お久しぶりです。B4の濱野花莉です!
3月1〜3日にオンラインで開催された第13回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2021)にて研究発表を行ったのでご報告させていただきます。
発表内容
化粧は日常的なものであり、女性の約8割が化粧をするという調査結果も報告されています。
そのため、ニーズに合わせた様々な商品が発売されていますが、自身に合う化粧品を選択するのは容易ではありません。
選択を失敗すると、肌荒れや、その化粧品を買ったお金が無駄になることにつながります。さらに、化粧品はあまり安くないため、捨てづらいといった問題もあります。そこで化粧品の購入に失敗しないために、情報収集が重要となります。
情報収集の手段は様々ですが、私はユーザが多く様々な意見を手軽に閲覧できるインターネット上のクチコミに着目しました。
しかし、専門知識のないユーザや誇張表現を含むクチコミが存在するため、情報の質が低いことや、ステルスマーケティング(企業がユーザに広告であることを明記せず、クチコミの投稿を依頼すること)が行われている可能性があるという問題点があります。
これまでクチコミの信憑性についての研究は行われていますが、ステルスマーケティングのみに焦点を当てたものが多く、さらに化粧品のクチコミに特化していません。
わたしは化粧品のクチコミについて、以下のような特性を持っていると考えています。
- 消費者の個人差(肌質、パーソナルカラー、化粧の好み等)が大きいことで、化粧品への評価・意見が人によって異なる
- クチコミから「その化粧品を本当に使っているのか」「どの程度使っているのか」が判断しづらい
- 化粧品は試供品を配布していることが多いですが、化粧水や美容液など一定期間以上の使用で効果が出るものに関して試供品の使用のみで書かれたクチコミは参考にならないと言えます
- 化粧下地の上にファンデーションを塗るなど、一つの箇所に複数の化粧品を併せて使うことが多い
- ファンデーションのクチコミに肌の画像が載っている際、その肌はファンデーションの効果で綺麗に見えているのか、化粧下地の効果も相まって綺麗に見えているのか判断できません
- さらに、併せて使う化粧品にも相性の良し悪しがあります
こうした特性を同時に持ち合わせているため、化粧品のクチコミについては多面的な信憑性評価が必要です。
ここで私たちは、そのクチコミが真実かどうかを完璧に判断することはほぼ不可能であると考えています。しかし、ユーザに対してその判断を支援するということは可能であると考え、信憑性の評価が苦手なユーザに対してシステムによる客観的な評価に加え、信憑性評価が比較的得意な他のユーザの評価基準を共有することで支援することを目指しています。
具体的には、こちらのイメージ図のように複数の評価軸から信憑性を評価し、ユーザに提示するシステムを実現しようと考えています。
私は、この化粧品のクチコミに特化した信憑性評価システムの実現を最終目標として、以下のことに取り組み、それぞれ結果が下記のように得られました。
- 化粧をする人を対象とした基礎調査
- 化粧をする人2000名に依頼し、化粧に対する意識や、どのような点でクチコミを信用するのかについて回答してもらい、信憑性の評価基準は大きく分けて文章・画像・投稿者の3つに分類できることや、評価基準は人によって異なることなどが明らかになりました
- 化粧品のクチコミの文章に特化したデータセット構築
- 化粧品のクチコミ300件について、どの程度信用できるか、その評価理由などを女子大学生9名に回答してもらいました。その結果、実験協力者間でも評価基準が異なること、PRと明記されているクチコミは信憑性の評価がブレやすいこと、化粧品の種類によって重視される記述が異なることなどが明らかになりました
- また、企業から依頼されたPRを目的としたクチコミだと明記されているが、その化粧品の悪い部分や、他の化粧品との比較が含まれているものが良いこと、またそれぞれの化粧品におけるキーワード(リップであれば発色,荒れる,落ちる等)が重要であることなどが明らかになりました
詳細については後述するスライド及び原稿をご参照ください。
なお、今回検討した評価軸は「ユーザがどのように信憑性を判断するのか」がもとになっているため、今後有用性の検証を行います。検証においてこの評価軸では不十分な点が発見できた場合、そこを補えるような軸を新たに検討する予定です。
さらに、今後は文章だけでなく画像や投稿者についての分析も行い、最終的にシステムを実現したいと考えています。
スライド・原稿
こちらがスライドと論文情報になります。
本研究の詳細はこれらをご参照いただければ幸いです。
感想
当初は学会がハイブリッドでの開催予定だったので、現地に行けるのを楽しみにしていましたが、残念ながらオンラインでの開催となってしまいました。
オンラインの学会に参加するのは初めてで少し不安もあったのですが、参加者が同期しかいなかったこともあり、発表練習や議事録作成など、最後まで和気藹々と楽しく終えることができました。
また、今回の研究テーマは先輩から引き継いだものではなく、アイデア出しから自分で試行錯誤して始めたものなので、自分の好きな化粧に関する研究をすることができてとても楽しかったです。
今後も大学院でこの研究を継続する予定なので、より有意義なものなるようにがんばります!
最後になりましたが、研究活動にあたって様々なご指導をしてくださった中村先生、ミーティングでの議論や論文執筆でサポートをしてくださった先輩方や後輩たち、コロナ禍の自粛期間でも通話などで精神的にサポートしてくれた同期に心よりお礼申し上げます。
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