化粧は日常的なものであり、女性の約8割が化粧をするという調査結果も報告されています。
そのため、ニーズに合わせた様々な商品が発売されていますが、自身に合う化粧品を選択するのは容易ではありません。
選択を失敗すると、肌荒れや、その化粧品を買ったお金が無駄になることにつながります。さらに、化粧品はあまり安くないため、捨てづらいといった問題もあります。そこで化粧品の購入に失敗しないために、情報収集が重要となります。
情報収集の手段は様々ですが、私はユーザが多く様々な意見を手軽に閲覧できるインターネット上のクチコミに着目しました。
しかし、専門知識のないユーザや誇張表現を含むクチコミが存在するため、情報の質が低いことや、ステルスマーケティング(企業がユーザに広告であることを明記せず、クチコミの投稿を依頼すること)が行われている可能性があるという問題点があります。
これまでクチコミの信憑性についての研究は行われていますが、ステルスマーケティングのみに焦点を当てたものが多く、さらに化粧品のクチコミに特化していません。
わたしは化粧品のクチコミについて、以下のような特性を持っていると考えています。
- 消費者の個人差(肌質、パーソナルカラー、化粧の好み等)が大きいことで、化粧品への評価・意見が人によって異なる
- クチコミから「その化粧品を本当に使っているのか」「どの程度使っているのか」が判断しづらい
- 化粧品は試供品を配布していることが多いですが、化粧水や美容液など一定期間以上の使用で効果が出るものに関して試供品の使用のみで書かれたクチコミは参考にならないと言えます
- 化粧下地の上にファンデーションを塗るなど、一つの箇所に複数の化粧品を併せて使うことが多い
- ファンデーションのクチコミに肌の画像が載っている際、その肌はファンデーションの効果で綺麗に見えているのか、化粧下地の効果も相まって綺麗に見えているのか判断できません
- さらに、併せて使う化粧品にも相性の良し悪しがあります
こうした特性を同時に持ち合わせているため、化粧品のクチコミに特化した多面的な信憑性評価が必要です。
ここで私たちは、そのクチコミが真実かどうかを完璧に判断することはほぼ不可能であると考えています。しかし、ユーザに対してその判断を支援するということは可能であると考え、信憑性の評価が苦手なユーザに対してシステムによる客観的な評価に加え、信憑性評価が比較的得意な他のユーザの評価基準を共有することで支援することを目指しています。
今回の研究では、これまで検討してきた評価軸を用いた信憑性評価システムを実現し、システムを用いた評価実験を行いました。
システムの構築
↓こちらがシステムの画面です↓
- 化粧品カテゴリ選択:画面上部のラジオボタンから化粧品カテゴリを選択します(画像ではファンデーションを選択しています)
- クチコミ本文:選択した化粧品についてのクチコミが提示されます
- 商品名・ブランド名などは「ブランドA」などのように伏せています
- 信憑性評価項目:これまで検討してきた評価軸をもとに信憑性に関わるクチコミの特徴を提示しています
- 信憑性ランク:評価項目をもとにどの程度信用できるクチコミかをランク付けしています
システム評価実験
システムを使用し、信憑性提示による効果とシステムの改善点を調査する実験を行いました。
結果として、元々信憑性をあまり気にしない人がシステム利用により信憑性を気にするようになるなどの効果が明らかになりました。
詳細については後述するスライド及び原稿をご参照ください。
なお、今後は実験で得られたフィードバックをもとにシステムの改善を行うことや、評価軸をより多面的にしていくことを考えています。
スライド・原稿
こちらがスライドと論文情報になります。
本研究の詳細はこれらをご参照いただければ幸いです。
感想
初めての北海道でしたが空気がおいしかったのでたくさん深呼吸しました。
みんなで海鮮食べたり焼肉したり花火もできて楽しかったです!!!!!!!!
あとルタオ本店でケーキを食べられて幸せでした🍰
コロナの影響で学会の現地参加はB3以来だったので、満喫してしまいました。
M2の同期全員で参加出来たのもすごく幸せでした🎶
今後は修論に向けて頑張っていこうと思います!
最後になりましたが、研究活動にあたって様々なご指導をしてくださった中村先生、議論や論文執筆でサポートをしてくださった研究室の皆さんに心よりお礼申し上げます。
最後まで読んでいただきありがとうございました🐶
ピンバック: 2022年度 修了生:濱野 花莉 【修士(工学)】 #30 | 中村聡史研究室