第191回HCI研究会で「ファッションに対する苦手意識の調査と単純接触効果による人のファッションへの意識変容」というタイトルで発表してきました(佐々木美香子)

   

2021年が始まり早1ヶ月が経ちました。まだまだ寒い日が続き、春の訪れまではまだ時間がかかりそうですが皆様いかがお過ごしでしょうか?

お久しぶりです、中村研究室のM2の佐々木美香子です。さて先日、2021年1月28〜29日にオンラインで開催された情報処理学会ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(SIGHCI191)にて研究発表を行ったので、ご報告させていただきます。

 

発表内容

これまで私たちは、「ファッションに対して苦手意識を持っている人」に着目し、ファッションに対する苦手意識といったネガティブな意識をポジティブな意識に変える方法について検討しました。

SIGHCI181では、「ライフログ写真の自身が着用した衣服を、自身が抵抗をもつ衣服に変えた写真を繰り返し見せる」手法を提案し、提案手法の評価実験を行いました。実験の結果、以下の2点が明らかになりました。

  • ライフログ写真を繰り返し見ることによって、ファッションに対する意識変化が促される。
  • ライフログ写真を用いた場合について、5日間連続で写真を見せるよりも、10日間連続で写真を見せた方がファッションに対する意識変化が促される。

またSIGHCI186では、提案手法を用いてライフログ写真の着衣色変化提示システムを実装しました。そして実装したシステムについてシステムの精度評価を行いました。評価の結果、以下の2点が明らかになりました。

  • 非着衣色推定を行う際、写真自体の光加減を考慮出来るような色判定を行う必要がある。
  • 着衣色変化を行う際、無彩色のトップスも色変化可能にする。

 

以上のように、これまでの研究から提案手法によってファッションに対する意識変容が可能であることを明らかにし、更に提案手法を用いたシステムの実装を行い、有用性を明らかにしてきました。

しかし、いくつか問題点も存在します。

まず、そもそも本研究で対象としている「ファッションに対して興味はあるけれどもに苦手意識をもつ人」の実態についてこれまで明らかになっていませんでした。

また、これまでの提案手法を用いた実験よりライフログ写真には親近性により単純接触効果が現れることが明らかになっていますが、自身の顔写真を注視することが単純接触効果の妨害になったことも示唆されていました。

つまり本提案手法で用いるライフログ写真について、自分自身を含めた複数人で映る写真を用いる方が自分自身のみが映る写真よりも、単純接触効果が現れやすいのではないかと考えました。

そこで本研究ではこれらの問題点について、クラウドソーシングでの大規模アンケート調査を実施するとともに、短時間(90秒)で実施可能な単純接触効果に関する実験を設計および実施し、以下の2点を明らかにしました。

  1. ファッションに対して興味はあるけれども苦手意識をもつ人は、衣服に少しこだわりがあり、衣服の系統を変えたいと思ったことはあるが違う衣服をきたら違和感を感じ、結局同じ衣服を購入する傾向がある。
  2. 提案手法で用いるライフログ写真について、自分自身を含めた複数人で映る写真を用いる方が単純接触効果が現れる。また、90秒程度でも十分効果がある。さらに、単純接触効果の妨害因は「公的自己意識」と「色に対する違和感」の可能性が考えられる。

詳細については、後述するスライド及び原稿を参考にして下さい。

今後は、衣服購入の前に本システムを1度利用するだけで、ファッションに対する意識変化が可能なシステムの実用化を目指し、服飾販売系のサービスで活用できるとよいなと思っています。

 

発表に用いたスライドはこちらになります。詳しくはこちらをどうぞ。

 

また、論文は下記よりアクセス可能ですので、興味のある方はこちらからアクセスいただければと思います。

[論文情報]

佐々木 美香子, 中村 聡史. ファッションに対する苦手意識の調査と単純接触効果による人のファッションへの意識変容, 情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-191, No.15, pp.1-8, 2021.

 

最後に

実は、本発表が私の学生時代最後の学会発表になりました。私は中村研究室に学部2年次から計5年間在籍しました。

初めて学会発表をさせていただいた学部3年の夏から、今回の発表まで主著として国内学会が6件、国際学会が2件の計8件発表させていただきました。中高時代、国語の成績が赤点ギリギリだった私が、まさかこんなに論文を執筆し発表できるなんで、数年前の自分に言っても信じて貰えなかったと思います笑。

今回の学会は残念ながらオンラインになってしまいましたが、これまで京都・沖縄・ポルトガル・キプロスと様々な土地で発表させていただけたのも、中村研究室に在籍していたお陰です。

これまで、中村先生をはじめ卒業された1期生・2期生の先輩方、同期、後輩の皆さんには本当にお世話になりました。皆様のお陰で、とても楽しい研究室生活を送ることが出来ましたし、自分自身とても成長することが出来ました。また、これまで参加した学会等で多くの方から研究に関するアドバイスやご指摘等をいただき、本当にありがとうございました。

最後になりますが、これまで本当にありがとうございました。

私は春から社会人になりますが、中村研究室で5年間学んできたことを存分に活かしつつ、これからも日々精進していきたいと思います。

それでは、皆さんまた会う日まで!

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