はじめに
こんにちは 中村研究室M2の野中滉介です.
私事ですが,最近実家に新しく犬様をお迎えしました.今回の学会も残念ながらオンラインとなってしまいましたが,犬が昼寝をしている近くで発表するのも緊張しなくていいなぁと思いました.
本記事では,1/20~1/21に開催された第115回GN研究会で行った発表についての報告をさせていただきます.
研究内容
皆さんは,好きな漫画,音楽,などはありますか?
僕は音楽を聴くが大好きなのですが,世の中に存在する膨大な数の音楽の中にはとても良いにも関わらずに人目につかずに埋もれてしまっているものもあります.
これらのコンテンツは推薦システムやクチコミを通じて出会える可能性がありますが,単純に出会っただけではその魅力を十分に理解できずに,離れていってしまうかもしれません.
そこで本研究ではより魅力が伝わりやすい推薦を目指し,対話的なやりとりを模して分岐構造を持たせたプレイリストを作成することで効果的に音楽推薦を行う手法をこれまでの研究で提案してきました.
また,その後の研究で提案手法をウェブシステムとして実装・運用し,分岐型プレイリストを用いることでより推薦相手を意識できるようになることと,そのように推薦された人の方がより興味を持てることを明らかにしてきました.
さて,これまでの研究では一対一での推薦を想定していましたが,推薦行為は個人で行わなければならないものではありません.
例えば,同じアーティストのファン同士といったように共同で他者に推薦を行うことで,たくさんのアイデアが生まれるかもしれませんし,より楽しみながらプレイリストの作成ができるためモチベーションの維持がしやすい,などといった効果が期待されます.こうした共同推薦の要素を取り入れることで,本手法の推薦体験を向上させることができると期待されます.
そこで本研究では特にファンの知識量に着目をし,個人・ファン同士・ファンと初心者の3条件で分岐型プレイリストを用いた推薦の様子にどのような違いが現れるのかについて検証を行いました.
実験結果
分岐型プレイリストの作成終了後にアンケートを実施した結果,全ての条件で
- 「楽しさ,満足度」などでポジティブな評価がされており,
- 作成の疲労が小さい
ということが分かりました.
また,記述式の回答からも「そのアーティストの好きな部分が再確認できて良かった」「(好きな部分を)話し合いながら作るのが楽しかった」といったポジティブな意見を複数得ることができました.
さらに,ファン初心者群において,初心者側の実験協力者の多くが「新しい楽曲に出会えた」といった回答をしていることから,こうした共同推薦のやりとり自体が推薦として効果的に機能しているという可能性が示唆されました.
続いて,プレイリスト作成中になされた行動のログについて可視化を行った例を以下に示します.
これらのグラフは,横軸が作成時間(左端:作成開始,右端:作成終了)で,縦軸に表す各操作がどのタイミングでされたかを表しています.
これらの結果及び事後アンケートのQ.10〜12より,
- 個人推薦では,「プレイリストへの楽曲の追加」が作成の終盤までされる傾向があり,「何の曲を聴かせるか」により時間をかけて作成を行っている
- 共同推薦では,「プレイリストへの楽曲の追加」がよりスムーズになされており,「曲のどの部分を聴かせるか(楽曲情報の更新)」により時間をかけて作成を行っている
ということが分かります.
以上の結果から,
- 知識量に差がある場合でも,共同推薦が可能である
- 知識量に差がある場合,共同推薦のやりとり自体が推薦として効果的である
- 共同推薦の人数・知識量の差などによって,提供する機能やUIを工夫することで,より推薦体験を向上させられる可能性がある
といったことが分かりました
詳細については,論文やスライドをご参照ください.
スライド
論文情報
感想
さて,今回の発表が僕にとって学生生活最後の学会発表でした.
中村研に配属された学部3年から4年間,国際会議への参加をはじめとして本当に色々な体験をさせていただきました.
また,研究活動だけでなく,中村研究室で同期,先輩方,後輩たちと過ごした日々は本当にかけがえのない楽しい日々でした.皆さんのおかげで本当に充実した日々を過ごすことができ,とても成長することができました.これからは社会人になりますが,この学生生活で得たことを活かして今後も精進していきたいと思います.
本当にありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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