SIGHCI185で「運転難易度のモデル化に向けた実験システムの構築とカーブ角度の影響調査」というタイトルで発表をしました(船﨑友稀奈)

   

初めまして.本年度より中村研究室に配属されました,B3の船﨑友稀奈です.

2019年12月10日〜11日に淡路夢舞台国際会議場で開催された第185回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会にて,「運転難易度のモデル化に向けた実験システムの構築とカーブ角度の影響調査」というタイトルで研究発表をして参りましたので,その報告を致します.

研究の概要

皆さんは普段から車の運転をされるでしょうか? 私は免許を取って半年程過ぎましたが,未だに運転をする時には緊張します.最近ようやく自宅から駅までの道は慣れてきました(ちなみに,先生は運転が苦手過ぎて免許取って20年ほとんど乗らず,そのまま失効したそうです)

さて,私のような運転初心者やしばらく運転をしていなかったという方には,車を運転するということに不安や抵抗があると思います.その中には右折が苦手だと感じる人や,細い道は通りたくないなと考えることもあるかもしれません.私たちに道路推薦をしてくれる現在のナビゲーションシステムでは,距離や渋滞状況,料金といった環境的な要因のみで,ドライバの技量や心理に合わせたナビゲーションは存在していません.

ドライバの特性をモデルとして表すことができれば,各ドライバに合わせたカーナビゲーションが実現できるようになります.現実世界のモデル化というと実車での実験を考えるかもしれませんが,実車での実験は場所や時間の制約が多く関わり,天候や人通りなどの走行環境が変化する可能性があります.実験条件を統一し,同条件の試行何度も行うことでモデル化が可能になりますが,既存のドライビングシミュレータは実験条件によって自由に道路をカスタマイズでき,同条件の試行を何度も行うシステムは存在していません.そこで我々はモデル化のためのシステムの実装と,実装したシステムがモデル化に有用であるかの検証を行いました.今回の実験では計測時間とハンドルの振れ幅の2点が運転難易度の特徴量になるのではないかという仮説を立て検証を行いました.

実装したシステムの挙動は下の動画のような感じになります.左右にガードレールが設置してあり,接触した場合は事故(エラー)として処理され,すぐに次のカーブへ遷移し,エラーしたカーブは1試行の最後に提示するようにしました.ガードレールの奥には建物や木を配置することができ,画面内のハンドルは実験に使用したハンドルコントローラに合わせて回転するように設定しました.

このシステムを用いて,0°,30°,60°,90°,120°の右左折9種類の単一カーブという条件で実験を行いました.詳しい実験内容は論文をご覧ください.

今回はカーブの計測時間とハンドルの振れ幅に注目して分析を行いました.実験の結果,

  • 初心者はカーブの角度が大きい程計測時間が長くなり,角度が小さい時に計測時間が短くなる.
  • 上級者と比較し,初心者の方がカーブあたりのハンドル回転量の総量が多くなる.

となり,カーブにおける計測時間とハンドルの振れ幅(回転量の総量)は初心者にとっての運転特徴量となることがわかりました.上級者の計測時間は初心者と比べ,グラフが直線的になり,カーブ角度に左右されずに走行できていました.この結果は実験条件でカーブの半径を固定して実験を行った影響だと考えられます.カーブ角度が変化しても,カーブ半径が統一だったため,運転慣れしている上級者にとっては難易度に変化がなかったのではないかと考察しました.

今回の研究では,モデル化の実験システムの実装とシステムがモデル化に有効であるかの検証を行いました.その結果,計測時間とハンドル回転量の総量という初心者にとっての運転特徴量を抽出できたことから,実装したシステムがモデル化のシステムとして有用であることを示すことができました.しかし,実験機材やシステムの挙動においてまだ改善点があること,カーブの半径などの検証すべき要因が他にもまだあることから,今後とも研究を行っていきたいと考えています.

参照

書誌情報

船﨑 友稀奈, 瀬戸 徳, 二宮 洸太, 樋川 一幸, 中村 聡史, 山中 祥太. 運転難易度のモデル化に向けた実験システムの構築とカーブ角度の影響調査, 情報処理学会 研究会報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2019-HCI-185, Issue.17, pp.1-8, 2019.

感想

私にとって初めての研究発表会で不安なことも多かったですが,皆さんのお力添えのお陰で無事に発表を終えることができました.先輩方からお伺いしていた通り,朝食はとても美味しく,宿泊のホテルも綺麗で過ごしやすかったです.イブニングセッションでは翌日に発表を控えていたこともあり,あまり多くの方とは交流できなかったのですが,中村研究室の子達だよね?と声をかけてくださる方が多く先生や先輩方の顔の広さと交流の広さを感じました.写真はバイキングのスイーツです.ちょっと早めのクリスマスデコレーションでした.

最後に,実験や論文執筆,発表練習までお付き合い頂きました中村先生をはじめとする,先輩方や同級生の皆さん,応援してくれた家族,本当にありがとうございました.

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